2016年5月31日火曜日

東与賀干潟(大綬溺)は間違いなく西日本における干潟のナンバーワン! The Higashiyoka tideland (daijugarami) is certainly numero uno of the tidelands in West Japan!

 これで通算4度目の東与賀干潟への遠征歴となった。潮汐表を観て、ちょうど良い時間帯を狙って行かないととんでもなく無駄に時を過ごさねばならなくなるから要注意だ。干潟での観察はこの部分が他の野鳥観察と大きく違ってリスクの多い部分だ。途中、柳川の夜明茶屋で頂く有明海で獲れた魚介類だけで作る握り寿司の楽しみもあって、今後も通うことになるだろう。

 前回今年の3月中旬に此処を訪れた時は気温も低かったので、早朝遠くに熱気球が上がっていた。此の熱気球はバーナーで加熱した気球内の温度と外気温との温度差で上昇するので、気温が低くないと上がらない。いつか早朝の野鳥観察と熱気球のコラボレーションを画像に収められると面白いが・・・。


 ちょうど今回は満月大潮の日だったので、早朝佐賀市内の宿泊先から東与賀干潟へ向かいながら沈みゆく満月と昇って来た朝日を同時に見ることが出来た。

佐賀平野の西に沈もうとする満月。

東の方向、河口に並んだ漁船の向こうに昇った朝日。

 ヤマセミ中心に生態観察をしているので、数多くの野鳥を詳しく知らないし判別もいい加減な筆者だが、海鳥に関しては余計知らない。しかし、これからも野鳥の名前や判別に意図的に詳しく成ろうとしたり、その知識・判別力を競ったり誇ったりするつもりは毛頭ない、自然に覚えていければと思っている。


 野鳥に接する個々のスタイル、理念にはもっとオリジナリティが有って良いと思う。戦時中の軍艦識別力や航空機識別力の様に野鳥識別力を高めたいとは思わない。それはとりもなおさず団塊世代の悪しき「勝ち負け、優越感競争」に繋がりかねない。もう競争は散々やって来たし、飽きた。 だからこそヤマセミの生態に魅了され集中的に嵌まって観察研究しているというのに、今更野鳥の分野で勝った負けたの世界に引き戻されてたまるか?


 野鳥の名前をたくさん知っていることを自慢したり、野鳥の名を間違えた人を仲間の前で指摘し得意になるような輩を沢山見てきているだけに、ああいう人間にだけは成りたくないと思うばかりだ。

 
 この日はまだバーダーは一人も堤防上には居なかったが、地元の年配の漁師さんが居て、此の東与賀干潟漁の歴史や百科を教えてくれた。東与賀干潟の戦後の成り立ちや、ムツゴロウ、トビハゼ、ワラスボ、その他貝類の話を伺い、海鳥の習性など漁師ならではの貴重な話を伺えた。その伺った知識を頭に入れて面白い画像も撮れた。やはりヤマセミ観察の際の球磨川漁協の漁師さんの話を聴いて生態観察する時と全く同じだと思った。

 日本には多数の干潟が存在するが、野鳥飛来数、種類数ではここ東与賀干潟はトップクラスだろう。特に九州地区においては群を抜いて重要な場所だと思う。同じ有明海の肥前鹿島干潟と共に佐賀の資産だろう。

 その他にも熊本県の不知火海に八代・球磨川河口干潟、福岡市に和白干潟など在るが、規模も規模だがそれぞれ工事が多かったり都会化してしまい、野鳥の飛来数が不安定だったりする。

 自然環境関係のサイトに良く有る全国の干潟人気ランキングの一つを視ててみると面白い事が判る。ランキング式で順位など付けてもあまり意味が無いので順位を省いて北から日本のベスト10を紹介してみよう。



