此処で驚いたのはゆうパックで送った荷物。東京から根室まで、あるいは熊本まで160サイズと120サイズを計2個送ると合計で3,600円程度なのだ。だから一旦荷物を東京の自宅に送り、改めて熊本に発送すると送料だけで7,200円程度掛かる。しかし北海道から熊本へ直送すると4,100円で済むのだ。3,100円もお得!滅多にこう云う事は無いだろうが勉強になった。
話が飛んだが、こうして熊本へ入ったのが2月21日(土)。前夜まで雨で荒れ模様で一時はフライトそのものがキャンセルかもしれないという春の気まぐれ天気だったのが、一応無事に飛んでくれた。しかし、到着日は撮影できず移動だけで終わった。そして、阿蘇でハイイロチュウヒその他猛禽類に出遭えた翌日、熊本の球磨川本流で今まで出最高の素晴らしいヤマセミの生態パフォーマンスに遭遇したのだった。
ヤマセミの縄張り争いは通年でよく観られる生態だが、パートナー争奪戦は特に10月半ばから2月後半までに起きるある意味季節的な戦いのようだ。過去3回のパートナー争奪戦を撮影出来ているがそれぞれ、2月、12月、1月だった。例外的事例に春先繁殖中の巣穴に青大将が入りオスを残して全滅したファミリーが昨年人吉郊外であった。その生き残りのオスが隣のファミリーの若鳥メス数羽の中から嫁獲りを画策して騒いだ事があったが、それにしても11月の事だった。
今回の状況は、数年来連れ添っているつがいに若いオスがちょっかい出して、バトルを繰り返したという解釈をしている。3羽が常時目の前に居るのだがメスは動かない。今までと違うアクションとして、40分間に渡る長いステージの中で、なんと当事者のつがいが求愛給餌に加え2度も交尾をしている事。信じられないパフォーマンスでこちらのほうが興奮してしまった。
主役はこの2羽のオス。どちらが独り者で、どちらが若鳥なのか判らない。昨年生まれの若鳥としても既にわき腹の褐色部分は消え、胸回りの褐色部分もしっかりとしているので双方完全な成鳥と視て良いかも知れない。生息エリアが近いので実は兄弟もしくは親子というのが当たりの様な気もする。
まずは元気な手前の個体が鰻塚(川魚漁で使う人工的な石積み)で主翼を広げて待ち受ける固体に向かって突っ込んでいく。この迎え撃つ側の行動はオジロワシの攻撃を受けたタンチョウの行動とまったく同じだ。
直接体当たりはぜず、一旦素通りした攻撃側が再度横から鰻塚に居る個体に攻撃をかける。受ける側は主翼を開きっぱなし!大きく見せて威嚇しているのだろう。
実は受ける側も戦いの場が狭いと思ったのか、2羽揃って隣の大きな鰻塚に移動したのがこの画像。場所選びは阿吽の呼吸のようだ。
少し離れて留まった片方が寄り近くに移動する。積極的な行動で双方怯まない。
盛んに鳴きあって、うるさい事極まりない。地元の方々が「ヤマシェミ?あー白か鳥だろ?しぇからしか(うるさい)ねー」と仰るのが非常によく判る。逆にそうだからこそ筆者もこの場面を車運転中に発見できたのだが、寒いのに川側の窓を開けて移動して大正解だった。
何度かくちばしで突きあう。この行動は延々と数分間続く。真上をトビが低く2周したが、普段は頭上を非常に警戒するヤマセミもこの時は全然お構いなしだった。トビのほうも呆れたのか何もせずに飛び去った。
ついにお互いのくちばしを咥え合う状況になった。4度ほど離れたり咥え合ったりを繰り返したのが収録されている。
5度目は全然離れず、この状態が続いた。時間にして60秒も続く。
左の個体の足場良かったのか、右の個体が引きずられて・・・。
振り回されて水中に落とされた。左の個体は物凄い腰をしているのだろう。
思わず水浴びを強いられた水中のオス、このまま引き下がる訳は無かった。
水中に落としたらぐいぐい押し込む上になったオスだったが。水中の個体が反撃に!
水中は全然平気なヤマセミなので、落とされても怯まずモーレツに羽ばたいて浮上した。
この後、この2羽はこのまま空中戦に移って行くのだが、それは明日のお楽しみ!
まだまだ続くヤマセミの壮絶な戦い。