2023年3月30日木曜日

野鳥繁殖のプロセス、その2・交尾(カワセミの場合) Wild bird breeding process, Part 2: copulation (case of kingfishers)

 昨日の求愛給餌行動の後、カワセミの場合は交尾行動に移る。これはヤマセミなどとも同じだ。ヤマセミの場合は河川の上に掛かるワイヤーなどの架線上、あるいは河川の岸の崖、土手に生えている樹木の枝、あるいは河川の水中から出ている大きな岩などで交尾をする。

 ヤマセミの場合は幾度も交尾行動をする。1日に多い時で3~4回(球磨川エリアにおける筆者の目視記録なので、実際はもっと多い可能性の方が高い)。抱卵中ですらする。一度などよそ者を縄張りから追い出す戦いの最中、球磨川の両岸に分かれて休息をした。その時に戦いの相手の観ている前(100m以上離れた球磨川対岸だが)で交尾をした剛の者が居た。静止画のみならず動画でも撮ってある。

 これに比べてカワセミの場合観察があまりに少ないため、決めつけたような物言いは憚るが、多分同じだろうという事は想像に難くない。
 カワセミの交尾は池や小川の縁・土手の樹木の上で行う事が多い。しかしいずれもすぐ傍、飛んで何秒という場所に河川や池があることが条件。
 この理由は天敵。猛禽類などに急襲された場合、水中に逃れて反転する「水遁の術」を使えることが重要である事による。

 今回は二日続けてカワセミの交尾を撮影できるという幸運に恵まれた。まず最初は昨日の求愛給餌を行った北関東の池をベースにしたカワセミ・カップルの交尾。翌日は地元野川での交尾だ。

 今日ご紹介の北関東の池のカップルは1日に2度交尾行動をしたが、最初の1回は不十分で予行演習的なものだった。二度目を行ったのはチー、チーと鳴き合って、その間隔が狭まった直後20mほどの距離からオスが飛んできての行為開始だった。

 どうやら、北関東のこの池のオスは非常に若く、初繁殖なのかもしれない。体色も非常にきれいで初々しい気がする。



此の大物の餌を目の前で給餌せず、巣穴の方へ向かって飛んで行って給餌した。

この池では比較的大きな獲物だった。

チーチー短いサイクルで鳴き合った直後、交尾行動が始まった。

球磨川などの幅広い河川ではなかなこういう絵が撮れない。

先日雨の日、夕方5時から6匹も獲物を採餌したメス。ボディが大きい。

時間的にはそう長くなかったが、確実な交尾だった。