2022年8月11日木曜日

ブログ開始から10年目に入って団塊世代が考える写真撮影について・・#4。 After 10 years since this blog started , baby boomers think about photography again #4.

  昨日2022年8月10日東京が今年15回目の猛暑日を記録。人間の出す二酸化炭素が原因か否かは定かでないが、近年気温が上昇している事は間違いない様だ。

2日前までの報道、実際は昨日10日の猛暑日。

 1920年から2019年の間の東京23区内の最高気温その他のデータがあった。ご参考。


 いつは中世にも暑い時期があったし、グリーンランドが今の様に氷で覆われて居なくて緑の大地グリーンランドと呼ばれていた時代もあったという説が有るほど、地球の環境は気温が相当変化してきたようだ。数日前から続く東北の線状降水帯・豪雨も2年前は南九州に掛っていた訳で、日本列島全域が気象変異でいつでも環境災害を発生する可能性があるという難しい時代になったようだ。災害に遭われた方々にお見舞い申し上げたい。

 話は昨日までの続き・・・。

 専門家ではない、ごく普通の人々・特に団塊世代の写真撮影愛好者の方々に、筆者が勝手に思い込んでいる写真撮影についてのあれこれをランダムに述べてきたが、最近写真の世界がどうもおかしくなってきているように感ずるので今日はそれを述べたい。


 写真と云えば演台のようなものに寄り掛かった坂本龍馬の画像や、江戸末期・明治維新の日本の風俗写真がまず日本における最初の頃の写真と認識する方が多い事だろう。

 神田の古本屋街の神保町交差点を九段方向へ行ってすぐ、岩波ビルの2階のお店(泰川堂)などに明治・大正以降の日本の絵ハガキ写真などを売っている。これらを観ると観光地写真や当時のビル・町並みなどの写し方などがよく判る。一度行ってみるととても面白い、学ぶことが多いと思う。

 一度など航空機の大きなイベントを担当していて、昔の航空機の古い写真を物色していたところ、代々木練兵場での軍事祭典記念の絵葉書が有ったので買い求めた。裏に記念切手が貼ってあり初日カバーだった。切手・コイン収集のお店に持っていったら13万円で買うという!2千円で買ったモノが13万円!アベノミクス以前の話だが、足で稼ぐと神田の古書街にはまだまだお宝が眠っているかもしれない。

また話が飛んだ。悪い癖は治らない・・・・。

 写真と云うものは結婚式などの家族催事や学校の卒業記念、子や孫の運動会、遠足の様子が一般庶民には近い被写体だった。
 次にマルベル堂などの芸能人スターのプロマイドなどが近い存在だろう。以前銀座にあったがもうないかも。先日浅草のアーケードに在った。

 しかし一番需要が多く技術的にも発達したのは軍事利用の写真と報道関連の写真だ。これらの両方から派生していながら一般の写真家・写真メディアがもてはやしたのが有名なフランスの雑誌の表紙を飾った「ロバート・キャパの『崩れ落ちる兵士』」だろう。


 軍事報道写真の権化として、「瞬間を捉えた奇跡の秀作」とカメラ雑誌中心のマスコミがこぞって賞賛し、日本の写真業界もそれがあたりまえ、それを知らなきゃモグリだと言わんばかりの常識を写真愛好家たちに植え付けてきた。特にフィルム時代の写真界の大御所は殆どがそうだったと最近になってあちこちでそういう記事を目にする。
 

 しかし今年(2013年)沢木耕太郎氏がNHKなど主要メディアで問題の『崩れ落ちる兵士』の嘘とねつ造、撮影者も実は彼の相棒の女性カメラマンであった事などを理路整然と説いた。権威と一部の中心的人間で牛耳られていた写真界の常識をひっくり返してくれた事は一般素人ながら非常に小気味よかった。 

 絵画にしろ写真にしろその背景は「訴えたい何か」を如何に説得力ある「画像」で相手に伝えるかというものだろう。

 ピカソのゲルニカにしろ、コップの底に顔が有っても良いじゃないか!の岡本太郎にしても同様だと思う。したがって演出・作為はその「構図」はもちろん「瞬間」をどう表現するかで決まってくる。
ピカソのゲルニカ

岡本太郎・万博1970太陽の塔

 だからやみくもに撮影しまくった中から良い写真・画像を選ぶのは超初歩的スタイルで、撮影前にすでに何を狙い、どういうシチュエーションでシャッターを切るか熟考していなければならないと思うのだ。

 だから黒沢明監督が映画を造る前に相当量の絵コンテを自分で描いていた事を知った時、自分の考えは間違っていなかったと腑に落ちたのだった。

TOP MUSEUM東京都写真美術館での黒澤明絵コンテの展覧会。

 ロバート・キャパの場合も自分自身を名前まで変えて、アメリカ人の報道カメラマンの様に演じ、自分が撮ったのではない写真で、しかも本当の戦場の撮影でもないのにそういうフレコミでメディアに画像を載せてしまった。当時無名で貧乏で、有名になり金を稼ぎたい一心での行動だろうが、レタッチ屋に画像の処理を依頼したり、パソコンで必要以上に彩度を上げたりしてしまう今のアマチュアカメラマンの行動に通じる「何か」が有るような気がしてならない。決して良い事ではないだろう。

この話には更に奥の奥が有る。

 NHKが取り上げ、これだけ話題になったこの沢木耕太郎氏のドラマチックな暴きは、実は当の昔6~70年前から欧米の写真業界・著名なカメラマンの間では「でっち上げ・嘘」であるという事が常識化していて、日本のメディアや写真業界が知らなかっただけだという話もある。

 永年広告代理店勤務の経験値からすればタイミング良く「ロバートキャパ生誕100周年記念展」を開催している動きとこれらが連動していないとはとても思えない。世の中はこんな事ばかりだから、余程自分の眼を開いて「真実は何処にあるか?」を自分で判断しなければならない時代だという事だろう。