〇野付半島・野付湾(北海道)
〇風蓮湖・春国岱(北海道) 
〇谷津干潟(千葉)
〇藤前干潟(愛知・名古屋)
〇中海(鳥取・島根)
〇和白干潟(福岡)
〇東与賀干潟(佐賀)
〇漫湖(沖縄本島・那覇市)
〇泡瀬干潟(沖縄本島・沖縄市)
〇与那覇湾(宮古島)

 少し前の関西ベースのデータなので、筆者の私感が入っていないのがいささか残念だが、自分の好みを入れると当然もっと関東エリア、東北エリアが多くなるだろう。

これは、野鳥の飛来数や種類の多い少ないの比較だけではなく、訪問者が観察しやすい、トイレや駐車場施設が整っている、更には現地に我が物顔の関係者が居て、来訪者が排他的な扱いをされ不愉快な思いをしない・・などソフト面も加味されているという
 
 その点東与賀干潟は満点に近い環境だと思う。それは観察者の多さや和気藹々とした現場の雰囲気からも感じられる。これらベストに選出された干潟のほとんどがいわゆるラムサール条約に加盟している干潟だが、決してそれがベスト10に入る条件ではないようだ。別にラムサール条約に入ったからと言って野鳥の種類や数が増えるわけではない。全国の干潟・湿地帯で環境保全に努力されている所はラムサール条約など関係なく沢山存在する。
 登録されたからと言って格が上がる訳でもない。中には権威が付いたなどと威張る関係者が居るそうだが、大きな勘違いだろう。筆者も良く行く道東根室の春国岱や奥日光戦場ヶ原などではこのラムサール条約に入っているからどうのこうのという事は何もない。せいぜい看板が立っているだけ。

 此処東与賀干潟の特徴の一つは、野鳥を脅かすことなく観察しやすい柵の存在だ。柵のすぐ手前は満潮時の水位上昇による泥でぬかるんでいるため長靴が必須だが、観察者の胸から下が隠れるハイドの様な役割を果たしている。普通他の場所では、この距離で海鳥達を観察することは非常に難しい。

 もう一つの特徴は女性バーダーが多い事だろうか?トイレなどの施設が完備されているのも好条件と思われる。

 この日は早朝一番乗りだったので、地元の漁師さんに30分ほど色々な事を教えて頂けた。これは非常にその後の生態観察に役立った。漁師さんたちも利用している無料で覗ける高倍率の双眼鏡が素晴らしい!

これだけ種々雑多の海鳥が混在するのも素晴らしい!

動く時は種ごとの群れ行動は当たり前。

それぞれが、干潟内でテリトリーをうまく仕分けている。

 実際にこれだけ色々な種類の飛翔画像が同時に一つの画面に収まるのもここならではないだろうか?まるでカーテン生地や女性のワンピースの柄のようだ。本当に作れば売れるかも?

クロツラヘラサギ、この日は13羽が確認された。ほとんど翼端が黒い若鳥。

 こういうシーンを撮影できるのも東与賀干潟の特徴かもしれない。是非また行こうと思う。

 

2016年5月30日月曜日

今年の球磨川はササゴイが多いのか? We can see many Green-backed heron more than usually year at Kuma-river.

 5月24日付のこのブログでご紹介したゴイサギの採餌瞬間芸を覚えておいでだろうか?本来夜行性に近いゴイサギが真昼間、白昼堂々採餌している様にも驚かされたが、今年の人吉エリアは非常にササゴイに出遭う事が多かった。ヤマセミの幼鳥教育を連日観察中、必ず目の前を幾度も往復してくれた。

 球磨川本流の数か所、支流の万江川、川辺川でそれぞれ数回遭遇しているが、本流のそれも人吉市中心部で何度も出遭うというのは過去7年間で最高の回数の様な気がする。あのキャオーン、もしくはギャオーンという野鳥にしては珍しい鳴き声で辺りをビビらせる怪鳥の様に最初の頃は感じていた。

