2024年8月14日水曜日

野鳥写真展でのフォトグラファー談義から思ったこと。 A thought from a photographer's discussion at a bird photo exhibition.

  「ふるさと・やつしろ『わたしと野鳥』写真展」前期=八代ハーモニーホール開催が終わったが、後期は8月19日~23日・エコエイトやつしろで開催される。多忙で前期を逃した方は是非後期を!

 主催者のお手伝いをしながら、自分でも100点近い作品を出展させて頂いた今回の写真展。前期2日間に少なくとも熊本県内の個人的知人・友人21名が来てくださった。遠くは佐賀市、あさぎり町、芦北町から・・。数日前のこのブログで書いた通り野鳥撮影愛好者の同窓会のようなものだ。

 個人的に暑中見舞いを兼ねたハガキの案内状を送ったし、熊本へ来た時のベースにさせて頂いている八代駅前の老舗珈琲店ミックさんにも同様のハガキ、自分の出展した作品の図録を兼ねた写真集のオンデマンド印刷束見本(15冊だけ制作)を見本において写真展の告知を行った。

ミック珈琲店の店頭に置いて頂いた告知ハガキと図録兼用写真集(秋に本番印刷)

 もちろん写真展開催はこのブログでもうるさいほどご紹介した。その効果が来場者数に少しでも反映されればこれ以上の喜びはない。

 もちろん主宰者メンバーにも出展者はいるし、来てくださった知人友人もその半分以上が野鳥写真撮影者だったりする。中にはご自分の撮ったヤマセミの写真集(特大特注製本)を見せて下さった超実力者もおられた。

 当然こういった面々が集まると、普通は自分の撮った作品や持って居るカメラの自慢話になるのだが今回のメンバーは違った。全くその手の話は出てこなかった。

 カメラに関しては一眼デジタルカメラとミラーレスカメラの話だけだった。皆さんカメラの優劣より撮影の際の工夫など非常に前向きな実例談義だった。

ヤマセミ撮影写真から一刀彫のヤマセミ木彫、江戸切子のガラス器までヤマセミへの思い入れを発展させた方も・・。

実際野鳥撮影に勤しんでおられる方々の談義はなかなか終わらなかった。

 各自、自分の撮影の際の疑問点、上手くいかない点の解決を見出すべく実際並んでいる写真作品を例に取りながらあーでもない!こーでもない!と撮影工夫談義が始まったのだ。いわば野鳥撮影サミット?

 メンバーは住んでいる場所も違えば、野鳥に対する撮り方の理念も違う、千差万別だったから非常に面白い話の広がりがあった。しかしいずれも野鳥の写真を撮って生活の糧を得ている訳ではなく、別の生業の余暇での活動なのでプロの写真家さんのような苦労やプレッシャーは少ないだろう。

 色々出た話の中で、日ごろ筆者がこのブログで時々書いている「クリエーターとして思う人間の不思議」に関する疑問には大いに共感を覚えたのだった。

 それは、「人(その道のプロや著名人)の素晴らしい話を聞いたり、アートを観たり聴いたり(演奏・演技・作品)して、自分の教養を高め己の肥しとする・・というが、一体その肥しを活用していつどのように自分の花を咲かせるのだろう?」という究極の疑問だった。

 肥しを得たり教養を得るにはそれ相応の費用も、時間も、入場券ゲットも必要だろう。で、それを経て自分の肥やしになったり、教養が高まったりするのだろう?

・・でもその肥やしや教養を使って、一体どこでどういうモノや事に花開かせるのだろう?

 自分に蓄えられた知識・教養や情報の肥しは、自分自身が人より教養人や知識人になっただけで死んでいくのだろうか?それで満足なのだろうか?

 それではまるで、実務・経験力に長けたプランナーを招いて具体的な観光活性化の方法論を職員一同レクチャーしてもらっても、「良い話を有難う」と聞いただけで何もしない、何もしようとしない、地方自治体と同じではないか?

 筆者は思う、人から講義・レクチャーを聞いて知識吸収。で、それを実践しなきゃ身につく訳がない。例えばパソコンの操作、ソフトの使い方、いくら先生の横で操作を視て聴いていても実際自分でパソコンを動かさなきゃ使えまい?

 くどいようだが何度でも言う。知識吸収より実践だ!

 本来、何かにそれを生かすための知識・教養や肥し・・なのではないのだろうか?高い料理をしゃれた高級レストランで味わう、有名役者の舞台を鑑賞する、良い音楽を高い料金を払って聴く、なかなか行けない高級な宿に泊まる・・これはある意味万人の夢であり憧れだろう。

 で、それを経験・体験できたとしてもそれだけで満足する、教養豊富な人間になれた優越感を感じただけで終わりの人があまりに多い気がする。


 少なくとも今回集まった野鳥撮影フォトグラファーは、プロの写真家さんに師事して写真撮影を習ったわけではなく、ほぼ全員独学で失敗を繰り返しながら野鳥を撮り続けてきた方ばかりだ。

 写真を撮るという事は「何に興味があるから、何を画像で残したいから写真撮影をしたい!」という強い思いから始まる。それが景色風景だったり、人だったり、鉄道だったり、花だったり、お店だったり千差万別だ。

 何を撮りたい!・・というエネルギーの原点が無いのに、高いカメラだけ手に持って、撮り方を教わってもと思う。あくまで個人的な考えだが写真撮影だけは実地の積み重ねで自分で覚えていくものだ・・というある方の考えに大いに賛同だった。

 勿論今回集まった野鳥フォトグラファーの皆さんは全作品を観ているから、明日からの野鳥撮影に何らかの形で得た知識や肥しを即実行に役立てるだろう。

 写真展に来られた一般の来場者は、八代にもこんなに野鳥が沢山の種類居たんだ!と驚き、会場を後にした時から野鳥に目が行くだろうと言っていた。

 今まで自分のまわりを飛んでいる野鳥は皆スズメかツバメだと思っていた・・が、街中で色々な野鳥を撮っている今回の写真展を観て驚いた!などのアンケート調査への記述あった。

 自分も野鳥撮影にこれから挑むんだ!というお子さんの記述もあった。

 この写真展が知識や教養や肥しを得るだけで留まらず、自分が「何かを作り発信する」クリエート作業に発展することを切に願ってやまない。

 繰り返すが、後期は8月19日~23日・エコエイトやつしろで開催される。多忙で前期を逃した方は是非後期を!