2020年7月29日水曜日

大雨、洪水、泥流でも生き延びるヤマセミ。 The Crested kingfishers survive heavy rains, floods, and mud flows.

 鹿児島県が梅雨明けしたという。人吉球磨、球磨川流域も数日内に明けるだろう。首都圏は来週以降に成るだろうと言われている。
 別に今年は早く明けても何処へ行ける訳ではないので全然かまわないが、泥流続きの球磨川でいつものヤマセミがどうしているか気に成っている。

 過去の撮影データで見てみると、2012年の九州北部豪雨時の洪水・泥流時でも球磨川・川辺川流域ではヤマセミはそういつもと変わらず平気で生きていた。今回の集中豪雨での災害時、人間は大変な事に成っているが、自然界の生き物は誰に教わった訳でもなく、旨い事生き延びているはずだ。

 茶色いカフェオレのような色をした河川でどうやって採餌するのか?大きな疑問が湧くと思うが、人間の世界と違って地震や洪水でいつもの食堂が閉店だの休業だの言う事が無い。獲物の魚がいる場所をちゃんと知っているヤマセミは食うに困ることはない。台風や洪水でヤマセミやサギ類が食糧不足で大量に餓死したなどというニュースは聞いた事が無い。

 むしろ、平時より採餌は簡単なのではないだろうかと思われるほどだ。理由は泥流・洪水時に獲物の魚が何処にいるか考えてみれば、非常に納得できることだ。

 下図は平常時と増水時に球磨川のどこに魚が潜んでいるか大まかに表した断面図だ。この増水時に堤防にへばりつくアユなどの魚を濁り掬いと言って特殊な漁があるが非常に危険なので漁業関係者くらいしか行わない。
 護岸堤防に囲まれた球磨川の水位が上のように平常時だとせいぜい水深は人吉市内であれば50㎝~深くても2m程度、それが梅雨時増水時には4~8mを越える。増水時は水の勢いが強いので堤防のヘリなど水流の勢いが弱まっている場所に魚がへばりつく。樋門などの淀みには魚が集中する。

 こうした増水時、泥流ではヤマセミが球磨川や川辺川から消えると思うだろうが、ちゃんと居る。その証拠画像がこれからご紹介する数カット。これは2012年の7月、九州北部豪雨時に球磨川水系も相当な増水で10日間ほど濁りが消えず、上流から流木その他が大量に流れて来た時のもの。





この巨木もこの増水で上流から流れて来たもの。3日間降り続いて4日目朝に撮影した。