2016年7月25日月曜日

「ヤマセミを人吉市の鳥に!」の報道は大きな波及効果を生んでいるようだ。 The News of Crested kingfisher for symbol of Hitoyoshi is nice !

 3日前、西日本新聞に「ヤマセミを人吉のシンボル野鳥に!」という主旨の記事が掲載された。先の参院選挙、東京都知事選挙、熊本地震復興、九州各地の夏祭りなど記事にすべき案件山積みの中、よくぞ此処まで主旨を違わず正確無比な報道をして頂いたと感謝したい。さすが西日本新聞!とエールを送りたい。
7月21日付の西日本新聞掲載記事。非常に的確という古江さんの弁。

 この「ヤマセミを人吉の鳥に!」というきっかけは実は2010年の4月に遡る。その4月1日に憧れの野鳥「ヤマセミ」に出遭いたいと、国道219号線を球磨川に沿って八代市からレンタカーで人吉まで探しながら移動したのが最初だった。午後6時過ぎ、4月1日の日没後繊月大橋右岸側の国民宿舎「くまがわ荘」前の堤防道路に車を停めて架線に眼をやり、生まれて初めてヤマセミという野鳥を観て写真を撮ったのだった。
人生初めての生ヤマセミ撮影画像。2010年4月1日。人吉にて。

 翌日、今度はくまがわ荘の対岸、球磨川左岸の土手で初めて人吉の野鳥に詳しい古江之人氏に偶然お逢いしたのだった。そのあたりの詳細は約1か月前今年の6月22日の当ブログにご紹介してある。「ヤマセミを人吉市の鳥に!」の言い出しっぺこそこの古江之人さんなのだ。
http://yamasemiweb.blogspot.jp/2016/06/lets-make-crested-kingfisher-bird-of.html

 こうした、地元の愛鳥家の方々の足掛け7年間に渡る地道な努力・想いが今具体的に進み始めている事は、遠くから応援している立場としても非常に嬉しい。
記事掲載の人吉新聞

同じく掲載の月刊くまがわ春秋(=旧・週刊人吉)

少なからず熊本地震の影響を受けた人吉市の復興と、元来観光活性化で足踏み状態だった人吉球磨エリアの観光産業活性化・加速に向けて一つのきっかけに成るだろう「ヤマセミの市のシンボル化」はその先に大きな可能性を秘めている。ただ単純にJR九州が「かわせみやませみ号」を走らせるから・・・がきっかけで観光活性化の後押しに「市の鳥に!」ではないのだ。色々な幸運が重なってはいるが、この運動の原点は2010年だったのだ。
JR九州の「かわせみやませみ号」発表リリース。

既に2011年自費出版した「清流球磨川流域の山翡翠」でこれだけヤマセミが街中で観られるのに人吉市の鳥に制定されていないのは不思議だと書いた。

 何故、ヤマセミが人吉市の鳥に相応しいのか、良くヤマセミの生態と人吉の稀有な自然環境を理解し、人間との共存共生の奇跡を認識して提案してこそ推薦提案の意味が有る。この手のムーブメントは基本理念がきちんとして居なければ、誰もが考えがちな組織票頼みの「数は力、力は正義」方式でヤマセミを観た事が無い、知らない人々の署名をいくら集めても、他人のアイディアのパクリではあまり意味が無いだろうと思う。

 同時に「市の鳥」に制定された後で、それが人吉市にとってどのような観光活性化の具体的施策に発展・反映されるのかまで繋げていかなければ意味が無い。その点人吉市には知恵者・視野の広い政治家・実業家が沢山活躍中だ。行政マンにも意欲満々で具体的に即行動に移す実務能力に長けた方が沢山いらっしゃる様だ。既にいくつかの動きが始まっている様で、部外者ながら遠くから応援していて非常に強い手応えを感じる。日本における観光活性化の良い手本になる様な気がする。

