数日前、ノーベル賞の授与式がそれぞれの場所で行われた際、物理学賞、化学賞、経済学賞受賞者たちが口々にAIへのリスクを口にし、メディアに情報発信した。詳しくはあすのこのブログで述べるが、日本のメディアは新聞以外TVなどでは殆どこれを報じていない。
ネット中心に生成系AIの急速な普及は「これを使いこなせないような奴は遅れている!」と言わんばかりの煽りようだ。
GAFA(=米国のIT巨大企業Google.Apple.Facebook.Amazon. 4社の頭文字をとった造語)の強い影響下にある今のネット世界は、その便利さ・驚異の使用成果ばかりアピールし、それに伴う弊害・近い将来人間を超えるAIに人間が使われる怖さをまるで予測も警戒もしていない。企業内部では予測・警戒していても、自社の利害に悪影響を与えると判断してか決してこれらの脅威をメディアに情報発信していない。
米の非営利団体の研究者たちがこれらに対し警告を発してはいるが実効性は疑問だ。脅威や危機感より「マネー」なのだろう米国AIビジネス界は・・。
一方で無邪気に「凄い!便利だ!早い!」と生成系AIを使用するクリエーターたちは、使用する際のプロンプト(=AIへ指示・依頼する条件文章)作成にボキャブラリーやセンスがなければ、自分が意図するものがなかなか出来ない事を知らない。更には生成系AIが造り上げ出してきた「作品」の間違いやおかしい部分にも気が付かない。
これは大手広告代理店の無能なディレクターが外部プロダクションの優秀なプランナーや凄腕クリエーターに丸投げした「作品・成果」を正しく判断・評価できないのに似ている。
例えば「昭和33年の東京の銀座街角のタバコ屋附近の風景を描け・・」というだけで生成系AIは何を出してくるだろう?そうして、その出て来た絵が正しいか否か?クリエーターが判断できるだろうか?
「遠くに出来たばかりの東京タワーが見え、柳の木が風でなびき、タバコ屋店頭にピンク色の電話がありピース、ゴールデンバット、しんせい、HOPEに交じって出たばかりの青いパッケージのハイライトが並ぶ。クリーム色に赤い線の都電が走り、服部時計店の時計が正午を打つ(※音は聴こえないが)。目の前をいかにも昭和33年頃と思われるファッションの人々が行きかう花の銀座・・・」という絵が出て来たとしよう。貴方ならどう思う?
いかにも昭和33年頃の「絵」であり、普通に出せば今の人たちのほとんどは何のおかしさも感じないだろう?しかし大きな間違いが沢山あるのだ。
まず銀座の柳の木は1984年頃再生されるまで、戦後の復興で工事の繰り返しの為ほとんど銀座通りには生えていなかった。裏通りにたった3本生えていたのを持ち帰り接ぎ木をして二世を誕生させたのが二世柳。現在生えているのは三世四世。だから柳の木があれば「ウソ」
タバコ屋店頭の公衆電話は赤、ピンク電話は昭和34年以降。同時にタバコのハイライトは昭和35年から、昭和33年にはまだ無い。セブンスターに至っては1969年から。
都電昭和33年はまだクリーム色と緑色のツートンカラー。しかし、これらの間違いを生成系AIを使用する多くのクリエーターが判断できるだろうか?ごく少ない注意力の素晴らしいベテランのクリエーターしか判断できまい?
今日の話は、盲目的に生成系AIを便利だ、凄いと無邪気に多用する人類への「問い」
この項つづく