 流れの速い球磨川ではまず観られないが、茨城県の霞ケ浦、涸沼、あるいは浜名湖などで昔から有名な羽毛や木片を水面に浮かべる撒餌漁。熊本県内でも戦後地元で有名になったようだが、実はこれは全国的何処でも視られる生態だ。

 したがって今回出遭ったササゴイは全てゴイサギの様なじーっと獲物を待つオーソドックスなスタイルだった。ゴイサギと比べると遥かに警戒心が強く、目が合うとすぐに飛去してしまう。

 
球磨川本流、最終日帰京の日の朝、小雨の中で・・。目が合ってしまった。

サッと飛び立ち、つがいだろうもう一羽と川上へ・・・。

リヤエンジンの旅客機に非常に似たバランスだった。

万江川堰で、此処ではよくササゴイやゴイサギを見る。

堰の滝の前でのっそりとした歩き方が特徴だ。

人吉城址前の岩の上で。ヤマセミと違っていつもいる訳ではない。

同じく球磨川本流肥薩線第3鉄橋下流の岩で。

ちょうど肥薩線の列車が来て飛去した、別に音に驚いた訳ではない。

本当に今年はササゴイの影が濃い様だ。


2016年5月29日日曜日

球磨川のツクシイバラ自生地で野鳥を撮る! I took several photos of wild-birds at Tukushiibara wild-rose garden of Kuma-river in Nishiki-town of Kumamoto Pref.

 5月の下旬から6月初頭にかけて、毎年熊本県人吉球磨エリアの錦町・球磨川河原で野生のツクシイバラ(=筑紫薔薇)が満開になる。このエリアには錦町の「町の鳥」でもあるホオジロやひばりに加え毎年セッカが沢山飛来する。

 これで3年連続の訪問だが、今まで野鳥だけを撮影してきたのを、今年はせっかくだからセッカをこの満開のツクシイバラをバックに撮影してみようと思った。 いわゆる花鳥画の現代版?って事だろうか。

 周りはツクシイバラが満開だから簡単だろうと思ってやってみたら、これがまた非常に難しかった。大体トゲの在るツクシイバラ自体に野鳥は留まらないのだ。実際にはツクシイバラの花株の群れの間の枯れた草の茎のてっぺんに留まる。しかもセッカはその枯草の頂上が二股もしくは三つ四つに分かれていないと留まってくれない。

 しかし、こちらも東京から航空運賃と宿代を払って来ているのだ、手ぶらでは帰れない。そこで小一時間、セッカの行動パターンを観察した。ヒッヒッヒッと風に向かって上空へホバリングで上昇した後、ジュンジュンジュンと鳴きながら高速で無秩序に飛び回る。あちらと思えばまたこちら、上空から真下に見下ろせばその飛ぶエリアとパターンが読み取れようが、ツクシイバラの河原にいては無理。

 しかし、しばらく見ていたら飛び方はめちゃくちゃだが、好んで留まる枯れ草は1~2か所決まっている事を発見!ヤマセミの採餌場と羽休めのポイントと同じだ。行き当たりばったりでは無いのだ。それさえ判れば準備はできる。ツクシイバラの咲いている塊を背景にその枯草を捕え、太陽の位置などを考えるとどうしても逆光の方角にしか撮影場所が無い。無造作に野生の薔薇の咲く河原とはいえマムシもいる深い草むらにカメラ機材を持って薔薇を痛めながらズンズン入る訳にもいかない。

 こうして準備・観察から2時間。予想通りお目当ての枯草にセッカが2度ほど留まってくれた。その成果を少しご紹介。

普通、セッカはこういった枯草の頂上が幾つかに分かれている場所を好む。

今回はその枯草の遠い背景にツクシイバラが咲いている所を探した。

飛来して留まっても鳴き続けるセッカ。

此処は少し順光に近い場所。

こちらは斜め前からの準逆光。

 いずれにせよ、相当絞って被写界深度を高めないと背景が何だかわからない。開放で撮る事が多い野鳥撮影で絞りを22だとか絞り込むのは自分にとっては非常に珍しい事だった。


2016年5月28日土曜日

人吉市内のヤマセミ子育ては分散化の時期に入った模様。 The educational season of Crested kingfishers are progressing to individual and separate process.

