もちろん使用するカメラの機能も違えば、使用するレンズも違う。500㎜の大砲を手持ちで抱えて撮る野鳥と、三脚に固定して露出時間をかけて撮る天体や景色は根本からもう全然違う世界だ。
毎朝の犬散歩やサンセットランニングで毎日月を見上げていた団塊世代は、そろそろ満月ではないかと予想して月齢を調べたら、なんと昨日が月齢15ではないか!完全満月なのだ。
それを確認した筆者は何を思い立ったか、「よしっ!都心のビルから登る満月を撮ろう!」と決めたのだ。ネットで雲の様子を見ても東に雲はない!
この都心から上る満月を撮ろうという発想は、1981年~1989年まで’80年代を通して流行ったTVバラエティ「タモリの今夜は最高!」のオープニングからだった。ニューヨークと思われる大都会のビル群からリアルのタモリがぬーっと顔を出すシーンは、毎回判っていても笑ってしまう可笑しさがあった。
団塊世代は30歳代、「東京ラブストーリー」などでフェロモンをまき散らしていた頃。
しかし、東京の東方といっても一体ビル群のどこから上がってくるのか?撮影場所の選定と方角が判らなければ、巨大なビルに沿ってその裏側から上がられてはどうしようもない。ビルから出たときには相当高度が上がってしまい、周辺のビルの谷間から・・・というコンセプトが崩れてしまう。
で、月の出の時間と方位を調べ、それを候補の場所に当てはめ、月の出る方向に障害物が無いか否か入念に探索した。そうして決めたのが新宿高島屋の12階にあるガーデンテラスから高い柵越しに隙間から撮るのが一番と判断。現場へ行ってみて驚いた。
昔は無かった妙な建造物が柵の外側に出来ていて邪魔なのだ。月の出30分以上前から撮影候補場所を数か所確認して、本番に備えた。
正面に東京スカイツリーが見えるが、それの多分左側、つまり北側に出るのではないだろうか?と予測。そうして16時50分ごろ、なんとそのスカイツリーの足元左側から赤い歪な丸い大きなものが半分見えてきた。これが満月の出だった。
もうそれからは、どんどん暗くなる風景を見ながら露出を変えつつ100カット程シャッターを押した。
こうして人生で初めての満月撮影を終えた。実はその撮影前にスウェーデンから来たというカップルとしばし歓談。
最初に発見した際の画像がこれ、歪(いびつ)で赤いフニャフニャした感じ。まさかこんなにスカイツリーの側から上がるとは思いもしなかった。予想は大正解だった。
大きな月面を航空機が横切る姿が写っていた。
場所を変えて撮影することで、そのまま真上に月が上ったように感ずる。
これが最終カット、どんどん黄色みが失せて輝き始めてしまうので、慣れない人間にはこれが限界か?
スウェーデンからの訪問者カップルと記念撮影!1994年にノルウェーのリレハンメルオリンピックに行ったとき、ストックホルムにも行ったと話すと、ここへ行ったかあそこへ行ったか?とうるさいのなんの。
もうそれからはスエーデン訛りの英語と熊本弁訛りの英語で国際親善。アグネッタ・フォルツコグからイブラヒモビッチ、イングリット・バーグマンからビヨルン・ボルグまで知ってる限りのスウェーデン人を並べたら驚いてました。
あそこに見えるのが来年2020年の東京オリンピックの開会式会場で2週間前出来たばっかりだというと、これまた大喜びで写真をパチパチ! 最後に記念写真の撮りっこで大盛り上がりでした。