2016年3月5日土曜日

アイサシリーズ その5.「いよいよ4種目コウライアイサ その1」  Merganser series Vol.5. [Scaly-sided merganser Vol.1]

 アイサ・シリーズ4種目はいよいよコウライアイサ。このコウライアイサは4年前からヤマセミの観察撮影で人吉に通い始めて4度ほど鹿児島県のさつま町へチャレンジしたものの、4度とも出遭えず悔しい思いが続いていた。幻の珍鳥ということで自分の野鳥観察歴の中でも印象深い野鳥に成りかかっていた。

 そのコウライアイサにこの冬何度も出遭えることになった。これもいつも詣でている矢黒神社のご利益だろう。4年待った甲斐があったというものだ。血眼で野鳥情報を訊き鬼のように探し回っても出遭えない相手が、気が付けば向こうから逢いに来てくれるという、これも自然生物ならではの不思議なのだろう。

 最初は昨年11月下旬、オオハクチョウが飛来していると言う情報をちょうど現場で聞き、撮影をする少し前だった。いつもの通りヤマセミの生態観察・撮影をしている目の前を何度も往復する3羽の変わったカモを追い写していたのを、その1週間後にパソコンでチェックしていてそれがコウライアイサであるのを初めて知ったのだった。

 それまで見たことがなかった野鳥の画像というものは、シャッターを押していても、情けないことに実は確認するのはずいぶん後だったり、すっかり撮影したこと自体を忘れてしまっていることが多いのだ。今回もヤマセミの生態画像ばかりチェックし、ほぼ完了した時点で「何か面白いものが写っているだろうか?」とその他画像をチェックしていてコウライアイサの3羽による追い込み漁などが写っているのに気が付いたりした。

 じーっとしている野鳥には興味をそそられる事が少ないのは私の昔からの癖なのだが、空を飛んでいなくても、具体的に何かをしている、たとえば採餌行動、繁殖行動、縄張り確保行動などには我を忘れてレンズを向けるので、撮影後パソコンで画像をチェックしてみると、撮影時には思いも付かなかった意外な生態が撮れている事がある。きれいな画像や、野鳥の特徴が判り易いアングルでの撮影に心掛けるより、「この動きは一体何をしているのだろう?」の撮影に心掛けている成果だと信じたい。

 今日からのしばらくは、このなかなか出遭え難いコウライアイサの生態を報告してみたい。まずはオスから、その胴体側面の独特の灰色や黒の鱗状の斑紋に注目したい。


陽の光、向き、川の流れなど背景の色でいろいろ変わる側面模様の見え方。

対岸でじーっとしている時ではなく、こちら側に寄って来た際に良く見える。

正面から見たオスの画像。葦の茎に重なっているが雰囲気は判りやすい。

後ろからの画像のほうが紋様は良く見える。

カワアイサなどに比べてもくちばしの赤が鮮やかだ。



一度見ればもう二度と見間違う事はない独特の容姿を持つ野鳥だ。