 ただ一つ残念なのは、あの地元の有力な地方紙・熊日新聞が未だに全然この動きを取材せず、報道もしない事だ。情報は前人吉総局長経由で随分前から提供しているのだが、熊本地震の復旧その他で人吉の出来事まで手が回らないのかもしれない。国へ補助金要請したり、募金献金など外部からの援助ばかりを当てにするのではなく、地元発の官民一体のこうした復興努力を報じないのもどこかおかしいと思うが如何だろう?今後の報道姿勢に注目したいと思う。

 是非、今から来年春までの人吉市の官民一体になった努力の様を注視しようと思う。このブログで出来る事は何でも応援しようと思っている。


2016年7月24日日曜日

アカショウビン生態観察プロジェクト その4. Ruddy Kingfisher ecological observation project Vol.4

 極端なトランプ候補登場で南北戦争時代と何一つ変わっていない米国の姿や、ゲームアプリと通信端末という小さな機械に操られ、大都会を右往左往する若者の騒ぎから遠く離れた原生林の大自然の中で、人間の五感+アルファを研ぎ澄まし赤い鳥を観察する時間は自分にとっての至福の瞬間だった。

 保護貿易を提唱しTPPに反対を唱え、イスラム系、メキシコ系等自分とは異なる人種を差別し国境に壁を造ろうという排他的な主義主張は、どこか「県外者、よそ者、自分の物差しでは計れない人間」を特別視・目の敵にする井の中の蛙的人間達と同じで、日本もアメリカも同等だと感じる事が多い今日この頃だ。要は昔から言われる「自分の価値観・理念とは異なる者を怖がり排除しようとする田舎者」なのだ。

 それぞれの考え方、価値観、理念を尊重し、協力する所は協力し、助け合えるところは助け合い情報交換して共存共創していくのが頭脳ある動植物の生き様だ。植物だって大きな樹木の上の方の枝葉は日光を均等に得られるように上手く空間を共有しているし、人吉のヤマセミだって人吉市民や川魚漁師と清流球磨川を共有し共存共創している。

 そういう意味からすると、いつの間にか飛来し、山深い人吉の奥地で繁殖し、いつの間にかいなくなるアカショウビンはある種孤高の存在かも知れない。石垣島など南西諸島ではリュウキュウアカショウビンが普通に民家の庭に飛来しヒュルルルル⤵と鳴くという。南九州・人吉では、曇天で今にも雨が降りそうな朝夕情けない声に聴こえるのだが、石垣島現地ではこれが「涼しげな心和む声」と聴こえるのだから、所違えば感じ方も違うものだ。

 今回のアカショウビンのレポートは今日で終了しようと思うが「アカショウビンの綺麗な写真や羨ましい写真は今まで高価な写真集やネット以上で幾らでも見せつけられたが、このブログレポートは非常に現実的で、アカショウビンという鳥の現実が良く判った。同時に近づくには如何に大変で努力と時間が必要か良く判った、感謝しています。」というコメントがメールで届きとても嬉しかった。

 最終的に詳しい画像やデータは年内に完成するヤマセミの論文レポートにヤマセミのそれと比較して付録・参考資料として付加するので、論文レポートを差し上げる一部の方は楽しみにして頂きたい。

 今日の画像はそういう訳で、デジタル一眼レフカメラでの撮影画像および貴重な瞬間のハイビジョン動画切り出し画像。






巣立ち前、最後の給餌と去っていく親を見送るヒナ。無人収録ビデオ動画切り出し画像。

最終給餌から30分も経たない朝方、身を乗り出し巣立つ3秒前のアカショウビンのヒナ。※無人収録ビデオ動画切り出し画像。

 今年は2羽が巣立ったようだ。また来年この森に元気に戻ってきてほしい。大変お世話になったSさんにこの場を借りて改めて感謝と敬意を表したい。彼は既に来年営巣可能な古木を既にリストアップしているという、超人だ。




