昨日の朝刊の広告に自称「脳科学者」中野信子氏の最近の著の広告が出ていた。「幸せホルモン」などと言う非科学的な言葉をちりばめたりして、いかにも売れそうなタイトルや見出しなのだが・・。
筆者は「スマホ脳」や「運動脳」といった具体的研究データを基に物事を解くスエーデンの精神科医・脳科学者アンディッシュ・ハンセン氏とは違い、ベストセラーを狙った書籍をむやみやたら出版する、画家で言えば「売り絵画家」的な日本の自称・脳科学者さんを余り好きではない。
しかし、今回の中野氏の単行本は広告見出しだけ観れば中身が想像できてしまうにしろ、筆者自身が若い頃から考えてきた事にほぼ通ずるので、買って読む気はしないが週末ブログで取り上げてみた。
筆者は昔から手のひらの何とか線を観ただけで、人の運を占う「占い師」を全く信用しない。同時にいくつかのパターンしかない「御神籤=おみくじ」も引いたことがない。こういった科学的根拠のない「宣言・アドバイス」をハナから信用していない。
理由ははっきりしている。人から「何故信じない?」と訊かれれば、即座に答えられる。
まず占い。
1981年当時、銀座一丁目の中堅広告代理店に勤務していたが、歩いて10分東銀座のマガジンハウス(=旧・平凡出版)にVAN時代の同期内坂庸夫氏が居て(当時は雑誌ポパイ・Popeye)よく編集参加させてもらっていた。
それが、新しいプロジェクト「雑誌オリーブ・椎根 和編集長」の編集に参加することになり、創刊時いろいろな取材を行った。1982年の事だ。
創刊時編集メンバーに女性は殆どいなかったが、椎根さん、故・木滑さん「雑誌ポパイに、占いと化粧・ファッションと料理を加えれば若い行動派女性の雑誌になる」という目からウロコのコンセプトで始まった。
で、当時「新宿の母」だの「銀座の母」だの街頭占い全盛期、我々も有名な占い師を取材して回ったのだ。
本当は取材に附いていっただけなのだが、皆に背中を押されて筆者も見てもらった、「無責任な他人の言う事に金を払いたくない・・。」という筆者に対し、取材費だから懐を痛めなくて良いという条件で、それなら・・と。
3か所で診てもらった結果に驚き、もう占いなど絶対に信じないという事になった。
理由は明解、それぞれの占い師がてんでバラバラの全く異なる占いをしたから。
同時にいろいろ話をしたのに、誰一人筆者が妻帯者という事を判らなかったからだ。当時筆者は32歳、長女と長男がいたにもかかわらずの話だ。これで何が占いだ馬鹿ばかしい‥となった訳。雑誌やネットに出てくる「今月の運勢」など笑って飛ばしている。
己のこの先は物理的・医学的な根拠に基づいて金銭計画、寿命や病気予知をすべきで、他人の無責任な「予言」を少しでも気にするなどとんでもないと思う。その点で中野氏の新刊本の見出しだけは間違っていないと思う、中身は知らぬが・・・。
次は御神籤(おみくじ)。
これは、大学時代御神籤のデザインに凝って全国の神社の御神籤を集めたことが有った。同時にその仕組み、大吉と大凶の割合だとか、何故「並・平凡」とか言うのは無いのだろうかとか研究した。その際おみくじを引く男女比や、どう反応するか?どう生き方に反映させるかインタビューもした。その結果御神籤の裏が見えたような気がして一切興味がなくなった。
「大体、幾千万居る人々を数十通りのパターンで導くなどとんでもない事」と言う結果が筆者の御神籤への不信感だ。
この辺りは慶応大学の調査研究のサイトが非常に近いことをやっていた。
https://www.jukushin.com/archives/49358
そもそも占いにしろ、御神籤にしろ、圧倒的に訊いたり引いたりするのは女性が多いというデータが出ている。「他人に訊く・・。」と言う行為そのものが女性特有の行為らしい。
男女のモノの考え方が相当違うという事は、筆者自身の実体験やいろいろな出版物で知ってはいるが、こと己の運(=良い悪い)をどう考えるか・・という事に関して、あくまで個人の考えとして、他人の意見や御神籤にゆだねるなどとんでもないと思う団塊爺なのだ。
自分で努力して上手くいけば、決して運が良かったわけではなく「自分が努力したからこそ実った」と思うし、上手くいかなくても決して運や他の力の影響と考えず「何が原因なのだろう?」と次上手くいくための調査研究をする。人間この考え方でなければいけないと思う次第。
御神籤が西に吉有り!と出たから来週行く予定の北海道旅行を九州に変えるか?
失せ物出ず・・と出たから一生懸命失なった財布を探すことを諦めるか?
良い人はすでに横に居るのに「この先良き伴侶現る」と出たらどーする?
己を信じず、他への責任転嫁とも思える占い・御神籤を信じない団塊爺の理由が此処に在る。良きことも悪しきこともすべて己が責任だと思うのだが、如何?