最近野鳥写真に関して面白い実験をしてみた。
パソコンの我が師、まだ黒い画面に緑の英字が並んでいるだけの時代からコンピュータを操り、1996年頃Windows95が出た直後辺りから創成期のデジカメと連動して筆者にパソコンというモノを教えてくれた5歳下ながら先輩だ。今回もその彼の手助けを貰いながら・・。
長いことウインドサーフィン仲間でもある彼は、筆者が自費出版した野鳥関連の写真集の最終入稿データを整えネット印刷屋に発注してくれるエディトリアル・ITデザイナーでもある。
で、やってみたのが世界中の野鳥の画像データや概要を集めているだろうAIエンジンに、野鳥写真を何処まで作れるか?という事。手順はこうだ・・。
① 筆者が撮影した野鳥の画像をAIにインプット⇒指示、普通とは逆に「この写真のプロンプト(制作指示文字テキスト)を作りなさい。」※この際もちろんその写真の野鳥の名前や撮影場所は教えない。
② 筆者が撮影した画像を見せずに、別のコンピュータでそのプロンプトを読み込ませ指示通りの画像を作らせるというモノ。
パソコン・AI・伝言ゲームみたいなものだろうけれど、これがどれほど正確になされるか非常に興味があった。
何でもかんでもAIが在れば万能、出来ないことはない、忙しいプロ・クリエーターの作業時短になる・・・と言われる昨今、本当にそうなのか?という疑問から来た未熟者の実験。
何故こんなことをしたかというと、希少種や迷い込んだ珍鳥の野鳥を上手く撮影できて勝ち誇ったようにSNSに投稿する野鳥撮影ファンが多い中、自分では撮れない悔しさから生成AIを活用して貴重種や珍鳥を如何にも撮れたぞ!とする画像を作り出すのではないか?
いや、既にそういった画像が出回り始めているのではないだろうか?という思いが頭を横切ったからなのだ。
野鳥撮影は風景撮影や天体撮影とはちょっと違う。自分の足で歩いて被写体を探し出遭えなければ映像化・画像化できない。
天体・宇宙は晴れていて空気が澄んでいればいつ何処に被写体が在るか判るだろう?富士山や景色が動いて居なくなったという事はあまり聞いたことが無い。
その意味からすれば野鳥や野生動物系はその生態を良く学び、癖を知り、時期を考えないと出遭えない。被写体に出遭うまでが大変という点では野鳥撮影、野生動物撮影などはアウトドア写真撮影の中でも成功率が一番低いジャンルかも知れない。
で、AIに見せた野鳥の画像がこちらの2点。
近所の野川で撮影したカワセミ、営巣中で餌の頭を前にして巣に運んでいるシーン。
これを見せてプロンプト、説明文字データ化を指示。その結果がこれだ。
Positive Prompt (photorealistic:1.3), (masterpiece, best quality:1.2), specific wild bird, common kingfisher in flight, side profile, gliding, holding a small silver fish in beak, vibrant turquoise and orange feathers, spread wings with slight motion blur, (creamy blurred solid green background:1.4), bokeh, shallow depth of field, telephoto lens shot, wildlife photography, sharp focus on eye, natural lighting, 8k resolution, raw photo Negative Prompt (worst quality, low quality:1.4), illustration, painting, sketch, cartoon, anime, 3d render, artificial, text, watermark, signature, noise, grainy, distorted wings, bad anatomy, complex background, trees, branches, dark background, night
ポジティブプロンプト(写実的:1.3)、(傑作、最高品質:1.2)、特定の野鳥、飛行中のカワセミ、横顔、滑空、くちばしに小さな銀色の魚をくわえている、鮮やかなターコイズとオレンジ色の羽、わずかなモーションブラーで翼を広げている、(クリーミーなぼやけた緑色の背景:1.4)、ボケ、浅い被写界深度、望遠レンズでの撮影、野生動物の写真、目にシャープなフォーカス、自然光、8K解像度、生写真ネガティブプロンプト(最低品質、低品質:1.4)、イラスト、絵画、スケッチ、漫画、アニメ、3Dレンダリング、人工、テキスト、透かし、署名、ノイズ、粒子の粗い、歪んだ翼、解剖学的構造の不良、複雑な背景、木、枝、暗い背景、夜 セット1:カワセミ(カワセミ)ポジティブプロンプト