2016年7月23日土曜日

アカショウビン生態観察プロジェクト その3. Ruddy Kingfisher ecological observation project Vol.3

 今日になって、アカショウビン・観察レポート2日間の反響が、当ブログの問い合わせコーナーから続々来ている。「営巣中の画像をネットに投稿するな・・・」という何処かの野鳥愛好家団体・県支部メンバー(ごくごく一部だが)の様に無知で次元の低い非難など一通も無く、据え置きVTRの雨・防水対策はどうしたのだ?バッテリーの取り換えなしでどの程度録画できるのか?4Kビデオであれば静止画を切り出せるのか?といった前向きな問い合わせばかりで、ブログへの投稿をして良かったと安心した。

 7時間弱の画像はまだ全部を完全に精査していないが、ヤマセミの繁殖と比べてみるとその差異が非常に良く判った。大きく異なる点は次の点だ。

① 巣のヒナに対する給餌頻度がアカショウビンはヤマセミよりはるかに多い。この理由はその餌の大きさによるものと想像する。特に球磨川流域のヤマセミは全国でも最大級の魚をヒナに与える為、ヒナ一匹に対し1日1~2匹で充分事足りているが、アカショウビンの場合は小さな沢蟹だったり、山奥の渓流の小さなカエルだったりトカゲなので餌が小さく、何度も運ぶ必要があると察する。 その代わり、営巣木は沢の渓流の傍が多いので採餌場所と巣穴はそう大した距離ではない為、こまめに給餌往復をしていると思われた。






 ハイビジョンVTRとはいえ、静止画のシャッタースピードに換算すればせいぜい1/100のスピードなので、どう頑張ってもデジタル一眼の撮影には敵わない。しかし生態観察・記録用にはこれで充分目的は達成できる。

② ヤマセミのヒナの排泄物は袋状の外皮に入って居る為、親がそれを咥えて飛び出す際に巣の穴外に捨てる。これはシジュウカラやウグイス等と同じだ。我が家で昨年掛けた巣箱の下の地面は捨てられたシジュウカラの糞で白くなり巣立ち直前は毎朝掃除をしたほどだった。
  これに対しアカショウビンは雛が巣穴の外に向けお尻を向け、豪快にピューッとやらかす。今回この動画が数回撮影されていた。このピーッ!という排泄はヤマセミの成鳥が川でよくやるのと全く同じで笑ってしまった。

ヒナがお尻を穴の外に向けてピッ!と排泄をした瞬間。豪快だ!

③ これはまだ精査できていないが、餌を持って来る際の親鳥が雛を呼ぶ鳴き声が2種類あるように思える。これはいつものヒュルルルル⤵と消え行くような独特の情けない鳴き声とは違い、ピッ!ピッ!と歯切れの良い鳴き声やカッカッという音が入るのだが、これは留まっている木の枝をあの赤い大きなくちばしで叩いているのかもしれない。いずれにせよ巣穴の正面に餌を咥えて留まっている姿は刺激しない様に静止画も動画も撮影出来ていないので致し方ない。
 巣穴の正面の枝に行く前の数か所の枝に留まった静止画象。この段階では巣の様子見だけで、鳴き声は上げていない。音もなく飛んでくるので非常に静かなものだ。

 また是非来年4Kビデオで無人探査にチャレンジしたいと思案中。今回まで4年チャレンジ(S氏の協力有っての事)してやっと初めて成就したのだから、今年出来なかった事を来年はチャレンジして更なる研究を試みたい。勿論S氏が再び協力してくれるという事が大前提なのだが・・・・。 


2016年7月22日金曜日

アカショウビン生態観察プロジェクト その2. Ruddy Kingfisher ecological observation project Vol.2

 昨日始めた今回の人吉行きのハイライト「アカショウビン繁殖観察レポート」へは全国から多くのアクセスと問い合わせを頂いた。感謝に堪えない。現在動画データを2日分チェック中だ。何か面白い生態が判れば即このブログでご紹介しようと思う。

 例えばヤマセミが営巣しそうな崖はヤマセミの生態観察を続けていると、自ずからそのポイントが見えてくる。すべてのシラス壁、砂岩の壁がヤマセミ、カワセミにとって最高の営巣場所に成るとは限らない。

