6月のヤマセミつがいは忙しい。子育ての時、つがいが一緒に居るのは当然、当たり前!
ほとんど巣立ちが終わり、営巣していた巣穴からすべてのヤマセミがオープンエアーに出て活動する為、一時的に全国のヤマセミ生息地では6月ヤマセミの目視情報が急増する。
時には6~7羽のヤマセミを同時に観察できることもある。ヤマセミを求めて目が爛々としている野鳥撮影愛好者を「自然観察来訪者」として観光客同様のマーケティングターゲットとすれば、日々観光活性化に苦労している自治体などにとって、6月という梅雨の時期実は千載一遇の時期と言って良いだろう。
残念ながらこういう事に気が付いている所は、全国を観ても北海道のタンチョウの里・釧路や流氷上のオオワシ・オジロワシに餌を蒔き、法外な撮影料金を取る知床・羅臼の流氷観光船など限られている。佐渡のトキ、兵庫県豊岡市のコウノトリ。いずれも人工飼育・繁殖の里など人工的に野鳥を保護し人の手を加えた野鳥群。
しかし人吉球磨のヤマセミは全くの自然。人間は何もしていないし(=居る事自体を知らないしその希少さも知らない)、普通の住民生活状況下で自然な共存状態だからその存在価値は計り知れない貴重な財産なのだ。
残念ながらこれはいくら説明しても一般人には理解できない、世の中訊く耳を持たない自治体の方がはるかに多い。行けば出逢えるイルカやクジラの観光船とは違い、出遭える確実性に欠ける点が「一般観光客・地元為政者」には通じないのかもしれない。
地元のベテラン・ヤマセミ観察者の方々の知恵を借り、早朝から撮影ができる宿泊体制(起床・朝食サービスの方法)昼食・弁当サービス、雨対策グッズのサービス(タオル・簡易雨具)などを行い、それをきちんとSNSなどあらゆる情報ルートで告知すれば全国からヤマセミ撮影希望者を呼び寄せられるだろう。
野鳥撮影愛好者は1日で狙い(=ヤマセミの撮影)を成就させられないことぐらい当然知っている。したがって宿泊は数日に及ぶだろう、自分で納得のいく良い絵を撮れるまで延泊も充分考えられる。ヤマセミを含めて野鳥の活性化する時間は日の出から3時間。前泊しなければ遭えないし撮れないのだ。
宿の格式、有名無名、部屋の豪華さ、景色の良さ、食事の豪華さ、温泉の素晴らしさ・・など二の次。一般の温泉観光客とはまったく違う価値観と宿泊の目的だから、温泉観光地の宿泊業者の持つ永年の常識はまったく役に立たない。
極端かもしれないが、10年通った筆者は温泉だろうがユニットバスだろうが風呂があまり好きではない。毎日シャワーさえあれば充分だ。人吉にこれだけ(500日以上)通いながら街中の温泉には一度も入ったことがない。定宿には立派な温泉大浴場があるが、過去100泊以上して一度も入らなかった宿もあるほど。部屋のシャワー付きバスで充分なのだ。
その日撮影した画像をノートPCで全て確認し、ブログにアップするだけで3~4時間はかかる。豪華な良い食事や高い効能をうたう温泉にゆっくり時間を使うより、掛けねばならない時間がたくさん必要なのだ。
最近、コスパ(=コスト・パフォーマンス)よりタイパ(=タイム・パフォーマンス)という言葉が流行り始めているが、筆者は2010年からタイパと言ってこれを重視してきた。「時は金なり」の現実版だ。
東京から人吉へ航空機とレンタカーで移動し、宿に滞在し、お金をそれなりに掛けているから、滞在中の活動時間の費用対効果(=タイパ)が非常に気になるのだ。
つまり日中、ヤマセミを探しながら撮影していても、常に頭の中でタクシーのメーターがカチカチ上がっていく音が聴こえているのと同じ状況なのだ。何を行うにも無駄が出来ない。
話がまた飛んでしまったが、三連休初日の今日はヤマセミ・つがいの6月!