2021年2月13日土曜日

今回の森喜朗辞任騒動で語られない深層部分に存在する3つのポイント。 Yoshiro Mori's resignation Three points that exist in the deep part that can not be talked about in the uproar.

  古い観念下で行動した森⇒川淵両氏が会長職禅譲に失敗したことで、即対応・選出が必須だった2020TOKYO OLYMPIC Organizing Committee(大会組織委員会)の会長がまたまた宙に浮いてしまった。ハッキリ言ってもう大混乱の極みだと思う。スポーツ界にあって「お話し好き」で、目立ちたがり屋の二人のベテラン権力者が、ついついメディアに喋ってしまったがための、身から出た錆のようなものだろう?

 しばらくこの混乱は続くだろう。長い人生で身に付いた物の考え方で行動をする80歳過ぎの重鎮たちが現代の風潮から否定され退場したは良いが、退場させた原因を補って誰もが納得できる新常識・ルールが全関係者に徹底される訳もない。

 誰が新会長になっても資格や経験やIOCとの交渉力・ジェンダー思想、過去の発言の良し悪しを多方向から突かれる恐れがある。特にメディア(SNS含む)中心に各方面(国内外)から攻撃を受ける恐れがあるので、JOC含めオリンピック関係者は戦々恐々だろう。

 筆者は長年、スポーツ全般に関し公私に渡り接してきたことを昨日のこのブログでご紹介した。その経験値を踏まえて、今回の騒動でメディアが気が付いていない触れていない、大きなポイント3つに関して此処で私信を述べてみたい。

 その1. 今回の森喜朗氏の一件に関してメディアを通じて一般が不快感を感じたのは、男女平等を踏みにじった女性蔑視の発言内容だけに怒ったのではなく、釈明会見での森喜朗氏の逆切れ態度、横柄で尊大な態度が鼻に付き、腹が立ったのだろうという事。

 それまでは「しょーがねえな、あの爺さん!今までの失言・暴言、すべて上から目線の物言いには呆れて放っていたが、今回の記者会見の態度はもう許さねー!」と言うのが大方の騒動拡大理由だとみている。

 伏線としては、森喜朗氏の「コロナがどうなっていても東京オリンピックは何が何でもやるんだ!」と言い放ったコメントに、コロナ禍で不安がっている医療関係者のみならず、すべての国民が怒っていたという事だ。

 その2.ある一定以上のレベルの競技者上がりのアスリートたち、優越感と自尊心の塊りのような人種と、メディアを含めて騒ぐ競技スポーツ未経験、闘うスポーツが不得手な人種との価値観・常識の大きな差に、両サイドの人種共に気が付いていない、もしくは気が付いても言えない空気が存在する事。

 その3. 男女同権・法的平等・同等評価という事と、人間のオスとメスの根本的、生物上差異を混同して何でもかんでも男女は同じにしなければいけないという観念が存在しているのではないだろうか?と言うポイント。

 まずは、誰もが一番あまり認識していないであろうその2.の項目に関して延べてみたい。

 一時期ゆとり教育とか言って、運動会の徒競走で1位~最下位までの順位付けを行わない教育が在った。これは差別につながるからだという事らしい。大昔の運動会では1位はノートと鉛筆1ダース、2位は鉛筆1ダースだけ、3位はノートだけという賞品を貰った。筆者は何故か4か所通った小学校全ての運動会で徒競走はすべて1等賞だった。人より優れている事、頑張った事などを褒める、という信賞必罰が学校教育に存在していた時代の話だ。

 我が家では親が学業成績とのあまりの差を嘆いたことを覚えている。しかしゆとり教育が始まってそのような賞品を出すなどはとんでもない!ケシカランと廃止された。

 しかし、差別につながるから教育上良くないとした教育者たちは、子供たちにオリンピックの金メダル銀メダル銅メダルの意味を一体どのように教えたのだろう?

 甲子園の高校野球で勝った方の校旗が上がり校歌が流れ、負けた方にはそれが無いのをどうやってその理由を子供たちに説明したのだろう?

 物事には歴然と優劣が在り、勝ち負けが存在するのだという事を子供の時から教えない日本の教育は一時期とんでもない事に成りかけた。ゆとり教育では円周率を3.14で無く3で計算させたと聞く。円周率を3で計算したら、決して打ち上げたロケットは月へ届かないだろう?

月へ人類を運んだサターンV型ロケット。

https://www.sankei.com/life/photos/190720/lif1907200002-p1.html 参照

 此のゆとり教育で育った子供たちが今世の中の中枢で活躍し始めている。マスコミの記者、レポーター、コメンテーターで活躍し始めている。メディアの現場で混乱が起きてもある面仕方がない。価値観や一般常識が相当違うのだから。

 山手線に乗ってプライオリティシート(優先席)に高齢者や妊婦と争って座るのがこのゆとり世代の子達だ。親が子供だから仕方がないのだろうか?