 人吉エリアのシラス壁を探してみると、面白い程ヤマセミの巣穴とカワセミの巣穴が並んで開いていたりする。今はもう使われていない過去の巣穴の痕跡を視ても似た様な場所に2~3か所まとまって開いていたりする。

 しかしアカショウビンは朽ちた古木に洞を開ける為、並んで開けるという訳にはいかない。このアカショウビンの営巣場所を探すには幾つかのポイントが在るが、これはS氏によると企業秘密なので公開しない。

 条件ポイントの主なモノは5つほどあるが、S氏は脳の中でそのすべての条件を満たす環境を原生林の中を歩くことで瞬時に発見できるという。
 同時に営巣後のアカショウビン親鳥の行動、癖、嫌がる事、好む事を理解しているという。アカショウビンの身になって、今其処に在る場面で何をするだろう?を予測して観察体制・スケジュールを計画するのだそうだ。

 今回の営巣ポイントへの道は厳しい。熊本県地方大雨の続いた今年の梅雨期、あちらこちらで小さな崖崩れが発生し、現場に登るのも天候と相談する毎日が続いた。

 土砂崩れは山の上の方より麓の方が多かった。山奥はなかなか陽が当たらない鬱蒼とした樹木路で曇天や雨の場合は絶対にライトが必要だろう。

 これだけ人里を離れれば、まず終日車は通らないとは思うが、一応乗って来た車を崖脇に寄せ、デジタル一眼カメラ、ハイビジョンVTRカメラ、ブラインド・ネットその他観察に必要な一式を持って道なき道を進む。S氏には見えても筆者にはまるで分らない山奥の自然の獣道。もう勘を頼りに自分なりのランドマークを記憶する。勿論携帯電話などは圏外だ。
今回のポイントには野生の動物その他が沢山居る。鹿、イノシシ、キツネ、サル、テン、マムシ、ヤマビル、ムカデ、蜘蛛、マダニなどなど。それぞれに対する防御、対策薬品など十分な対応をして向かった。忘れ物をすれば相当な道程を車まで戻らねばならない。前日にチェックリストと照らし合わせて準備が当たり前の世界だ。勿論長靴でないと歩行は無理だ。雨で普段無いせせらぎ等が出来ている事もあり、臨時の沢の流れの中を進むことも珍しくない。

ポイントに到着したら、暫くは様子を伺い、アカショウビンの動向を調べるのだが、当然人間よりアカショウビンの方が先に我々を見つけているはず。どんなに見つからない様にしたつもりでも間違いなく向こうの方が先に見つけこちらを監視観察していると思って間違いない。

どんなに住宅街で飛び回っているキジバトでも、隣の大学構内の森で出遭うと住宅街では考えられない距離で飛び去ってしまう。環境の変化に応じて警戒センサーのレベルを変えているのだろう。ましてや人間など居るはずもない山奥のポイント。アカショウビン側から見れば数百メートルでエリア侵入者の人間に気が付きジーっとして動かなくなる。しかし繁殖に影響が出るかというと、こんな事で繁殖を止める程自然界は弱くない。

 現に、ここ数年のヤマセミも、今回のアカショウビンも最大の注意を払って観察しているので全て繁殖は成功している。繁殖中の巣穴にアオダイショウに入られて繁殖に障害が発生した事はあるが、人間が観察して危機感を感じたり嫌気がさして繁殖を止めたなどという事は無い。

 今回の観察エリアは営巣樹を中心に半径70mの円を描く範囲だった。山の斜面の向きもあり、太陽を背に受けての観察ブラインド設置は非常に難しかった。此の苦労をものともしないS氏のエネルギーと意欲には全く脱帽する。

 21日間車の中からヤマセミの繁殖を記録撮影した時とは異なり、山奥の何も無いエリアでの観察はブラインドの中では限界がある為、長時間記録用ハイビジョンビデオカメラによる無人動画収録で観察する事にした。
 このハイビジョンVTRカメラは既に生産中止だが非常に高性能。無人で撮影するための設置アタッチメント、防水加工などはS氏開発の企業秘密。

