しかし、70歳に成った観察者はいろいろな種目のスポーツで鍛えた体とはいえ、立ちっぱなしの4時間は結構体に来た。4日目には立っていることに関しては何でもない様に慣れてしまったが、日が重なるとともに一番影響が出たのは右手の親指と人差し指の付け根の部分の酷使による痛み、一種の腱鞘炎らしい。これは、今回主に使用したCANON EOS1Dxのグリップ・シャッターボタンの部分が肉厚でどっしりとしているため、撮影合計枚数10,000枚を超えた今回の撮影でガタが来たのだろう。昨日今日はグリップを握る際にも痛みを感じ、ついには人差し指ではなく、中指でシャッターを押すありさまだった。
もちろん連写も多いので、1万回もシャッターを押したわけではなかろうが、自分でも気が付かない力の入れようだったのだろう。
それでも、毎日同じ時間に観察を続けると面白いパターンなども読めて非常に有意義だった。これも人吉にお住いのお二方から毎朝送られてくるヤマセミ情報があればこそ一番良い時期に観察できたのだ。この場で感謝申し上げたい。
今回観察を続けたヤマセミファミリーは親二羽+幼鳥4羽の大所帯だった。画像を見る限り8羽の所帯にも見えるのだが、東京へ戻って精査したい。普通7個卵を産むヤマセミの場合、条件が良くて6羽が巣立つこともあり得るので何とも言えないが、もし8羽の大所帯なら10年間の観察の中で最大のファミリーという事になる。
上に4羽の幼鳥、対峙するのが母親、下に居るのが父親の様だ。
とにかく、幼鳥の成長は速い!昨日1mにも満たない岩の上からのダイブがやっとだったのに、翌日には5mほどの樹木の枝から平気でダイブして見せる。更には親と1対1で高速飛行訓練を行った結果、飛翔スピードも飛翔距離も信じられないほどの発達を遂げる。
その結果どうなるかというと、腹がすぐ減る幼鳥は図々しくも親に「餌はまだか?」とにじり寄ったり、あるいは突っかかって喧嘩を売るような態度で親を追い回すように成るのだ。兄弟同士の小競り合いなども頻繁にあちこちで起こる様になる。
まだ精査が終わってはいないが、速報として親の後を追い回す幼鳥たちと、たまに給餌に戻った親に群がる幼鳥たちの瞬間をご紹介!
こうして順序良く並んで飛ぶヤマセミの画像は今まであまり撮ったことが無かった。
ヒモジイ幼鳥が親を追い回していると知ったのは今回の成果だった。
父親も必死に採餌を繰り返す。
もう父親が餌を咥えて戻った時の凄まじさといったら、やたら鳴き声がうるさい!
球磨川中にヤマセミの鳴き声がコダマする。地元の方が「あー、あんセカラシカ鳥(とっ)だろ?」と言われる意味も良く判る。※せからしか、しぇからしか=うるさい。
父親が餌を咥えて集合場所に戻ってくると三羽の幼鳥があっと言う間に群がった。真ん中の子がどうやら給餌をゲットしたようだ。他の幼鳥は諦めが良いというか、自分の番が必ず来ることを信じて待ちに入るのか?自然界のルールは素晴らしい完成度だと思う。筆者の座右の銘ではないが、「ヤマセミの振り見て我が振り直せ!」だ全く。