2017年5月6日土曜日

団塊世代が感ずる観光PRの気になるポイント。This is the point which the sightseeing PR which baby boomers feel worries.

  ご存じのように筆者は熊本県の人吉市界隈へ年間7~8回は遠征し、ヤマセミの生態観察をしている。
 ここ数年は、所属している早稲田大学理工学部の研究員として最終的な「ヤマセミと人間の共創・共存」に関しての6年がかりの論文をまとめている最中だ。秋口には完成させたい。

 いわゆる観光旅行の類いはあまりしたことがない。大きな理由はいくつかあるが、酒を飲めない体質(アルコール分解酵素が全然無い)、温泉など風呂が苦手(徐脈のため長湯が疲れに繋がる)、プライバシーの無い日本式の宿のシステムが嫌い・・・。など観光旅行には向かない我が儘な客なのだ。

 つまり、温泉と豪勢な料理には全く魅力を感じない偏屈な人間なのかもしれないが、長いこと広告代理店で地方の観光活性化のお手伝いなどをやり、失敗を重ねてきたので観光活性化に関しては一家言を持っている。観光活性化の理念は「言うは容易く、行うは難し」だろう。英語にも全く同じ格言が存在する。Easier said than done!、ヒット曲すら存在する。 https://www.youtube.com/watch?v=466Y-5dPtBQ   

 そういう背景を元に、一番身近な熊本県の観光PRを分析してみた。昨年2016年4月の熊本地震以降「復興」のかけ声で一生懸命な熊本県の観光行政並びに観光事業者の思いはいかばかりのものかとお察しする。
 しかし、天災はどうしようも無い。元々日本で一番長く大きな地殻変動ライン中央構造線最西端に存在する熊本市およびその周辺は、残念ながら今後も大きな揺れは覚悟しなければいけないだろう。

 過去においても大きな地震が幾つか在ったにもかかわらず、「熊本は地震が少ない」と学者も行政も勝手に思い込んでいたため、ショックは大きかったろうと思う。地震後「風評被害」うんぬんを危惧する声も在るが、間違いなく未だに危険な状態で在ることは地質学者・地震学者がコメントしている通りだから、観光客が急に戻らないのは当然だ。

 いくら、くまモンが「もう大丈夫だもん!」と言っても自然はそうはいかない。熊本県は未だにくまモン人気におんぶに抱っこ状態だ。人気があるのはもちろんその通りだし、デビューして7年も経ってくまモンを知らない人間は日本には一人も居ないだろう。
くまモン・オフィシャルページ= http://kumamon-official.jp/

 しかし、多少の危険が残っていても、熊本県に行こうと思う観光客・旅行客の全てがくまモンがいるから、あるいはくまモンのグッズが買いやすいから・・・では無いだろう?
 正直2010年誕生のくまモンには、、7年経って少し食傷気味である上、熊本県の観光案内は熊本地震復興応援のかけ声スローガンだらけで「普通の旅行・普通の観光旅行」のお客に対するPR・サービス・案内が後手に回っているのでは無いだろうか?

 未だにどこへ行ってもくまモングッズが土産物屋の最前列に並ぶが、二度三度行った客が毎回同じくまモングッズを土産に持って帰って喜ばれるとも思えない。

 コレは、毎年7~8回、2010年から既に熊本県内に230泊以上している東京の人間だから感ずることなのかもしれない。初めて行く方にとっては全然問題ないことなのかもしれないが、隣り合った、あるいは同じ九州内の他県と比べると今の熊本県の観光PRが少し「足りない」ということに気がつくだろうと思う。

 他県においても熊本県の観光関連の行政担当者においても、東京という一番観光客になり得る消費者が大勢居る場所での自県の観光案内・PRの重要性にあまりに気がつかない事実に驚かされる。

