2013年12月29日日曜日

団塊世代のヤマセミ狂い外伝 #2. 八代へ転校してカルチャーショック My private history Vol-2. The relationships of Me and Kumamoto Pref.


 太田郷小学校へ最初に行ったのは忘れもしない1960年10月9日(日)だった。ちょうどその日は太田郷小学校の運動会の日。たしか今と異なってセミの鳴き声は聞こえなかったと思うが転校の日が運動会というのはいささか残念な気もした。しかし、その運動会で一番驚いたのは校庭にいる全員が裸足という事実だった!

もっと驚いたのは、通学するようになった翌々火曜日(月曜日は振替休日)の初登校日。なんと校庭では皆裸足なのに教室に上がる時は上履きのズックを履くのだ。それまで屋内では裸足でも外では靴を履くものという常識で生きてきた小学生にはこのカルチャーショックは相当なモノだった。この習慣は中学校に入っても同等だった。いつ頃この習慣が廃止されたかは判らないが八代に移っての最初のショックがこれだったのは今でも明快に覚えている。
1961年10月9日の太田郷小学校の運動会

ブラスバンドの指揮者も団員も裸足!

縦笛リコーダー?の奏者たちも裸足、曲はクワイ河マーチだったと思う。
 

十条製紙(=今の日本製紙)の社宅は福正町の中社宅・東社宅と水無川(日置川ともヘキ川とも呼んだ)を隔てた日置社宅に別れていた。

我が父が十条製紙工場の蒸留塔の上から360℃全方向の画像を残してくれていたのは今回のブログ執筆に非常に役に立った。息子にとっては土地や山林田畑よりはるかに意味のある遺産だ。同時に十条製紙にとっても貴重な画像だろう。2005年に当時の八代工場の工場長にこれらの画像を数枚プリントアウトして進呈した。

 今は工場拡張で取り壊された当時の社宅や工場長社宅などが写っているし、工場越しの八代市内の景色も一部写っている。大洋デパートが唯一の高いビルだったようだ。写真記録というものは貴重なモノだ。早くからそれに気づかれて八代の文化風俗・日常を撮影された写真家の麦島勝さんには本当に頭が下がる。
古麓神社から観た十条製紙と八代市方面。球磨川土手は桜の並木だった。

2003年に撮影した同じ場所。ただし5枚の写真を合成している。50年経って大きな樹木が視界を遮ってしまい実際にはこういう景色は今は見る事が出来ない。遠くに雲仙普賢岳が見える。 

 当時の社宅には風呂が付いていなかった。ユニットバスなどはまだ発明されておらず、各家とも共同風呂に通ったものだ。
福正町の中社宅・東社宅。中社宅は工場になってしまい今は無い。

日置社宅と竜峰山、この写真に写っている田畑には現在ほとんど家が建っている。
この日置社宅は2年前訪れた時にはまだ在った。

蒸留塔から球磨川遥拝瀬の方向を撮影したモノ。当時の球磨川河原は非常に広くポプラが沢山有った。野球場も有り春先には土筆が山ほど採れた。

 夏は夕方6時だとまだ明るい中、洗面器に石鹸その他とタオルを入れて社宅を抜けてはずれに在る共同風呂に行ったし、冬は同じ時間でも街灯の無い真っ暗な社宅の中を通った。しかし、いつの時も大きな音で稼働する工場の音を聴きながらのお風呂通いだった。この工場稼働音は直ぐに慣れて、そのなかで八代駅操車場の入れ替え作業の蒸気機関車の行き来する音が聴こえてきた。特に空気が澄んで音が通る真冬の夜は、この操車場の蒸気機関車の入れ替えの音が良く聞こえた。勿論、夜鳴きソバのチャルメラの音も聞こえたが食べさせてもらった記憶はない、いまだに残念至極。

これが、1965年から始まるSLブームの5年前蒸気機関車や鉄道に興味を持ったきっかけに成った。鉄道友の会に入り、蒸気機関車やディーゼルカーの列車写真を撮り、切符を集め、駅弁の折掛けを集め、鉄道模型HOゲージの模型を手作りで作成した。夢はジオラマ(=レイアウトと呼んでいた)制作。鉄道模型趣味という雑誌を毎月隅から隅まで読みまくり、台車や部品を熊本の繁華街の専門店まで一人で買いに行ったのも一度や2度の事ではなかった。

最近団塊の世代が現役からリタイヤして、鉄道模型に凝るというのがよく雑誌やテレビ番組に取り上げられているが、非常に良く判る。しかし今は出来合いのものが多いしサイズも当時の線路幅16mmのHOゲージの更に半分の8mmゲージになっているので遥かに簡単になっているだろう。ちなみに鉄道模型のベースは0ゲージと呼ばれ模型の線路幅は32mmが最初、HOゲージは多分その半分16mmなのでHalf of ZeroでHOゲージなのだと思う。夏休みに東京に出た時は真っ先に銀座の天賞堂、カツミ模型などに飛んで行ったのは言うまでもない、鉄道模型趣味の雑誌に出ている広告のお店にはほとんど行った。
  

ヤマセミや野鳥とはまだ全然関係のない時代の話だ。今日はここまで。