 5月17日に人吉球磨エリアに入り、12日目にして初めて昼間の雨降りに遭遇。梅雨入り前の時期にしては奇跡的な事だった。もちろんヤマセミという白い部分に蛍光色を持つ野鳥は観察するにしろ写真撮影するにしろ、ピーカンの晴天よりうす曇りの方が望ましい事は経験者で在ればお判りになろう。ただでさえ白飛びを起こすヤマセミ撮影だもの、通常ですら1絞り落として撮影しなければならない中、五月晴れのピーカンは結構脅威だった。

 しかし、今日ご報告のヤマセミ大家族幼鳥教育の現場は南側に高い崖と樹木帯が在って直射日光はなかなか当たらないエリアで、撮影自体は好都合だった。早朝と日没前はその壁まで直射日光が当たるのでその時間だけ撮影を避ければ観察には最高の場所だ。

 3年前も6羽のファミリーの幼鳥教育を観察できた。今年も同じ数の幼鳥が育っているようだ。観察する方も初めてではないので、ヤマセミ個々の行動の意味を非常によく理解できた。ただ2羽で飛んでいるのではない、ただ3羽で飛んでいるのではない。二羽の争いの原因は?などなど奥の深いヤマセミの教育現場からのレポートを、今日はほんの少しご紹介。

日陰側の崖すれすれを一番左の親鳥が餌を咥えて、集合場所へ急ぐと幼鳥が列を成して後を追いかける。撮影する側は日に何度も繰り広げられるこの様をじっくり反復で撮影できると言う訳だ。しかし、川幅200mの球磨川本流。それなりの機材が必要となるのは致し方ない。200mmもしくは300mm程度の望遠で「これでいつも充分だ」などと言っている主義の方にはちょっと無理。

野鳥の詳細な生態を記録、つまり証拠に残す場合はせめてこの大きさは必要だろう。場合によってはデジスコ(デジタルスコープ)撮影も有効だと思うが、被写体のすぐ脇、周りの生態に目が行かなくなるのはちょっと不安だろう。役割を決めて数人で一緒に観察するのが良いかもしれない。

気が付けば5羽が集っている。親一羽、幼鳥4羽の構成。大概6羽目の親は高い所でこのファミリーを視ながら辺りを警戒していることが見て取れる。

先の2羽が飛翔訓練中の親子で、後ろが俺も参加させろという別の幼鳥の場合が多い。

時には、「なんで今、こんな所で縄張り争い?」と思いきや、親子の喧嘩だった。何もそこまで激しくしなくても・・・。と思うが、ヤマセミは親でも子でも切れるのは早いようだ!

親子喧嘩がヒートアップすると平気で1kmくらいは追いかけっこする。うっかりしているとまた別の2羽が来たかと錯覚してしまいそう。人吉ならではの光景だ。

こうして、球磨川下りの発舟所まで遠征してきたりもする。

慣れてくると球磨川下りが準備を始めても無鉄砲な幼鳥たちは平気で回りを飛んだりする。





2016年5月27日金曜日

団塊世代の「旅」の満足、「おもてなし」とはいったいどのような事?その2. Exactly what it is the satisfaction of the baby boomers? Part2.

