2020年1月10日金曜日

団塊世代はここ数年都心の大型商業ビル乱立を憂える。The baby boomers have been worried about large commercial buildings in central Tokyo in recent years.

 ※この投稿は表示と異なって1月12日(日)の午前0時の投稿。
 
 都心に新しい複合ビルが建てば、ワーッと新し物好きの客たちが押し寄せる、渋谷に新しいビルが建てばまたそちらにワーッと押し寄せる。しかし1か月も経てば初日に列成した客はもう居ない。
昨年末、渋谷に鳴り物入りで出来たスクランブル・スクエアも昨日行ってみたら、早くも閑古鳥が鳴いていた。物販フロアは目線で隅から隅まで見通せるほどガラガラだし、地下1階の食料品店「紀伊国屋」も、まだお昼前だというのに商品の半分近くに「半額」「20%off」のシールが貼ってあった。正月明けという条件を加味してもちょっと拍子抜け?
イートイン・コーナーでは上品な老夫婦が弁当を買って二人で食べていた。

 人気の渋谷でハイソサエティ御用達の紀伊国屋だから、あのスクランブル交差点で騒ぐカッコいい若者たちが消費者かと思えば、実態はそうではなく渋谷周辺在住・年金生活者カップル達の弁当・買い食いコーナーなのだ。

 いくら大東京に消費力が在ると言っても、こうまで新しい大型複合商業ビルが林立しては独自性、ユニークさも出せず、結局は客の取り合いにならざるを得ないのだろう。

GINZA6、数寄屋橋の東急プラザ銀座、日比谷ミッドタウン、六本木エリアでは、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、アークヒルズ、虎ノ門ヒルズ、これらに加えて渋谷界隈のヒカリエ、渋谷ストリーム、渋谷スクランブル・スクエア、渋谷東急プラザ・・・。この後後いくつできるのだろう? 渋谷ヒカリエなどは老舗中華料理屋などが撤退、客単価の安い無国籍のテラスレストランのようなものばかり蔓延り、早くもスラム化し始めている。

例えば、筆者も高校時代毎日のように通学路として通った渋谷の東急文化会館前のバスロータリー、中野正貴さんの写真展で懐かしい当時の佇まいを観る事が出来た。
中野正貴さんの作品、Tokyo Nobodyより

これが上の中野正貴さんの写真の現在の姿だ。

 個々のPR、宣伝文句では個性アピールを繰り返すが、東京在住者にはいずれも「金太郎飴」状態。地方から観光で上京してきた人たちにとっては、一軒づつ回ることで間違いなく3日間は予定がつぶれるだろうが、多分途中で投げ出すに違いない。観る分にはこれら商業施設、一度は面白いが、何か具体的な物を買う気にはとてもならない。

 70歳を過ぎた団塊世代の眼から見れば、買ったとたんに「ゴミ」に成りかねないようなモノを沢山陳列しているに過ぎない。人口的にも資金的にも、まだ団塊世代の消費力は捨てたものではないはずだ。しかしその団塊世代が買う気に成るものが並んでいるのは、実は地下の食品売り場だったりする。
あちこちに大型商業ビルが建つ一方で、依然と大人気で販売実力を誇る上野アメ横。

 このあたり、渋谷の再開発者や出店予定者はどう考えているのだろう?ターゲットである消費者像を確実にとらえている店舗がどれ程あるのだろう?不特定多数が入店する門前の団子屋、寅さんの「とらや」ではないのだ。消費者の好みが非常に多様化した現在、食いつく客層は限られたごく少数のはず。出店費用に見合った売り上げが上がらねば、どんどんお店が替わっていくに違いない。余計な心配だろうが、10年後、渋谷のこれらビル群がどうなるだろう。ビルごとシャッター商店街に成らないことを願うばかりだ。筆者も生きていればこの憂える気持ちがどうなったか確認できるのだが・・・。