冗談はさておき、ヤマセミの天敵はハヤブサなど猛禽類は勿論だが、実はカラスも大の苦手なのだ。しかしヤマセミがカラスの姿を見た途端逃げたりはしない。いくら嫌がらせをされても川や池など水のあるエリアにさえ居れば、水頓の術で躱せることを知っているので落ち着いているのだろう。この様子は数年前当ブログ「ヤマセミ水頓の術」で詳細をご紹介した。
カラスは5~6月の繁殖期だと営巣地の傍を通ったり、近くで採餌する他の種族の野鳥は猛禽類であろうとなかろうと、猛烈に挑みかかって排除する。時には人間ですら頭を狙って叩きに来る。
これは繁殖期のヤマセミにとっても同じで、子育てをしている巣穴に近づく野鳥はカラスだろうがヒヨドリだろうが、猛烈に鳴きながら攻撃を行う。このあたりもこのブログでも過去に幾度か取り上げ画像でご紹介した。自然の摂理は凄いものだ。
今日の生態画像は、球磨川支流部の川の上に架かる架線上での面白いシーン。この場面以外でも同じような生態の画像が存在するので間違いない。
架線から獲物を狙うヤマセミのオス。
と、横にカラスが来て留まった。
カラスが挑みかかる様な姿勢でプレッシャーをかけたようだが動じないヤマセミ。
カラスは動じないヤマセミが少しじれったい様だ。
幾度も留まる向きを変えた。
カラスが気にしながらもジリジリと距離を縮めてきた。
カメラを向ける筆者に「何とかしてくれよ!」と懇願の目線を送るヤマセミ。よほど体臭がきついのか?とも思ったが違うらしい。
次の瞬間ヤマセミがとった姿勢は信じられないものだった!完全にシカト・ポーズ!
この完全シカトスタイルはカラスが遠ざかるまで続いた。まことに驚いた次第。鳥類の文献にはこういっためったに遭遇出来ない生態や、他の野鳥との関係などを観察して記したものは少ない。ましてや出遭い難いヤマセミに関しては文献そのものが無いので、参考に成るものが殆ど無い。少しでもこういったヤマセミの生態を観察し証拠画像と共に残したいものだ。