  酸いも甘いも嚙み分けられる団塊世代が満足できる「宿」の話の二日目。繰り返すが、金に糸目を付けない旅で満足を得ようとする方や、お金を無尽蔵にかけた行動こそが贅沢だと勘違いされている消費行動・比較評論中心に今までを生きてこられた方々には縁のない話と思って頂きたい。

 特にタイトルにもあるように筆者は「団塊世代」の特性を当事者として人一倍理解しているし、また筆者は団塊世代ベースの考え方でこのブログを書いている。したがって、中には少し世代が違うだけで「俺は違う!私はあんたとは全然考え方も生き方も価値観も違う!」という方が居て当然だろう。そういう多くの方々には、是非ご自分なりの考え方、価値観で「旅」をどのように自分自身で満足させているのか、ご自分自身で情報発信して頂きたい、ぜひお聴きしたいところだ。

 昨夜も、この団塊世代の実務クリエーター(=実業家ともいう)2名と、夜が更けゆくまでホタルの飛び交う山奥で裏を流れるせせらぎの音を聞きながら談笑した。有名な楽団のメンバーたちが、新しく招いたオーケストラの指揮者を悪戯を仕掛け、いたぶったつもりが、逆にコテンパンに叩きのめされたという、神津善行先生の受け売りの話から、税務署の横暴さやそれに対抗する実業者の苦労話など、ネタは尽きないが、やはり人のやらない事を努力して成し遂げる過程の醍醐味・スリル・快感は、何物にも代えがたいという話が多かった。歴史を積み重ねた団塊世代同士だからこそ瞬時に判り合えるのだろう。

 その中で、やはりカッコ良く在りたい、同僚・同期の他人とは一線を画した独自性・オリジナリティで目立ちたい!という本音も結構出てきた。「他人と同じじゃ嫌だ!」皆がVANを着るなら俺だけJUNを着ていたかった・・・。此の精神が脈々とこの実業家2名の生き様のベースに存在することを知ってとても嬉しかった。もう、こうなったら二人を応援者ちゃう!驚いたことに焼酎醸造元経営者は何と!阿佐ヶ谷美術学園で一緒だった事が判明!これって火に油?


 左から老舗焼酎醸造元兼アルコール・アナリスト、山と森林環境保護実践者。真ん中が老舗旅館・カフェ経営・建築プロデューサー、筆者。人吉で意気投合した団塊世代三バカ大将。このお二人の実務力と膨大な現場叩き上げ経験値にはとうてい歯が立たない!


 自分が知っているあらゆる人脈を使って、金を掛けないで、口先だけで中身(知恵と発想力とオリジナリティ)のない広告業界、特に代理店周辺の人種には一切立ち入らせないで応援できるもの。

 先日、NHKのプロフェッショナルで特集されていた旭川の請川博一君だって、スノボ業界、1995年頃からの長い付き合いだが、広告業界とは何の関わりあいもない。一緒にスノボをやり、大会運営をして、挙句の果てには長野オリンピックの競技役員で一緒に大会の裏方をやった仲だ。
 それが、いつの間にやら農薬散布のノーマルヘリの草分け的存在からドローン操縦に関する日本の礎を築いているという。

 彼が2年前の初冬、桜島火口をドローンで調査するという国交省の依頼で鹿児島に来たとき、無理を言って人吉に寄ってもらった。そこで、昨夜のメンバーの一人の経営する素晴らしい丘の上のレストランをドローンで空撮!同時に数年うちに撤去される予定の人吉城址の人吉市役所を城址と共に空撮しておいた。熊本地震で既に建物には立ち入り禁止だ!何という偶然?

 やはり世の中は「ご縁と幸運」で結ばれている。口先だけのビジネスではなく、中身の詰まった実務をできる人間達の「輪」が本物を生み出す世の中であることをやっと最近知った次第・・・。


話は替わって、「おもてなし」の話、少し長くなる。

「おもてなし」など、本来は憲法で言うところの基本的人権に等しい、当たり前の事。なんで今更あちこちで「おもてなし」を強調するのだろう?多分よほど今までおもてなしをして来なかったのだろう。