 コレはある程度観光資源に恵まれている地方自治体ほど、その傾向が強いようだ。阿蘇があり、熊本城があり、天草が在る熊本県はそれだけで十分なのだろう。しかし同じ九州に在って南の鹿児島県、西の観光エリア長崎県のPR活動に比べると数段劣っているのは否めない。

 銀座のど真ん中に銀座熊本館が存在する。同時にそこから徒歩で2分の日比谷通り沿いに鹿児島県の遊楽館が存在する。先日この2軒を同時に訪れ比較してみた。


東京のアンテナショップでの各県の物産売り上げランキングなどにうつつを抜かし、自県の観光PRの唯一の拠点である事がアンテナショップの本来の役割であることを忘れた運営では、この先はそう長くないだろう。コレはどこの県にも言えることだ。
 もちろん、熊本館も鹿児島遊楽館も1階で物産販売、それもお酒や飲食物中心で運営されている。
 しかし飲食物中心の物産展は百貨店でも年間幾度も出合うチャンスは在る。酒類に至っても同じ、わざわざアンテナショップなどへ行かずとも常時酒屋や百貨店酒売り場で購入可能だ。

 ではナニが一番観光客に求められているだろう?それは「リアリティの在る最新情報」だ。もちろんネット上でも検索すれば、各県情報は得ることができる。
 しかし例えば人吉市の観光案内のサイトを見れば3カ所も乱立していて、どれが正確なのか判らない。

人吉温泉観光協会: http://hitoyoshionsen.net/
人吉観光案内人協会: http://www.hitoyoshi-hikari.com/wakaayu/
@舎ひとよし: http://www.hitoyoshi-hikari.com/

 もちろん全国を網羅する旅行代理店や一般観光サイトのポータルサイトの中にも、人吉市で検索すればいくらでもこれ以外にも案内サイトは出てくる。
 実際これから観光に、あるいは仕事でも行こうとする方々は見知らぬ場所の情報をどうやって得るだろう?
 Googleマップで見るのはもちろんだが、その地ならではの有名・著名な自然・文化・風俗・食生活を紹介した詳しい本やパンフを直に欲しいと思うのはごく普通の事だろうと思う。残念ながら一般書店ではこの手はなかなか手に入らない。
熊本県の場合は行きたい所の情報がセルフで選びにくい。
一方鹿児島県は小さな市町村に至るまで、しっかりと判りやすく整理されている。

鹿児島県は離島関連の雑誌やパンフも充実している。熊本県にも天草が在るので各島情報など釣り情報に併せて置いたら如何だろう?

 これらは観光客を受け入れる受け手のモノの考え方だけでは上手く対応できる訳も無い。自分が観光客の立場で発想しなければサービス・PR等はまず上手く行かない。自分の過去の失敗経験がそう言っている。
 
 鹿児島遊楽館に在って、熊本館に無い大きなものが在った。レストランは別にして、物販物の中で県の文化自然を紹介した雑誌・本などの刊行物が鹿児島遊楽館2階には在ったが、熊本館には無かった。訊いたら熊本館では本・雑誌などの文献などは販売しない決まりなのだという。

鹿児島遊楽館の2階は情報源が非常にしっかりしている。

 鹿児島へ行くなら桜島・西郷隆盛に関して事前知識を入れておきたいと思うのは普通の考えだろう?離島関係の情報本にしてもそうだ。
 コレにきちんと答えているのが鹿児島県。熊本県は各自治体作成の、自画自賛売り込みオンリーのパンフを置いてあるだけ。

 これに対し鹿児島県は行政の売り文句ばかりでは無い、地元文化を公平な目で紹介している文献書物が数多く販売されている、その差は歴然だった。第3社の公正な目で視た紹介本ほど欲しいエリア情報は無いのだ。このあたりが行きたい県、イメージの良い県などの全国ランキングの数値に出て来ているのではないだろうか?(※アンテナショップの売り上げランキングではない)

 今日のブログはクレームでは無い、なんとか熊本地震からの復興を願う一熊本県ファンとしての提言と捉えていただければ幸いだ。