上の設置図の上部無人カメラが此の設備の中。巣立ち間近には第2カメラポイントから巣立つ様子が無人カメラで収録できていた。

 上の無人VTRに収録されたアカショウビン画像。精度の高い綺麗な画像は当ブログでは掲載しない。あくまで記録の説明証拠画像としての掲載にとどめたい。

巣立ち直前の画像は第2ポイントからの無人VTRカメラに収録された。

一番下の緑のブラインドの設置状況。

タイミングが良ければ、巣立ち直前の給餌シーンの一部をデジタル一眼カメラでブラインドの中から直接撮影チャレンジしようというのが今回の計画だった。
下のブラインドから撮影した静止画。アカショウビンの給餌フライト。

 結果としては、その双方ともに成果が在り、試みは成功したと言って良い。ヤマセミと同族でありながら、その繁殖営巣行動は明らかに違っていた。これは観察して初めて判った事で、非常に満足の行く成果となっている。


アカショウビン生態観察プロジェクト その1. Ruddy Kingfisher ecological observation project Vol.1

 アカショウビンは奄美の黒糖焼酎「奄美の杜」のラベルにも使用されている、栃木県生まれで奄美の自然を描いた画家・田中一村が好んで描いた南洋の野鳥だ。夏季日本各地に飛来し繁殖している。
町田酒造の黒糖焼酎「奄美の杜」筆者は飲めないので味は・・・。 HPより

 野鳥愛好家、特に野鳥撮影ファンは血眼になって探し求め、その燃えるような姿を撮影し仲間に自慢する事をいつも夢見ているという。中でも団塊世代の競争心の強い連中は、アカショウビンを撮っていないと仲間から一人前と認めてもらえないなどと信じている馬鹿者も多いという。これはアカショウビンを撮った者が、まだ撮れていない仲間に対し自慢しまくり、優越感を感ずるという嫌らしい現状が有るようだ。
 これではまるで、ライオンを一頭倒さないと一人前の男として認められなかった昔のケニヤのマサイ族の様ではないか?
人吉球磨エリアで、今回プロジェクト撮影による完全自然体のアカショウビン。

 人吉でヤマセミの生態観察を2010年から続けて約7年が経ち、大学へ提出するヤマセミの生態研究・詳細画像データと、人吉での人間との共存・共創研究もほぼまとまって来た昨年あたりから、このアカショウビンの声が人吉盆地のあちこちで聴こえる事が気になっていた。昨年など住宅街の傍の崖の上から2羽の声が交互に聴こえ、地元の方がビデオに収録されたのを見せて頂いた事すらあった。

 ヤマセミは留鳥で、しかも縄張りが非常にシビアに確立している野鳥なのでどこ何処にはどういうヤマセミが居るか、ほぼ人吉エリアであれば繁殖営巣場所を含めて生息地図が出来上がっている。過去6年間の年ごとにどのファミリーに幼鳥が何羽巣立ったかのデータも整備できた。

 しかし同族のアカショウビンが人吉エリアでこれだけ声が聴こえる割には、その生態があまり良く判っていない事に気が付き、営巣状況その他ヤマセミとの差異を調査してみたいと思うようになったのが2013年の事だった。
 2014~2016年に人吉市郊外で確認したアカショウビン鳴き声。これ以外さらに広域で20km範囲でこの倍ほどの鳴き声ポイントを確認出来ている。これを観た探索人が人吉に殺到するかもしれないが、1日や2日程度の探索では誰もその姿はおろかその鳴き声すら聴けないことは確実だ。アカショウビンはそれほど甘くはない。人吉のそれは信州の戸隠とは訳が違う。ちなみに今回の観察地点はこの地図の範囲をはるかに超えた遠隔地だ。

 ヤマセミ、カワセミがシラス等の柔らかめの土の壁に営巣するのに対し、アカショウビンは朽ち果て寸前の古木に洞を造り繁殖をする・・・程度の知識しかないため試みは非常に難しいと思われた。しかし、人吉エリアには超人的野鳥観察者が何人も居られる。この国内でも5本の指に入るであろう野鳥の野生生態全般に詳しいSさんに相談したところ、快く協力をして頂ける事に成った、2013年の事だ。