 このおもてなしで気に成っていたのが、日本の宿泊施設、レストラン等における酒飲み優先の風習・対応だ。基本的に世界中何処においても酒を飲めない人種は決して多くはない。
 その中で東洋人種で日本人だけはその20%、つまり5人に1人はアルコール分解酵素が無いという不思議な人種なのだ。これは生まれ持ったDNAがそうなっているのであって決して本人が悪いわけではない。

 しかし、古来日本では「会合では酒は飲むのが当たり前、人前で酒を沢山飲める人間を酒豪と称して褒める」妙な伝統が根付いていた。酒飲みはこう言う、「飲み会やコンパで飲めない奴はあまり見た事ない。」 
 当たり前だ、アルコール分解酵素の無い人間は基本的に酒飲みの宴会になど好んで行かない。割り勘負けは当たり前、飲み放題でリストに在るノンアルコールの飲料など、そこいらの自販機で買えるものばかりだろう?誰がそんな負い目を感ずる場所へ行くものか。マジョリティの酒飲み達はこれをまったく理解しないし、してこなかった。

 自分が歓送迎会の主役・ゲストだったり、己や家族、または同僚の冠婚葬祭、あるいは久しぶりのクラス会・同期会、クラブのOB会には出るが、それ以外の酒飲みがただ騒ぐ「宴会・飲み会」になどまず積極的には出ないモノなのだ。意中の彼女が居ればまた別かもしれないが、団塊世代であれば、それももう昔の話だろう?

 酒飲みと、飲めない人間が複数でレストランへ行ったりすると、酒飲みは、さも当然といった顔でアルコールを注文する。
 しかし海外では、同席者が日本人で酒を飲まないと判っている場合は「我々はワインを飲むが、貴方はノンアルコールの何を飲むか?」と訊いてくる。日本でも最近はそうなって来ている。「飲めない人を前にして悪いねぇー飲ませて頂くよ?」と一言あるのがやっと普通になって来た。しかし当然顔でアルコールを飲む人間もまだまだ居る。

 食事の流れも特に和食の場合は、酒を飲む事を前提に出るモノの順番が決められている。最後に締めとか言ってごく少量の食事が出る。いわゆる飲み屋に至っては御飯など無い場合が多い。しかし酒を飲まない人間は最初から白いご飯を食べたいのだ。酒飲みにとっての肴、つまみは飲まない人間にはあくまでおかずなのだ。この辺りの日本の食文化はまだまだだ。
 以前にもこのブログで書いたが、リゾートや高級レストランで売り上げ活性化の話に成った時、酒を飲めない客達も同等に扱い、ノンアルコールの飲料のバラエティをもっと増やすべきだ、そうすれば飲めない人間も引け目無く同席できるので、来店頻度が上がろうと提案した事があった。これは如実に売り上げ増につながり、一時期は飲食店の仕事依頼が相当増えたのを覚えている。担当しアドバイスした店やホテルは平均15%も売り上げが伸びている。

 と言う訳で、今日は昨日の続き。見えない部分に物凄い職業プロの思い入れと満足感が詰まった、たった5部屋の究極の宿をご紹介! 

 
照明器具には殊の外細心のセンスが見て取れる。必ず石素材とのマッチングに気配りだ。

寝室は和室の他にベッドルーム、会議室的談話室、朝食は其処で頂く。

洗面所のセラミックと木の丁合、横に置かれたロクシタンのヴァーヴェナ!唸ってしまう。

トイレのスリッパにオーストリッチの本物を使うって?どこまでこだわるのだろう。

 フロント横の談話コーナー、1962年に発表されたFLOS ARCOフロアライトに此処で出遭えるとは思わなかった。小田急ハルクの湯川さるんで散々観た作品だ。このコーナーすぐ隣にはまるで茶室の入口のようなバーの入口が。

男女の浴場は地下に存在する。

明治41年開業当時、掘った温泉になるべく近い場所でと考えたのだろうか?温泉があまり好きではない筆者でも1日2度入りたくなった、非常に趣のある「古温泉」だ。

 到着したお客様用に、最近言われる「おもてなし」の類か?此処では明治41年創業以来の「お決まり」なので、いまさらとって付けた様な
「おもてなしとは訳が違う、年季が違う。」

2016年5月25日水曜日

団塊世代の「旅」の満足とはいったいどのような事? Exactly what it is the satisfaction of the baby boomers?

