2025年7月14日月曜日

オオタカの生態観察 ヒナへの給餌行動 編 2.Observation of the ecology of the Northern Goshawk: Feeding its chicks, Part 2.

  オオタカの生態観察、前回はオスの親が餌を獲ってきてメスへ「獲って来たぞー!」と遠くで鳴き、メスがそれに反応して受け渡し場所まで飛んでいく様子をご紹介した。

 今回はオスから餌をゲットしたメスが営巣中の巣へ飛ぶさま、空抜け飛翔シーンをご紹介。

 まずはオス待ちのメスの様子から。此の緑地に来られた方が盛んに撮られるのがこのシーンでした。時々声を上げるオオタカに「何だなんだ?」とスマホやコンデジを向ける方が多かったようです。中には迷彩シールを張った望遠レンズを向ける野鳥撮影愛好家の方々も・・・。

大体餌待ちの場所は数カ所決まっていた。必ず営巣中の巣を見通せる場所。

オスが餌をもって別の高木へ到着すると、メスが其処へ飛んでいく右メス。

飛んで行って、ほんの数秒タッチ!という感じで餌渡しが行われる

受け渡しの場所は毎回違うので、これ以上それらしき場面は撮影できていない。

受け取った次の瞬間、巣へ急ぐ場合もあれば10分ほどして飛ぶ場合もあった。

天気・時間(=太陽の角度)の具合で空抜けの飛翔は難しい。

毎回獲物は違うが、基本的に同じ繁殖期のムクドリ、ヒヨドリなどの雛が多いようだ。

持ち方も毎回異なっている。





 筆者の頭上を通り抜ける事もある。こういったシーンのカットは100カットを超える。今回はまずオープンエアーの空抜けで撮れた部分。

 ヤマセミの時と同様、全て手持ち撮影なので常にファインダーの中心に被写体を捉えられるわけもなく、追い写しのサーボ機能は使えない。あらかじめ一番好ましい場所に来た時のピントを合わせておいて数カットがかろうじて使えるカットになるだけ。

 ほぼ二次元で動く列車や車や航空機と違い、三次元で変化して飛ぶ野鳥を三脚に着けた望遠で撮影するのはまず無理。

 水面ギリギリを一直線に飛ぶヤマセミの場合でも500㎜以上の大砲レンズを使用する場合に限って上下左右自由に動かせるジンバル雲台でやっと撮影できるという感じだった。

 今回の東京の緑地でのオオタカを飛ぶ状態で追い写す方はあまり見かけなかった。超望遠で遠い猛禽類を撮るのと違い、ヒナへの給餌行動という生態を捉えるには何度も緑地へ通う必要が在った。

2025年7月13日日曜日

突然ですが、尾の無いオナガに遭遇! Suddenly, I encountered a tailless long-tailed tit!

  このブログでは、現在オオタカの営巣生態シリーズを続けているが、今朝愛犬散歩中に妙な野鳥に出遭ったのでコンデジで撮って置いた。オナガの尾っぽ切れの個体!

 成鳥か幼鳥か不明だが、6~7月は野鳥の羽根が生え変わる時期。生まれた幼鳥もいきなり羽根が生え変わる時期なのでまたすぐ生えてくるだろうとは思う。

 しかし尾の長いのが特徴のオナガがその尾が無くてちゃんと飛べるのかしばらく観察してみた。まるで最近イランの原爆製造施設と称する基地を爆撃した米空軍のB2爆撃機みたいなもんだろうか?尾翼が無くても飛ぶアレだ。


CNNのニュースから 米空軍B2爆撃機

尾が長い野鳥、たとえばエナガの尾の無い個体はさんざん撮影したが、近所で繁殖しているオナガの尻切れ個体は今回が初めてだ。尾が無くても普通に飛んでいるのは珍しい生態だと思う。









無事に羽根が再生することを祈っている。

2025年7月12日土曜日

オオタカの生態観察 ヒナへの給餌行動 編 1.Observation of the ecology of the Northern Goshawk: Feeding its chicks, Part 1

  前回まで東京の緑地で営巣中のオオタカが水飲みや水浴びの後、飛び立つ場面のご紹介をした。

 そのオオタカのヒナ三羽も既に巣から離れ、近くの高木へ移動してバラバラになって親からの給餌を待つ段階にまでなっている。これでほぼ巣立ちの段階中ごろと言って良いのではないだろうか?

