2022年8月12日金曜日

ブログ開始から10年目に入って団塊世代が考える写真撮影について・・#5。 After 10 years since this blog started , baby boomers think about photography again #5.

 ■ 誰のアドバイスが一番か?

 
  
写真撮影をしていて、誰のアドバイスが一番か?これは誰もが悩みつつ迷う課題の一つだろう。筆者の場合は1964年~1990年のフィルム時代はCanonを使用していた。1973年以降仕事系にはFTb、AE-1、F-1、と使い続け、遊びやスナップ用にT-30~T-70辺りを多用していた。もちろんすべてがフルサイズカメラの時代だ。※ハーフサイズは除く。

 これがデジタルになった2000年~2008年頃はOlympusを使用。理由はフイルム時代にはなかったフォーサーズなどというセンサーサイズのおかげで望遠レンズの倍率が35㎜フルサイズ換算で2倍になるという一点に惹かれたのだ。デジタルカメラに関しての実務経験の少なさがその原因かと思われる。

 野鳥撮影初期の頃には結構望遠の倍率が一番有効だと思い込んでいた時代だ。

 デジタルカメラが普及し始め、その機能と仕組みに関して初心者の頃はビックカメラやヨドバシカメラの売り場の人当たりの良さそうなお兄さんの話や、キャノンやオリンパスのショールームのスタッフにアドバイスなどを訊こうと思っていた時期も有った。

今やショールームを訪れる消費者の方がスタッフより実践ではスキルが高い。
 
 しかし、いずれも上から目線で「俺はメーカーの人間だよ?お前より俺の方が詳しいに決まってるじゃん?」的な物言いや態度でいずれもなじめなかった。

 決めつけたものの言い方、製造者、「販売者が買い手より製品に関しては詳しいの当たり前だろ?」的な態度がとにかく嫌だった。
 高いお金を出して物を買った客に対しこれほど平気で偉そうにダメ出しをする業界ってカメラ業界が一番じゃないだろうか?

 最近は知り合って以降、自分の中でその存在が非常に大きくなっているプロの写真家さんの一挙手一投足を手本として、我が行動を常に振り返っている。

 もちろん一緒に同じような被写体を撮影している同好の先輩たちの経験談も重要視する事にしている。

 要は・・。

 まずカメラショップ(大販店のカメラコーナー)店員にいろいろ意見を求めて試した結果、売り場に居る販売員・スタッフは決して我々と同じような被写体、特に野鳥の様な動く被写体を
同じ回数撮影していないことを知ったのだ。

 更に言えば、なかなか出遭う事自体が難しい野鳥相手の撮影など、まったくしたことが無い者ばかりであることが判明。現場の苦労などまるで判っていないのに等しいのだ。

 だからこちらが求めているシチュエーションでの「要求・機能・耐久性」を全然理解できないことが分かったのだ。店員さんは残念ながら皆さんカタログにはカッコいいプロが撮った画像が使用されているのに、野生動物相手の撮影の実態とその大変さに関してはまったくのド素人である事が良く判った。

 レンズに関してもデジタルカメラのボディに関しても、ほとんどが「売るためのセールストーク」の域を脱せず、親身になって具体的な相談になど乗れるレベルには無い事が判明。

 繰り返すが、ある意味実践的撮影に関しては殆ど素人だという事がよく判った。偉そうに決めつけたような物言いをする販売員に対して、「じゃアンタは実際どんなものをどう撮影しているのか?」と訊くとほとんど口ごもるか下手すると怒り出す。


 一方で主要メーカーの場合、ショールーム、相談コーナーに居る説明員も実際自分で撮影に行っていろんなものを撮影している人は極端に少ない

 自社製品のマニュアルの中身は精通しているのは当たり前だが、他社の同クラスとの競合部分の実践比較などを訊くとマニュアル上での数値などの比較はできるが、実際構えて撮ってパソコンで処理する際に・・・などと話し始めるととても困った顔をしてしまう。

 ましてや自分で撮った画像の写真集などを見せて、このシチュエーションの場合もっとこうするためにはどうしたら?と聞くと全然判らないと言われてしまう。

 要は販売員や説明員は自分で実際年中撮影している訳ではないので、実際の場面での取り扱いやアドバイスに関しては目から鱗・・的な説明を期待しても無理という事。細かい事訊いちゃダメ。

 所詮は造る側の「こうであるつもり・・・、こうなはず・・・」だからプロカメラマン並みのアドバイスは期待してもダメ!という事。もう少しこのあたり実戦経験のスタッフを用意して欲しいと思うのだが如何?店頭で客と「撮影知識の戦争」初めてどうする?

 たとえが良いかどうかわからないが、迷彩服着た兵士とネクタイ締めた事務官が新しい武器に関して言い争い始めたら、兵士が勝つに決まっているだろう?使うのは兵士なのだから・・。


 ここに1957年発行のCanonUSAが米国で販売していた機種のハードカバーの説明マニュアルが有る。その当時の新型2機種の取扱説明書であり、撮影に関するアドバイス、実例まで入れた立派なモノだ。

 Canonが如何に米国でそのメーカーとしての信頼度を得ようと努力していたか判るものだ。今の1億総カメラマン時代に有っても、この様な手厚い、解りやすい説明書を付けるのがメーカーとしての本来の姿ではなかろうか?

 消費者側はもう諦めてしまっているが、1本100万円、軽自動車と同じような価格のレンズやボディを売るのであればそれに見合った「ケア」が求められてもバチは当たるまい。

 昨今の新製品に関するメーカーから消費者への情報サービスは、この1957年に出されたCanon USAによる新製品マニュアルの足元にも及ばないだろう。

1957年頃発行のCanonVとIVS2のカタログ兼マニュアルだ。
 
日本では発売されていないようだ。
 
被写体にあのシュバイツァー博士が出てくるのだ、驚いた!
 
小学校時代誰もが偉人伝を読んで尊敬する人物のトップだった人。

 さらにもっと驚いたのが、このシュバイツァー博士を撮ったのがあのユージン・スミスなのだ。W.Eugene Smith

 で、さらに腰を抜かしたのがそのユージン・スミスが「サソリとハエ」という自然界の生物を撮影していたことだ。
まさに、筆者などが常に考えている「シャッターチャンス」をCanonもユージン・スミスも考えていたという点だけにおいては少しほっとしたカタログだった。