  「贅沢をする」という事と「満足する」という言葉は似ているようで全然違うと思っている。贅沢をしても満足感を得られなかったり、質素でも、あるいは全然お金を掛けなくても満足感を得られることは世の中に数多く存在する。
 満足、すなわち満ち足りた感覚を得る為に、人間は一体どれだけの努力をしてきただろう?個々における満足感は比較できない。それぞれの人間により精神的満足度のキャパシティ、あるいは欲深さの尺度や単位が違うからだ。

 一方で贅沢という行為は一概には言えないまでもお金に糸目を付けるか付けないかなど、比較しやすいのは確かだろう。旅行、特に観光旅行などにおいて、よくこの「贅沢な旅行」などの宣伝文句がセールストークに見受けられる。しかし「満足な旅行」とは謳えない、それは受け手の満足感は他人には決められないからだ。

 JR九州ではないが、ななつ星という超豪華な列車で九州内を走りまくる「列車旅行」が話題になり羨ましがられたが、何と実に夢の無い、オリジナリティの無い旅なのだろうと思う。高価で予約が取れない「豪華な旅」を買って乗って他人を羨ましがらせるだけの為のモノ以外何物でもないと思う。コースはJR九州に決められ、列車内に主に泊まる。確かに鉄道ファンで豪華列車の旅が好きであれば、ある程度の「満足感」は得られよう?


 かく言う筆者も小学生時代から毎月列車時刻表を定期購入していたほどの鉄道マニアだったのでこの企画自体の魅力は少しは判る。しかし突き詰めて考えれば、あくまで鉄道は移動手段の一部。 乗ることそのものが旅のメインではないと思うのだ。それに九州の魅力は主要駅付近にはあまり無い事くらい本当の旅行通は皆知っている。ななつ星に乗って北九州門司のレトロ門司港を楽しめるか?話題の武雄市図書館を見学できるか?ランタン祭りのランタンで埋まった眼鏡橋を撮影できるか?

 要は魅力満載の雑誌で言えば目次だけ観る旅?映画で言えば大作の予告編だけをプレミアムシートで観るってことだろう? しかも、その豪華列車車窓からの景色って地元の朝の通勤列車から見える景色とどこか違うのか?実は全く同じなのだ。筆者は詐欺に近いとすら思っている。

 移動手段で移動した先で何をするか?何ができるか?が「旅」なのではないだろうか?弥二さん喜多さんの東海道歩きの旅とは時代も異なれば価値も違う。

 そういう基本的な「旅で満足感を得る・・」に最適の宿を人吉に見つけた。人吉に通って7年目、過去200泊した人吉でまだ一度も泊まった事の無かった老舗中の老舗旅館だ。たった五部屋しかない!しかしホテルで言えば全室がスウィートルームだ。

 蛍光灯が一本も使われていない!正目と板目の木板の日本建築の美を楽しめる!石造りなのにぬくもりを感ずる事が出来る!日本の建築基準をはるかに超えた贅沢な大きく広い空間を楽しめる!自然光を天窓、障子、ガラス戸を通して浴びられる。日本建築の持つ遮音性・遮蔽性を体験できる。
 夜になってもカラオケの音が聞こえて来ない。聞こえるのは風が木々を揺らす音、虫の声、鳥の声、遠くに球磨川のせせらぎの音。自然が障子の向こう側まで迫ってきている造りになっている。