 ・・・という訳で、5月末から通った此処東京の緑地でのオオタカ営巣中の生態に関して撮影した画像を項目ごとにご紹介してみようと思う。

 筆者がこの繁殖に気が付いたのは巣の存在だけで、ヒナの姿はまだ下からは全然見えない段階だった。ただ、メスの親鳥が巣に餌を運ぶのが判ったので、その様子ばかり撮影していた時期が10日間ほど続いた。実際撮影に向かったのは3日に一度という頻度だった。

 その緑地で繁殖を観察・撮影している方々の多くはグループで、殆ど毎日同じ場所から巣に向かって三脚に装着した望遠レンズを向けている状況だった。

 筆者はヒナの顔・姿が見えないので、まずはヒナの為に餌を運ぶ親鳥を捉えようと考え、しばらく緑地のあちこちを歩き回り親鳥の給餌のパターンを観察した。これには3日間掛かった。

 どうやら、初期の段階では狩りをしてくるのがオスの親で、それを色々な場所で受け取り巣へ運んで直接給餌するのがメスの親の様だった。オスが餌を持ってくる方角が毎日違うので餌の受け取り場所も毎回違う有様で、予測がまったく出来なかった。

 今回の画像は、オスが獲物を持って狩りから戻ってくる待つメスの親鳥、そうしてオスが鳴いて獲物受け渡しを促す声を聴きつけて、オスの元へ飛ぶメスの親の様子など。

メスが餌を待つ場所は毎回違っている。

しかし必ず営巣中の巣の方向を見通せる場所で待ち受けているようだった。

日曜日など人間が多い日は目立たない所に引っ込んでいた。

オスの声を遠くに聞いて行動を始めるメスの親。

いつもの見張り台になる高木から一気に加速をしていくメス親。

オスに鳴き答えながら飛んでいく。EOS7DMarkⅡ ISO3200, f11, 1/1600秒 



完全に空抜けの状況でオスの元へ飛ぶ飛翔シーンを撮れたのは数少ない。

針葉樹の樹林帯の中もルートが決まっている様だった。

林間を飛翔するオオタカの撮影は結構難儀。EOS7DMark2,ISO5000,f5,1/2000

2025年7月8日火曜日

オオタカの生態観察 水飲み・水浴び⇒飛び立ち 編 2. Observing the ecology of the Northern Goshawk: Take off after drinking water and bathing Part 2.

  昨日の水飲みだけでの飛び立ちと、ずぶ濡れで重たい体、濡れた主翼での飛び立ちでは相当に違うはず。実際、濡れていない体での飛び立ちはお気に入りの針葉樹まで一気に飛んでいくが、ずぶ濡れの場合は一旦どこか途中で木に留まり30秒ほど一休みして再度テイクオフした。

 水鳥と違って、一旦羽根が濡れると乾かすのに結構時間が掛かるようだ。

どっぷりと冷水に浸かったオオタカのオス。

まるで風呂に入っているかのように深々と身を沈め・・。

一気に飛び出したが、全身ずぶ濡れで相当に重たそうな飛び出しだった。

目一杯羽ばたくが


重たい飛行機のテイクオフとそっくり!

高く舞い上がれない・・。大物を採餌直後のミサゴの様だった。

結局広い所に出た後、途中生垣に一度ランディングした。

 数日間同じ格好で観察・撮影している筆者の事は既に認知していると見え、こちらも腕すら動かさないので警戒していないようだった。こちらを観ても全然動じず、しばらくジーッとしていた。その間、気が付いた他のバーダーさんグループがゾロゾロ明るみに出て来た。

それを警戒したオオタカ、あっと言う間に飛び立ち・・。

筆者の眼の前を飛びぬけて行った。

2025年7月7日月曜日

オオタカの生態観察 水飲み・水浴び⇒飛び立ち 編 1. Observing the ecology of the Northern Goshawk: Take off after drinking water and bathing Part 1.

  オオタカのオス、水飲みと水浴びを2日間にわたってご紹介したが、引き続きその後飛び立つ瞬間の美しさをご紹介したい。

 うるさいほど繰り返すが、何かに留まっている状態の野鳥は、どんなに近くに寄って高性能のカメラで画面目一杯奇麗に撮れても、野鳥図鑑の標本の域を出ていないと思っている。

 何かをしようとして行動をしている画像(生態写真)、大空を優雅に飛んだり、争いか何かで身をひるがえしながら飛ぶ姿こそ「美しいし、意味がある瞬間!」と筆者は思っている。

 そのフォルムは翼が在る意味では航空機とまったく同じだと思う。格納庫に入っていたりエプロンに繋がれている航空機を好んで撮る人はいまい?


