2017年4月6日木曜日

団塊世代のカワセミの撮り方講座 その3. How to take picture of Common kingfishers lecture 3 for the baby-boomer generation.

  3日目になる「団塊世代のカワセミの撮り方講座」だが、連日80アクセスを超えており、大変恐縮している。今日は自分で説明している事の確認のために自宅近所の野川へカワセミの現状観察に出向いてみた。

 案の定繁殖期に入っており、3ファミリーがたぶん抱卵中と見受けられた。しかしその各巣穴の間隔は500mなど無く、300mごとに「生きている巣穴」が観察された。

 中には巣穴の傍から動こうとしないオスが見張っているのを、腰掛を持ってきて10mも離れない所からカメラで狙う人が居たりして驚かされた。当然腰掛でじーっと望遠ズームで一点を狙えば、通りがかりの他の野鳥撮影ファンも「何かが居る!オイラも撮りたい、撮らせろ」で人だかりになる。

 昨日の説明通り、幾ら慣れているカワセミでも、数名が大口径のレンズをキラキラさせながら自分を狙ってくれば、本能的に危機感も感ずるし大変なストレスを感ずるだろう。野川の河原・土手は日中何人もが散歩するし走っている。熊本の球磨川やその支流のような環境で生息している完全野生のカワセミではなく、地元の人間、土日の散歩の人間達と共存していて人間慣れしている住宅街のカワセミだが、度を過ぎれば繁殖を放棄しかねないので何とも難しい所だ。

 実は、国分寺ハケ沿いの崖にはいくらでもカワセミの繁殖に適した赤土の壁、崖は在るのだが、何故かカワセミ君達は人々が頻繁に行きかう小川の土手、それもせいぜい高さ1.5mあるか無いかの土手に巣穴を掘るのだから大胆だ。大雨が降って野川が増水すればあっという間に巣穴は水没するだろう。

 ヤマセミと異なってカワセミは年に2度ほど繁殖すると聞く、中には3番子を産む元気な個体もいるという。自然の驚異は意外に身近な所でも感ずることが出来る様だ。

 カワセミ撮影の前の段階で、カワセミの生態をよく観察するという事の中に、繁殖・営巣中のカワセミにはあまり長時間腰を据えて近づかない様にして頂けると嬉しい。繁殖中の野鳥には無条件に近づくな、写真撮るな、発表するな!と宗教がかったように上から目線で注意しまくる野鳥団体メンバーもいる様だが、あくまで個人の判断で行うべきだろう。
 ルール・マナーには一律共通の尺度を持った定義や数値的規制ラインなどが無い上、罰則もないので無理強いすれば、逆にトラブルを起こし犯罪になってしまう。人間としての常識に頼るしかないのだ。勿論同じカワセミでも、東京近郊のそれと地方の大自然の野生カワセミの間ではルール・マナーの尺度も当然違う。

 自分さえ良ければいい、自分が見つけたのだから他人には教えたくない・・・など独善的な人間は野鳥撮影ファンのみならず、鉄道写真ファン、風景写真ファンなどにも沢山居る。少なくともこのブログをお読み頂いている方々には、そういう方はいないと信じて先に進めたいと思う。
この時期に限らずカワセミは意外に低い場所で羽根休めする。

午前中であればオスメスが飛び交う繁殖期ならではの動きも観られる。

しかし、営巣中の場合は気を使ってあげるのが野鳥撮影者の常識!

人の行きかう直ぐ足元で営巣するのがカワセミ。右下署名部分にカワセミが巣穴を守っている。

別の営巣中のカワセミを撮ろうと椅子まで持ち込んで動かない撮影者。

一発ですぐに別の撮影者たちを引き付けてしまう。こうなるとカワセミへのストレスは大変なものだろう。筆者は他の人が来たらなるべくその場を離れるようにしている。また人が去った後戻ってくれば良いのだ。

繁殖中のカワセミはなかなか動かないので、傍に巣穴が在るのだろうと思うが、こういう場合は是非そっとしてあげて欲しい。必ず採餌行動は開けた場所まで行って行うので、是非そのチャンスをものにして欲しい。