2021年8月18日水曜日

豪雨が続く夏の球磨川で珍しい”濁り掬い漁”  "Muddy water scooping netting fish", which is rare in the Kuma River in the summer when heavy rains continue.

  昨年に続き夏の人吉球磨は長雨に見舞われている。人が住む人吉市内に降らずとも、人吉盆地の奥、宮崎県との境、市房山や白髪岳などでの降水量が今年は非常に多い様だ。

 このエリアの降水量が多い場合、川辺川ダムなどいくら穴あきダムとか言ってもあっても意味が無い。この辺り球磨川・川辺川による水害対策を行う識者メンバーはよく調査分析すべきだと思うが、その体制は出来てるのだろうか。集中豪雨は川辺川ダム上流だけで降るのではないのだ。

 五木村~相良村より、湯の前、多良木、あさぎり、錦あたりの盆地内町村が危ない事を理解しているだろうか?こちらの方が川辺川流域・球磨村峡谷エリアよりはるかに住民人口が多いのだ。

 誰でも判る事だが、球磨川のように普段からして流れの速い河川は、増水時は手が付けられない。勿論川に入ってのアユの友釣りなどは出来ないし、刺網漁も不可能。

 こういう時はジーッとして水が引くのを待つしかないのだが、唯一岸から長い柄の先に網を付けた「掬い網」で土手の岸壁沿いにこそぐように流れに沿って探ると、流れの弱い岸壁にへばりついている魚が入ってくる。

 川が増水、急流化している際、底魚(ギギ、カマツカ、ドンコ、フナ、ナマズ、ウナギ、など)は魚類は川底の岩に隠れる。一方、アユ、イダ(=ウグイ)、オイカワ、ハヤ、カワムツなど回遊魚の類は岸壁の流れが緩い、そうして樋管か流れ込む澄んだ水に集まる傾向がある。

 これを狙って漁を行う。増水の多い球磨川では昔からの伝統漁の一つだという。

 筆者も取材を兼ねて試させてもらったが、何と最初の網入れで二匹、三匹と獲れたには驚いた。若鮎が入っていたのにはさらに驚いた。

 しかし、この漁を教えてくださった川魚漁師さんが3年前川で流され亡くなったと聞いた。この濁り掬いで流されたのか否かは知らないが、非常に危険な漁であることは間違いない。一人では絶対にするな、数名で必ず救命胴衣などレスキュー用具を用意して行え・・・と言われる所以はこのあたりにある。 

球磨川の伝統漁「濁り掬い漁」


足の筋肉、腰つきを見て欲しい、足腰がしっかりしていないとまず出来ない。

ほれ!と大きな獲物を見せてくれた漁師さん。

筆者の一投目、二匹獲れた。

筆者3投目、オイカワのオス(婚姻色)とワカアユが獲れた。

婚姻色のオイカワ(アサジ)

若アユ。

漁師さんの獲物。