熊本県の球磨川峡谷部で物音に驚いて飛び立ったオシドリ群の一羽(オス)
Positive Prompt
(photorealistic:1.3), (masterpiece, best quality:1.2), wildlife photography,
male mandarin duck in flight, wings fully spread, taking off from turbulent
rocky river, splashing water, wet feathers, vibrant plumage (orange, green,
white, blue), large mossy dark rocks in background and foreground, rushing
stream water, overcast dim lighting, moody atmosphere, shallow depth of field,
sharp focus on the duck, motion blur on wingtips, raw photo, 8k resolution
Negative Prompt (worst quality, low quality:1.4), illustration, painting,
sketch, cartoon, 3d render, artificial, text, watermark, signature, noise,
grainy, bad anatomy, distorted wings, sunny, bright light, calm water, sandy
beach, humans Positive Prompt
(写実的:1.3)、(傑作、最高品質:1.2)、野生動物写真、飛翔中のオスのオシドリ、完全に広げた翼、流れの急な岩場の川からの飛び立ち、水しぶき、濡れた羽、鮮やかな羽色(オレンジ、緑、白、青)、背景と前景に苔むした大きな暗い岩、激しく流れる川の水、曇り空の薄暗い照明、情緒ある(ムーディーな)雰囲気、浅い被写界深度、オシドリに鋭くピントが合っている、翼の先端のモーションブラー、RAW写真、8k解像度 Negative Prompt (描画してほしくない要素) (最悪の品質、低品質:1.4)、イラスト、絵画、スケッチ、漫画、3Dレンダリング、人工的、テキスト(文字)、透かし(ウォーターマーク)、署名、ノイズ、粒子が粗い、崩れた解剖学的構造(デッサン狂い)、歪んだ翼、晴天、明るい光、穏やかな水面、砂浜、人間
幾つかのプロセスを経てパソコン先輩に作業を行ってもらった結果、生成AIが出して来た画像が以下の通りだ。
ここで注目すべき点は、営巣中巣に獲物を運ぶ際魚の頭を前にして運ぶのだがAIはその意味をまだ理解していないようだ。
さらに飛んでいるカワセミの翼がオリジナルでは下がっているが、AI作成画像では上に上がっている。この違いをAI自身はどうとらえているのだろう?「かたいこと言うなよ!」なのだろうか?
この画像があらゆる似た様な「無断で集めたデジタル在庫画像」の中から選んだだけなのか、それら似た様な画像群をAI処理して出来た画像なのか不明だが、オリジナルとはずいぶん異なる。
2カット目のオスのオシドリの画像がこうなった。
このオシドリの画像もオリジナルの筆者の画像は、撮影者に向かって飛び出した瞬間なので胸側がこちらを向いているが、AI生成画像では背中側の画像になっている。
生成AIを駆使できるスキルとリテラシーを持っているIT師匠に出来るだけ注釈を付けないでやってみるよう依頼したので、うずうずしながらも手を加えなかったのだろう。
もし、師匠(野鳥に関しての生態知識は筆者同等に持っている)が気が付いた点を修正点としてすべて入れ込めば、オリジナル画像に等しい画像が上がって来たかもしれない。
要は生成AIをまだ必要としていない野鳥撮影者の筆者にとって、生成AIが今後自分にとってどういう手助けをしてくれるのか?どういう関わりになってくるのだろうか?非常に興味がある中でのテスト行為だった。
これは決して「なーんだ、生成AIってまだこんなもんじゃん?」とか「生成AIって結構いい加減なもんだな?」というための実験ではない事だけは記しておきたい。
実は野鳥写真だってコンテストに出す御仁はレタッチとか言ってプロに手作業生成してもらっているし、Photoshopで色々連写一括加工するのは筆者も行っているから似たようなモノだという事だろう?
モノを作り出す、筆者の人力のみによる作品制作のプロセスでAIの何が有効なのか?しばらく考えてみたいと思う。
今回のテストに関して尽力を貰った生成AIで脳の中が24時間活性化しているパソコン師匠に深く感謝したい。