 このS氏は既に相当以前からアカショウビンに関しても観察経験をお持ちで、人吉盆地の何処にいつ頃行けばアカショウビンが居るか熟知していた。盆地のはずれの県境の奥山では、地元営林署の職員同様にアカショウビンだけではなく時にはヤマショウビンまで見つける程のベテランだ。

 野鳥の繁殖の障害にならない様に、少しも警戒心を与えない方法で生態観察をするシステムを常に考えておられる方だ。そういう事に関しては一般的な野鳥観察におけるルールマナーなどとは次元の違う慎重さで臨んでおられる。 自分も昔からほぼ同等の慎重さで野鳥に接してきた。
 彼はこの方面ではNHKの自然取材班スタッフ同等、あるいはそれ以上の知識・経験をお持ちだ。
黙々と湿度の高い原生林の斜面を登っていくS氏。山の中を1万歩ほど歩く。

 この方の協力を得ながら2013年から足掛け4年の歳月を経て、やっと今年7月18日を持って生態観察が終了するまでお付き合いいただいた。この大変な努力をされたS氏にこのブログを通じて強く感謝を捧げたい。

 さて、このアカショウビン生態観察プロジェクトを進めたいと思った理由には幾つかの思惑が在った。中でも主なものは次の2件。

①  メインで筆者が生態観察しているヤマセミと繁殖において具体的にどこ
   がどう異なるのか?比較しようにもあまりにデータ資料が無い為、自分で
   確認する事。これは相当学術的にはなるが、重要な比較だと思っている。

②  長野県戸隠森林公園でのアカショウビン撮影騒ぎを知り、誰でも簡単に
   アカショウビンを追い掛け撮影したい、行けば簡単に出来るんだろう?と
   いう誤った認識を是正するため、本来繁殖期のアカショウビンを観察する
   のには、実はこれほど注意を払い準備をしなければならないほど大変な
   のだ…という事実をこのブログで情報発信し認識してもらう。

 したがって、ただ単に「繁殖期の野鳥の営巣画像を撮るな、公開するな」と言う一般的なルール・マナーを盾に、すべての野鳥研究者の行為行動を、単なる野鳥撮影の人々と同一視し、ろくに良く理解もせず鬼の首を取ったように論っては困る。

 更にはその研究行為を、ただただ自慢できる写真を撮りたいがために無茶をする野鳥カメラマンと同一視し、公の場で非難するような輩、同時に自分自身で直接事実も確かめず、理解もせず非難を始めた仲間に雷同して「そうだそうだ!」と声を荒らげる輩達とは根本的に野鳥に対する接し方、理念が違うのだ。野鳥の団体も最近は声のデカい独善的な一部のメンバーの影響で探鳥会なども熱心なレギュラーが減って来て「一部のお仲間」だけの寂しい展開に成る所が多いと聞く。自浄作用は働かないモノなのだろうか?

 話を戻して・・・。

 実際に人吉という独特の環境下で何故アカショウビンが多いのかという理由も、最近それなりに判って来た。一番の理由はその盆地ならではの湿気だ。人吉は通年で三日に一度は川霧・濃霧に朝夕覆われる。冬季においてはほぼ毎朝だ。梅雨の時期も雨上がりの霧が朝夕を問わず非常に多い。

とにかく、すぐ霧が出る、冬季はまず朝晴れても日の出が見える事は少ない。

 秋に収穫した柿を硫黄で燻煙せず天日で干しただけでは、良い感じに柿色が残った干し柿が出来ないという事実がこの事を裏付けている。

 此の湿気が、南洋ジャングルと同じレベルの湿度を保っていると視ている。疑うのであれば、実際人吉に年間30日づつ4~5年滞在してみると良い。そうして山に入って樹木を観るが良い。ほとんどの古木は苔むしている。渓流の岩にも苔が覆っている。アカショウビンで有名になってしまった信州戸隠の森林公園も東北のブナ林も湿度が通年で非常に高いエリアだ。乾燥地帯にはアカショウビンは来ない。カエルや沢蟹が沢山住める湿度の高い環境こそアカショウビンが繁殖するに適したエリアなのだ。

