それ以降、コロナウイルス禍で東京都から都外へ出ることも、週一度の定期的な研究所との往復以外一切なく。神経質にアルコール消毒、電車の窓開け、マスク装着を続けながら今日へ至っている。
そのような状況下、人吉で大災害が発生し、見慣れた球磨川が大氾濫。大きなダメージを人吉市に与えてしまった。昨日は朝5時から夜11時過ぎまでテレビをはじめネット上での情報収集に目が痛くなるほどだった。
そうして今日の新聞報道を見て、あの球磨川の土手・堤防が決壊したという信じられない事態に驚きつつも、その決壊場所が何処なのか?どういう決壊なのかを探したら朝日新聞の今回の災害まとめの写真集にその決壊箇所の写真があった。さすが朝日新聞だ!その写真には撮影時間が7月4日の午後3時44分とあるので、決して球磨川の水が随分引き始めている時刻ではない。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200705001079.html
決壊した球磨川沿いの堤防=2020年7月4日午後3時44分、熊本県人吉市、朝日新聞社ヘリから、遠藤啓生撮影
実はこの写真、左上が球磨川ではなく、堤防の内側に当たる中神地区の農耕地なのだ。で、白い建物は中神地区の農業用水路と球磨川本流の間にある小屋。球磨川のが増水して農耕地に川の水が流れ込むのを遮る樋門の小屋なのだ。※八久保排水樋管と思われる。
最初写真を見た限りでは左上が球磨川、右下方向が中神地区の農耕地だとばかり思っていたが、しかしヤマセミの観察で年中この土手道路を車で通過している筆者はどうも何かがおかしいと思い、Googlemapでこの場所を調べた。
ストリートビューでこの土手を見たのがこの図だ。
これで観る限り、土手道路の白線は球磨川側にしか無い。これを頭に入れて上の報道写真を見て欲しい。明らかに白線の無い側から白線側に濁流が流れている。これはつまり明らかに内陸から球磨川に向かって濁流が流れ出しているという事だろう?
上の写真を上空から見るとこうなる。右の農業用水が左の球磨川へ流れ出すところに白い樋門小屋が存在する。※八久保排水樋管と思われる。
紅取り橋の上からのストリートビューでも道路の白線は球磨川側に見える。
そこで考えた。何故こういう堤防決壊で起こるべき球磨川の氾濫と逆の事が起きているのだろう?
それで素人なりに達した結論がこうだ。これだけの集中豪雨があった場合、球磨川本流のみならず、人吉盆地で球磨川へ流れ込む河川の水量も半端ではない量になる。しかし人吉盆地、特に人吉市で合流する河川、山田川、胸川、万江川、草津川、などは球磨川合流地点で球磨川の水位があまりにも高いため行く先を遮られ合流出来ず、手前で周りに氾濫してしまうのではないだろうか?それを図解するとこうなる。
これを考えたきっかけになった写真がこの俯瞰写真(毎日新聞より)
右上の黄色で囲った部分が万江川の水がオーバーフロウ=氾濫して水浸しになったのではないだろうかと思う次第。
その結果、温泉町エリアの異様な水位の洪水、中神地区農耕地全域の水没を生んだのではないだろうかと思ったのだ。
もしそうであれば、二次災害を防ぐために何をすべきかがおのずから見えてくるのではないだろうか?今のニュースでは決壊箇所が30mに渡るというので、この写真が撮影された昨日の15時から更に決壊箇所が広がってしまったようだ。
メディアも良く調べずに単純に一級河川・球磨川の堤防が決壊という見出しで、簡単に球磨川の治水・管理、河川事務所の対応が不十分かのような印象を拡大させないで欲しい。
くれぐれも、今夜からの雨がさらなる被害拡大に成らぬよう祈るばかりだ。