2020年2月9日日曜日

団塊世代は久々に素晴らしい本と作者に出会った! The baby boomers have met a wonderful book & novelist after a long absence!

 地上波テレビの民放は殆ど見ない。見るのはNHK総合とBS1とBSプレミアムくらい。あとは殆どJCOMで観るCATV・FOXやAXNミステリー、あるいはシネフィルWOWOWばかり。

 何処へ行くにもDellのラップトップ(1㎏)を背負って歩き、スマホは持たない主義なので、電車とかCafeでは本を読むか、ラップトップを開いてコンデジで撮ったばかりの画像を処理している。

 で、その本なのだが、ほとんど文庫本が多かった最近、九州をベースに活躍している写真家氏のFacebookでの勧めに従って新刊本をAmazonで手に入れ、笑い転げながら読んだ。久々に意気投合する作者に出会えた気がした。

 筆者の週末ブログ「団塊世代の~」シリーズをご覧になった方であれば、似たような、でも遥かに優れたノベリストが居たことを発見するだろう。筆者も是非弟子入りしたい!

 全編に一本筋が通っていて、それでいて要所要所に駄洒落が素晴らしい!しかし全方向にアンテナを張って世情や流行りもの流行り言葉に精通していないと、著者が言っていることが判らない、駄洒落が判らない・・。あの高田純次の話術と同じで読み手・聞き手がテストされているような「本」なのだ。

 広告代理店で25年間、いい加減で無責任な根無し草のような業界を経て、広く浅く色んな知識を得た筆者がやっとヒーヒー言いながら笑える、実は非常にハイレベルな本だと言って良い。

 筆者の「団塊世代のヤマセミ狂い外伝」同様、ネットのブログに投稿した内容を縦書きのアナログ本にしたのだと思うが、洗練された文章や流れはもう天才の域に在ると思う。

 過去の芥川賞や直木賞、あるいはその他のエッセイ賞などの選者たちに是非読ませたい。読めば彼らは思うだろう「俺たちは間違っていた!これを読んで目が覚めた!今まで与えた賞は全部チャラ!」とかなんとか言って。

 もともとこの手の有名な文学賞やエッセイ賞なんて「見知らん星三つ」だの信用に値しない世の中の賞と一緒で、お笑い芸人が書いた受賞作品を含め読んで面白かったためしがない・・・。あくまで筆者は。

 タレント登竜門新人コンテストだって、実はグランプリに輝いた子より2位3位の子の方が売れっ子に成ったりするのと一緒で、万人受けするタイプより少し偏った強烈個性の方が受けるのだ…と筆者は思っている。今回出会った本はまさにそのタイプ。
 此の表紙の顔は西欧の哲学者らしい、この本の著者が尊敬する人らしいが筆者は知らない人。
 ロバート・ツルッパゲと言うのは此の表紙の顔写真とは何の関係もない。まー読んでごらんよ!面白いから。書き方はブログ口調やFacebook口調だったりするので午前中で読み切れる。1月の末に発刊されたようだが2月8日の昨日、新宿などの大手書店にもまだ並んでいなかった。しかしAmazonで手に入る。ヒット間違いないだろう。

 例えば、その一説をご紹介すると・・。

「たとえば「ミスチル」と聞いて、何かおかしいと感じる人はいますか。別におかしいとは思わない、急にミスチルを持ち出すお前の方がおかしい、という人がほとんどでしょう。皆がミスチルと呼んでいますからね。では短縮形の「ミス」て何を表していますか。ミスター・チルドレンの「ミスター」の部分ですよね。男性につける敬称であるミスターが、未婚女性につけるミスと同じ二文字になってもいいんでしょうか。言葉を省略したことで、本体は反対の意味なのに一緒になってしまいました。「ミスド」もドーナツの性別があやふやになった例です。」

 こんな調子で、「気もちが良い」と「気持ちが悪い」を「キモい」という言葉で一番重要な部分をはしょって平気で混乱させている現状を憂いたりしている。

 また、京都の料理人が鱧を0.5㎜間隔で骨切りしているのを職人芸だと誉めそやしたりするけれど、本当に重要なのはその鱧が食べたとき美味しいかどうかなんですよね、と「理解した情報による感動」ではなく「理由なく自分の味覚が感じる部分の感動」が重要なのだと言い切ってくれている。寓話「裸の王様」に通ずる小気味よさも感じられる本だ。

 写真を撮る際の哲学的見地なども目から鱗の話が盛りだくさんだ。実は彼の本職は写真家なのだ。もろ手を挙げてエールを送りたい。

 そういえば、恵比寿ガーデン・プレイスの東京都写真美術館が開館25周年を迎えた。貴方は幾度此処へ足を運ばれたろう。写真を撮る方々、大変勉強になるのでお勧めだ。