梅雨時であるという事もあるが、山の樹木は殆ど苔で覆われている。

これらの基礎知識を基にS氏が今年営巣樹木を発見したのが6月初旬だった。これ以降3度の訪問を重ね、各プロセスの繁殖行動を確認した。通算では6回ほど山に登ったが、S氏はその数倍登って無人観察機器を設置、長時間無人で観察録画できるシステムを使って観察を重ねていた。

この続きは数回に分けてアップしたい。



2016年7月21日木曜日

住宅街で繁殖したオナガを前から撮影! I photographed the blue magpie which propagated in a residential area !

 先日武蔵野の住宅街の民家の上で親からの給餌を待つオナガ(=ブルーマグパイ)をご紹介したが、人吉から帰って翌日、我が家の自室から隣の大学キャンパスに群れ飛ぶオナガを撮影。

 横飛びの画像は沢山有るが、正面に向かって飛んでくる画像はなかなか撮れない。しかも同時に数羽で飛び立つことが多いのでなかなか正面からのオナガを撮影するのは困難だと思う。

 今回はたまたま幸運にも撮影できたというのが実際の所だ。窓の外ではガビチョウやオナガ、少し離れてホトトギスが鳴いている。未だ抜けぬ関東エリアの梅雨だが、いつ明けるのだろう?

 






いちいちコメントはないが、尾の長い野鳥の飛翔の美しさを楽しんで頂けると嬉しい。





2016年7月20日水曜日

ブッポウソウは巣立った幼鳥教育の真っ最中! The broad-billed roller is at the peak of the young bird education that left the nest!

 宮崎県と熊本県の県境附近4か所のブッポウソウの繁殖は巣立った幼鳥の教育で今が一番忙しい時期に入っている。宮崎県側の西米良地区では巣箱を掛けて一生懸命にブッポウソウの繁殖をサポートしている。

 一方で県境の横谷エリアでは飛翔するブッポウソウは見受けられるものの未だに繁殖のポイントは特定できていない。5年前、筆者はまだブッポウソウと言う鳥そのものをまだ観た事が無かった。これら2か所の県境と宮崎県の繁殖ポイントを教わった際、残念ながらその際は観る事が出来なかったのだが、棚田や古民家の撮影をする為湯山温泉の民宿に宿泊したのだ。早めに温泉に入り、夕食前に車で30分ほど移動した時、夕陽を浴びて上空を乱舞する十数羽のブッポウソウに遭遇し初めてブッポウソウと言う鳥を知ったのだった。

 それまで図鑑でしか観た事は無く、ましてやあの独特の「ブツブツ!」鳴く声も知らなかったのだが、しばし呆然として空を見上げて立ち尽くしたのを覚えている。あれから5年、毎年観察に立ち寄るが、今年は久しぶりに巣立った幼鳥の数が多い様だ。

 今年は、ヤマセミ、ツバメが巣立った幼鳥の飛翔訓練を親子ペアで行い、結構厳しい教育を行っているシーンを観察撮影したのだが、実はブッポウソウもほぼ同じ教育方法を撮っている事を確信した。ただ綺麗なブッポウソウを撮影するだけではなくその生態を観察してみたら、野鳥たちの面白い生態が垣間見えた。

幼鳥へ捕獲した大型昆虫を運ばんとする親鳥。

この時期の採餌行動は非常に頻繁だ。

撮影できた画像の40%程度が餌を咥えている。

必ずペアになって基地周辺を飛び回るようだ、その際は親が後を取り鳴きながら飛びまわる様子が視てとれた。

飛翔教育は前が幼鳥、後ろが親鳥でヤマセミやツバメと同じ。

遠くの電線まで飛んでも親子でペアを成し、幼鳥に餌を給餌していた。