2017年4月5日水曜日

団塊世代のカワセミの撮り方講座 その2. How to take picture of Common kingfishers lecture2 for the baby-boomer generation.

 昨日のブログへのアクセスが多くて驚いている。あくまで自己流、現場での経験値の説明なのだが、判ってお頂けるか否か少し心配になって来た。しかし興味を頂いただけでも感謝したい。

 カワセミ(ヤマセミも同様)撮影の下準備はいくつかあるが、主なモノを順番に列記してみたい。

① 基本的に野鳥は早朝日の出から2~3時間、日没前1時間半程度が活性化の時間だが、カワセミ、ヤマセミはその繁殖期3月~6月においてのみは真昼間午前12時~午後1時近辺でも採餌行動を行うので、終日撮影チャンスが在るとい思って良い。
日の出直後の採餌シーンの撮影、まだ暗いうちなので慣れが必要。


朝夕は太陽が低く、鋭い光なので目の玉や獲物に当たる光も鋭い。

② 縄張り意識が非常に強いカワセミ・ヤマセミは、毎日(ここが重要)観察を続けていて、いつも同じ場所で見かける被写体が居るとすれば、それは殆ど毎回同じ個体だと思って間違いない。しかし1週間~10日ほど観察を休み、再び同じ場所で見かけた被写体が違う個体である事は無いとは言えない。過去においてヤマセミ巣穴にアオダイショウが入り卵とメス親が殺られ、オス親だけが無事に生き延びた記録があり、その20日後に早くも後釜のメスが新たな伴侶として寄り添った記録がある。
アオダイショウに殺られる前、穴掘り行為中のヤマセミつがい。

③ カワセミもヤマセミも自分のテリトリーのエリアに数か所お気に入りの採餌ポイントを持っている。頻繁に採餌する場所は7~8カ所あると思って良い。同時に満腹になって獲物を消化する為の羽根休めの場所も数か所確保している。採餌する場所は頻繁に移動するが、羽根休めの場所は天敵から身を守りやすい場所(ヤマセミの場合はいざという時に水中にダイブして難を逃れるためほぼ水辺の立ち木の茂みの中)に長時間時には1時間ほど滞在する。
ヤマセミの場合樹木の葉の裏の枝に羽休めで留まる事が多い。

④ 例えば、観察ポイントが川であれば、カワセミの場合川に沿って5~700mの範囲、ヤマセミであれば1~1500mの距離を2往復して観察をすることをお薦めする。出来れば早朝2往復、夕方日没直前に1往復。なおかつ出来れば毎回同じ服装(いちばん外側の衣類)で歩かれる事をお薦めする。野鳥は人間を非常によく視ている。ヤマセミの場合など顔を覚えているとさえ思える。

⑤ そうしてその観察時に、一番重要なのは途中でカワセミ・ヤマセミが居ても、決して「アッ!居たッ」と駆け足で追わない事。カメラを持って撮影本番になっても同じ事。野鳥は自分が追われ、追跡されている事は敏感に察知(空気圧?気配?)、判るのだ。野生の動物にはすでに人間が退化させてしまった「気配・第六感」をまだ十分に活用している節が在るのだ。これは追々その撮影時の生態説明で解説をしてみたい。
追われている事が判ると、逃げてしまうのが野鳥の習性。

⑥ 木の枝や岩に留まっているカワセミ・ヤマセミを見つけてもゆっくり静止し、ゆっくりしゃがむなど動作をいつもの20%のスピードで行う事が重要。野鳥は動くものに敏感に反応する。長玉のレンズを向けるだけで敏感に反応し飛び去ってしまう。野鳥の先祖は恐竜、あの映画「ジュラシック・パーク」を覚えておいでだろうか?車内に閉じ込められた者に「動くな、声を出すな!動いたら殺られる!」と注意したシーン。恐竜は目が悪く、動くものに反応するからなのだが、野鳥はその子孫、なおかつ視力は非常に良い(人間の5~8倍)ので、動いてはいけないのだ。
 逆に、犬の散歩のおばさんやジョギングのアスリートが傍を走っても飛び立たないのは、慣れてそういう動きをする人間を見切っているからで、走っていたものがピタッ!といきなり止まるとこれまた警戒してしまう。野鳥観察は、常に向こうもこちらを観察していると認識しなければならないのだ。これが出来て初めて三脚付きのデジスコなどの超望遠ではなく、普通のカメラでの野鳥撮影が可能になる。
撮影者に慣れて危機感を持たなくなると、このように200mmで至近距離で撮影させてくれるようになる。カワセミをきちんと撮るには、ここまでの地道な努力が出来るか否かにかかって来る。


                         この項続く