 朝起きると、男衆が正面玄関回りだけの蜘蛛の巣を払っている。蜘蛛が巣を張るという事は虫が多いという事の証。虫が多いという事は野鳥が多いという事の証。自然が好きな人にはたまらない環境だ。宿の女将さんに聞いた話、遠方からのお客さんが、朝球磨川の土手に散歩に行ったら、一つの岩にヤマセミとカワセミが一緒に留まっていて感動した・・・そうだ。

 お髭の殿下がご存命だったら、真っ先にお勧めしたかった。なんでもっと早く泊まらなかったのだろうと悔やんだ。本物を知っている、あるいは自分で何かものを造り出せる人間にしか此処の良さ、凄さは判るまい?単に消費・比較だけを経験値で述べるだけの観光評論家だの旅行雑誌ライターに此処をぜひ評論させてみたい。「おもてなし」だの「本物志向」だの「大人の旅」だのを軽く使って論評しているライターになど判る訳がない。

 此処のオーナー氏は筆者と同じ団塊世代で稀有の建築プロデューサー。身に着けるモノ、身の回りのモノのセンスは東京でもあまり残っていない絶滅危惧種的人種。もう一人、同じく団塊世代で知る人ぞ知る球磨焼酎の老舗オーナー、自社の伝統と私有地を含む広大な地所の自然環境保全に全財産と命を懸けているチョイ悪洒落男が居る。

 何故、これだけのセンスの持ち主、しかも団塊世代ど真ん中が2人も人吉に生まれ育ったのか謎だ。齢60を超えてから出逢ったればこそ成せる業なのか?

しかし、この筆者と同じ団塊世代の洒落男2人!この二人がやっている事、クリエイティブしている実業は逆立ちしても筆者には無理!日々尊敬以外の何物でもない。バイタリティと行動力、他には絶対に無いオリジナルのモノを作り出す底力は、都会の広告代理店周辺で、横文字を並べて何か新しい切り口のビジネスジャンルを始めようとするような軽いノリとは訳が違う。すべてがリアルなのだ、妙な条件付きだとか、タラレバの類は一つも存在しない。

 訪れた旅人が、思わずうなってしまうような満足感を与えてくれる宿を二度にわたってご紹介したい。これは宣伝でも広報でもない。だから名前は出さない。ぜひ行きたきゃ、是非ご自分で調べてほしい。「おもてなし」だの「大人の旅」だの軽い使い古された旅行業界用語では到底表せない、麻薬のような「満足感」を感じる事が出来るだろう。此処へ泊まってみれば、費用対効果だの他との比較優越感だののせこい「お得感」などすっかり忘れさせてくれる。死ぬまでに一度は経験しておくことをお勧めしたい。

 まずは、建物の凄さ、室内居住空間の凄さ、裏方の仕事の凄さなどからご紹介。
球磨川本流のすぐ脇に建つ純日本家屋なのだが、中身は驚きに値する!

日本家屋の正面玄関がこれだけ長いスパンの空間を開けられることに驚かされる。
早朝、山男出身の男衆が玄関付近だけの蜘蛛の巣を払うのが日課。無益な殺生はしない。

中から見た玄関回り。

天然の樹木がふんだんに使われていて、館内はどこにいてでも木の匂いとぬくもりを感ずる。

奥の客室ブロックへの通り道、行く正面に大きな長持ちが置かれている。

これは江戸時代の商家大店の嫁入り道具らしい。青井阿蘇神社と同じ家紋。

二階客室への明るく広く高いl空間。オーナーのセンスがこういう部分にも出ている。

決して玄関ではない!日本を感ずるもう一つの別な入口だ。

これ、各室のトイレのドア。正目と板目の融合に裏からのみ鋲を当て金具が非常に重厚。

厨房と食事場所をつなぐ通路。料理人がプライドを持って通る明るい空間だ。

この宿の裏に回って驚いた。天日で干された裏方の仕事道具は純日本伝統の生活用品だった。

続きをお楽しみに!各部屋、料理、その他・・・・。