 こういう筆者の目指す生態撮影の場合は、お仲間のバーダーさん達と行動を共にして、ワイワイ話をしながら撮影を楽しんでいてはまず撮れない。それはそれで野鳥撮影ファンの楽しみ方だから大変良いと思う、決して否定はしない。

 しかし、キレイな写真ではなく、生態のある一瞬を記録するための撮影の場合は、撮る方=筆者も五感を研ぎ澄ませて被写体の行動を観察・予測しなければ「最高の瞬間」は撮れない。カメラ機材の高い安い、新しい古い・・ではない。

 プロの野鳥写真家さんたちは必ず一人ぼっちで行動し、自分だけのスタイルを確立されているだろう?いろいろ学ぶところが多い。

 1時間以上にもわたるオオタカの水浴びを、こうした不自然な態勢・スタイルで撮り続けるのは灼熱の太陽の下では非常に危険を伴うのではないだろうか?熱中症対策、毒虫対策、脱水症状対策、日よけ対策をしないと、同行者や仲間に迷惑を掛けかねない。

 あくまで野鳥生態撮影は事前の念を入れた観察、場所の熟知、用意周到な準備が大切。充分な水、食べ物、塩分、ごみ袋、虫よけ(スプレー、虫よけネット)折り畳み椅子、時間的余裕。これらが揃ってこそ野鳥撮影が可能だと思う。

  また前置きが長くなってしまった。

 今回の飛翔撮影は、オオタカが水飲みに来てそのまま飛び去った際の、全身が濡れていない状態での飛び立ちをご紹介。

 これは、いつものルーティン水飲み⇒水浴びの途中で、すぐ傍から撮影している集団の何かを警戒し飛び去ったと思われる。此処のオオタカは毎日待ち受ける撮影者10数名の存在を完全に把握して慣れてはいるが、いつにない話声、モノを落とした際の異音、何かいつもと違う事を察知し警戒すると水浴びをせず飛び去る。

 水飲みだけで飛び去るのは、逆に滅多に無い事なので、全身が濡れていない状態でのオオタカのしかも撮影者の方向への飛翔を前から撮影できるチャンスは非常に限られる。

 この猛禽類の飛び立ちは普通いつどの方向へ飛ぶか?全く判らないと思うだろうが、オオタカの生態を数日間丁寧に観察すると、決まった水飲み場・水浴び場からどの方向へ飛び立つかは予測できるようになる。








こうした数カットが撮れた日の高揚感、達成感は撮れた者にしか判らないだろう。

2025年7月6日日曜日

オオタカの生態観察 水飲み・水浴び編2. Observing the ecology of the Northern Goshawk: Drinking water and bathing Part 2.

  昨日のオオタカ水浴び編、思いのほかアクセスが多かった。アナリスティック見る限り国内より海外からのアクセスの方が多いような感じ。

やはりタイトルに1行でも英語を入れると海外からのアクセスが多いようだ。

 芸能人や有名人、あるいは自称・他称含めてアクセス数でお金を稼ごうとするインフルエンサーでもないこの手のブログで1日で1,300件以上のアクセスは非常に嬉しい。ご覧いただいた方々には感謝申し上げたい。

 で、昨日の続きの水浴び編、水飲みを終えたオオタカのオスは水路の縁にあるプールのような状態の水溜りに移動し、しばらく水風呂に浸かるような感じでジーッとしていた。

 画像データを見る限り13分間もの間水に浸かったままだった。

 その後、頭から水に潜ったり羽根を震わせて水をかぶる事12分。

 この間も鋭い目線は周囲を見真渡していた。以前ブログでご紹介した一瞬の「瞬膜が閉じてのカックン寝落ち」は無かった。

 

水飲み場所から飛び立って水浴びのエリアへ数m移動

此処で暫くたたずむ、6分間

この間移動して色々な角度で撮影、バーダーグループもゾロゾロ移動

それを嫌がったのか更に茂みに近い水溜りへ移動

手頃の深さなのだろう、お気に入りの場所かも

こうして結構深く浸かり13分間身動きしなかった。

おもむろに深く沈みこんだ後

上下動を繰り返して

水浴び自体はカラスその他の野鳥と大差はない

別の日の至近距離からの水浴びカット

水浴びを結局異例の長さで12分間行った。今日は此処まで。