 それと似たような話が、汗を流して特訓を経験し、勝ち負けの歓喜と悲哀を体験して育ったアスリート上がりのスポーツ人種と、運動がまるでダメでスポーツが嫌いで学校教育のスポーツだけで大人になった人種のモノの考え方、価値観、常識の違いだ。

 同じ、スポーツ上がりの人種でも個人種目のみの競技経験者と、チーム競技経験者ではこれまた細かい所で価値観や考え方が違う。勿論競技スポーツ未経験者にはこれも全く判らない。(※壁打テニスや登山、海水浴、ラジオ体操、学校体育等勝ち負け・記録を競わない種目は競技種目と言わない)

 スポーツアスリートには戦いの場が在れば勝ち負けはもちろん、記録も付いて回る。向上心が強いものが勝者になるので、自ずからアスリートはトップレベルを目指し、地域代表を目指し、県代表を目指し(国体)、国の代表(オリンピック・世界選手権など)を目指す。

 その頂点に在る大会の一つがオリンピックと言って良い。皆さんはオリンピック標語の存在を知っているだろうか?「国際オリンピック委員会IOCが「オリンピック・ムーブメントの抱負を表すもの」として定めた標語=ラテン語で"Citius" (より速く) ,"Altius" (より高く) ,"Fortius" (より強く) と記される。」

 だからこそ世の中には間違いなく勝ち負け・順位はあって当たり前で、決して悪い事では無いのだ。勝ち負けや順位が差別になると決めつけたかっての日本の教育者たちは責任を取るべきだろう?責められねばならない。

 だから同じスポーツ種目競技団体の世界には上下の関係、先輩後輩の関係など絶対的なヒエラルキー、権力ピラミッドが存在するのだ。これにまずスポーツをやらない人たちは気が付いていない。各種競技団体の理事会や総会に出てみるが良い。「お前は日本選手権止まりだろう?俺なんかオリンピック代表候補まで行ったんだからな!」と言うような会話が乱れ飛ぶ。理事昇進会議などに成ればもう大変なものだ。自薦・他薦含めて魑魅魍魎が徘徊する。これは日本に限った事ではなくIOCにおいても賄賂だの違法な手段で権力確保の争いは映画のネタにも成る程だ。

 筆者が長野オリンピック前、スノーボードに関してSAJ全日本スキー連盟の専門委員に突然成った際、もう大変な嫉妬の嵐に巻き込まれた。スノーアスリート達の殿堂のようなSAJで、何の記録も成果もない広告代理店社員が専務理事の命で専門委員に就任したのだ。「理事心待ち」、や「専門委員心待ち‥」と言った人種が嫉妬で色々嫌がらせをしてきた。

 何が言いたいのかと言えば、アスリートの世界は「優越感だらけの世界」なのだ。周りに居るのはライバルだったり敵だったりするかと思えば、同じ学校・同じチームの同窓・先輩後輩だったりするのだ。その中で他より優れている事に向けての努力と、勝ち取った際の優越感こそ、ご褒美なのだ。特に団塊世代までの高齢者は特にこの傾向が強い。このことは過去にこのブログで述べている。(=2014年2月1日のブログ⇒団塊世代のヤマセミ狂い外伝  #11.団塊世代の事実をどれだけ一般世間は知っているのだろう?(下)

http://yamasemiweb.blogspot.com/2014/02/do-you-know-what-baby-boomer-was-other.html

 そういう世界・空間を知らない非アスリート集団・人種とは価値観常識が根本から違うのだ。これを世間の人間はまず知らない、メディア・マスコミも気が付いていない。判っていてもごく一部だけだろう。

 今回の森喜朗氏(早大ラグビー部)⇒川淵三郎氏(早大サッカー部)の会長禅譲話も同じ早稲田の先輩・後輩、同年代のチームスポーツ部員同志であることが、密室行動に繋がっているという事をきちんと書いたメディアは無かった。 

 今の国会討論で麻生太郎大臣に「同じオリンピアンとして(射撃ピストル競技でオリンピック出場者)、橋本聖子大臣を・・・」と発言した者へ、言葉を遮って気色ばみながら「橋本大臣は夏冬通じて何度もオリンピックに出場されたメダリストだよ、俺なんかとは格が違う。同格に言うのは彼女に失礼だよ!」と諭した事でも、そういう世界の空気が判ろう?

 スポーツの世界には歴然とこうした先輩後輩の年齢的上下関係・現役時代の成果に基づく優劣関係が存在する。これを無視したり評価しなかったりすればスポーツの世界は崩壊する。報道でこれをけなし、無視し、尊重しない傾向が今後も続くのであれば、混乱は絶対に収まるまい。

 これらを知って、今回の「森喜朗騒動」を読み取る必要があると思うのだが・・・。

                              この項、まだまだ続く。