筆者は現在7月上旬に予定している首都圏で初めての写真展の準備をしている。
基本的に筆者の野鳥写真はヤマセミ生態研究に必要な学術的証拠写真が主なもので、綺麗に撮るより「生態の珍しい瞬間」を記録することに主眼を置いている。ヤマセミ以外の野鳥の画像も似たようなものだ。
したがって写真コンテストに出すような「作品」ではなく、全ての画像が「エビデンス=証拠画像」だ。
だから、「綺麗な作品」に仕上げるためのレタッチとかはよく知らないし、証拠写真から言えば、消したい背景も「生息環境証拠の一部」だからうっかり消すとヤバいのだ。
つまり二度と撮れないかも知れない「生態の瞬間」を記録するので、三脚などはまず使わないし、スローシャッターで撮ることも流し撮りの時以外めったにない。画面が荒れないようにISO低感度で撮ることもない。
そんな筆者の写真を長年視てくださっているプロのベテラン写真家さんが「写真展一緒にやろうよ」とおっしゃってくださってもう3年が経つ。3年間も延び延びになった理由はコロナ過だ。
しかしついに今年、本当にやることが決まってしまった。初めて戦場に出る兵士の様な気分だ・・って、もちろん戦場に出た事などないからあくまで想像上の話だが。初体験という事で非常にテンションが上がっているのも確か。もう二度とこんな晴れ舞台はなかろうと思うし・・。
つい数日前、その写真家さんが案内状に掲載する写真をたった1枚メール添付で送ってきた。「これでお願いします・・。」が~ん!である。
夜11時過ぎに届いたメールに添付された画像を見て、ショックのあまりその晩はもう何も考えずにさっさと寝ちまった。
写真家さんの送ってきた画像は、例えていうならば「古伊万里の逸品」だった。品格、趣、訴えるもの、全てが明確。自分で写真を撮らない人でも「いいなぁ・・。」となる写真だ。
それに対して筆者が考えていた「案内状用の画像」はいわばトイザらスで売っているカラフルなレゴのプラスチック製のおもちゃみたいなものだ。もうとにかく「が~ん!」である。
しかし、一晩寝て朝3時半に目が覚めてしまって、頭の中が溶鉱炉の真っ赤に溶けた鉄状態だった。早く目覚めてしまったが二度寝など絶対に出来ない状態。
自分の頭の中で自分の候補画像がぐるぐるとアンドロメダ星雲になっているのが感じられた。これからの1週間、外の天気関係なくPC前で大奮闘が始まるって寸法だ。
そんな状態だから、脳を洗浄する意味で久しぶりに野川に出てカワセミの度接近画像を撮って心を整理しようと思ったのが、今日ご紹介の画像。数日前の野川のカワセミだ。