昨日の夜のNHKニュースで利水ダムと治水ダム(一部多目的ダム)の管轄省庁が違うため、豪雨時の洪水対策の一つとしての事前放流を一貫して行えるように省庁間・管理組織間の風通しを良くする。・・という名目で菅官房長官が東京電力須田貝ダム現場を視察していたが、「国も洪水対策に関して何も動いていないわけではありませんよ!」というメディア・マスコミ用のパフォーマンスだろう。内閣のマスコミ対策担当のプランと思われる。
東京電力須田貝ダムはあの有名な八木沢ダム直下の発電ダムだし、治水ダムや今回の球磨川大災害レベルの洪水調整としての事前放流につながる関係各所(地元自治体・国・各省庁)の風通しを良くする程度では、今回のような大きな洪水災害の基本的解決策には程遠い。
ダムの事前放流程度で今回のようなダム下流域への広範囲豪雨の災害が本当に防げると思っているのだろうか?時速250㎞で走っている新幹線を「危ないからスピードを落とせ!」というので時速240㎞にしたのと同じようなもので、もちろん乗っている乗客になどその差が判らないレベルだ。
わざわざ官房長官が現場で視察する様なパフォーマンスをする暇が在ったら、今回の球磨川水害の根本をもっと精査してほしい。そうしてその結果を早く我々に教えて欲しい。何時またすぐ次の豪雨があるか判らないのだ。
日本のダムに関しては、何処にどのくらいの規模のダムが幾つあるのか実ははっきりとした数字がつかめていない、というより管理者があまりに多岐に渡るため、統一したフォーマットでの集計・表示がなされていないらしい。
新型コロナウイルスのPCR検査に関する関連各所間(保健所~自治体~病院)の連絡が何と未だにFAXと電話だという事を知った国民だれしもが驚いた通り、我が国の行政は世界の先進国の間では電脳化が一番遅い。電信・モールス信号で情報伝達が行われていた19世紀末、欧米時代、矢文と伝書鳩と早飛脚で伝達していたに等しい。これに似たような話が未だに日本を動かす「役所」に存在するのだ。
あのWindows95が発売され、一般にコンピューターが入ってきた当初、行政・役場のスタッフに与えられたソフトはExcel(=表計算ソフト・エクセル)だけだったという。
一般家庭用のパソコンですらWord (=ワープロ・文書作成ソフト)/Excel(表計算ソフト)/Power Point(=プレゼンテーション・ソフト)くらいは付いているのが普通だったのに行政や学校はExcel(=表計算ソフト・エクセル)だけ。理由はパソコンを使えない当時の政府・文科省上層部が「コンピューターって電子計算機だろう?だから表計算ソフトが在れば良いはずだ」と決めたのだという。本当なのか笑い話なのか今になっては知る由もないが、多分本当だろう。
話がそれたが、球磨川大洪水から1か月以上経ったお盆近く、国の官房長官が今更のようにダムを視察するというこの現象が「ダムさえあれば何とかなるのでは?」という方向にならないことを願うばかりだ。
マスコミ・メディアが地元の人々の思いを踏みにじるように球磨川を「暴れ川」と大きく表示して非難され顰蹙を買ったように、マスコミ・メディアはその流域で生活している人々の生活・産業と球磨川の結びつき・歴史を知らない。知っていても判っていない。亡くなった麦島 勝さんの歴代の写真を観て少し学んだ方が良い。彼の主に八代市(一部球磨村・人吉界隈)の生活写真集の50%には球磨川が写っている。洪水の時の人々の生活もある。
この稀有な写真家は球磨川の歴史をそこに住む人々と共に印画紙に残された。球磨川も知らずにやれダムだ、自然保護だけの観点から物言いをしないでほしい。そこには数多くの人々の生活・観光資源・河川産業が存在するのだ。
荒瀬ダムが出来る前の球磨川下流部は既に一部砂利河原だ。八代市のミュージアムで是非観て学ぶべきだろう全てのメディア・マスコミ人は・・。