このチュウヒはまだ野鳥にあまり慣れておられない方にはトビとの差異が判りにくいと思われる。まあ似た様な猛禽類だが、基本的にトビは尾羽がナイフでスパッと切ったように綺麗に真横に切れている。(ごく少数・若鳥などでV字に切れている場合もある)
それ以上に特徴的なのがその飛び方だ。風が無い場合サーマルと呼ばれる上昇気流に乗って輪を描きながら上昇して行きコメ粒ほどになるのが鷲や鷹の仲間の癖。しかし、チュウヒは採餌する際含めて葦原や畑のギリギリを低空で飛んでいく。しかもその飛翔形態は正面から視ると主翼の両端が上に上がったV字飛行だ。トビやオオタカのように真横には成らない。
葦原などでネズミなどの小型動物を見つけると、模型飛行機の片方の主翼がもげた時に墜落するような急激な回転をして草むらにダイブして採餌する。これは同じ環境で採餌するコミミズクなどと非常によく似ている。
茨城県の霞ケ浦では朝7時の日の出頃(1月の話)からこのチュウヒが葦原やすすき野を飛んでいる。日中は数羽同居で低灌木などに留まって羽根休めをするが飛行している時が多い。
時折、上空でもつれるようにチュウヒ同士が争っているのを見かけるが、とても真剣に戦っているとは思えない。同じ草地・葦原を猟場としているのだから、とてもヤマセミの様な縄張り争いとは思えない。
しかし昨日の一本目チュウヒ投稿でも述べた通り、このチュウヒは他のハイイロチュウヒやマダラチュウヒのように「これだっ!」とはっきりとした体色的特徴が決まっていないのが悩ましい。
良い例えに成るか否か判らないが、昔の有名ブランドスキー板は全てデザインが決まっていた。ロシニョールにせよK2にしろブリザードにせよだ。ロシニョールに関してなどはSMコンペやストラードなど競技目的により更にデザインが決まった居たため、団塊世代のスキー狂い達にとっては絶好の自己顕示欲主張の小道具としてもてはやされたものだ。
しかし、スノーボード全盛に成った頃、スノーボード板が同じブランド、同じ品番でありながらデザイン・グラフィックのバリエーションが異なる製品を沢山造って販売したためステータスシンボルとしての自己顕示が出来なくなってしまった。つまり高い有名な板を持つことで自己顕示欲を満足させたり、優越感を感ずる事が出来なくなってしまったのだ。
例え話を全然関係ない事に持って行ってしまったが、ちょうどこれと同じような状態で、チュウヒと言えばこれだっ!という定番色・柄が無いのだ。ハイイロチュウヒやヤマセミのように「アッ!あれだっ!」と言えるお約束のスタイルが決まっていないのだ。
だから日本の三大鳥類図鑑にも1タイプのイラストしかないので、余程の研究者やチュウヒが好きで追い掛け撮影している方にしか、現場で遭遇した際の判断が出来ないのだろう。
今日のチュウヒは色々な物の中から茶色系統の普通のチュウヒ画像をアップしてみたい。いずれも霞ケ浦附近3カ所(西浦・浮島・天王崎)での撮影。
次の個体がこの図鑑(清棲 幸保の日本鳥類大図鑑)に描かれているチュウヒに一番近い。※後ろの7番はハイイロチュウヒの♂
遠くから見るとアメリカ大陸の白頭鷲に見えてカッコ良かった。
昨日の投稿でもチュウヒの年次総会の様だとアップしたが此処に写っているチュウヒ8羽は全て普通のチュウヒの様だった。