2020年1月19日日曜日

団塊世代はスポーツアスリートとTVバラエティ番組の関係を憂える。The baby boomers worry about the relationship between sports athletes and TV variety shows.

 ずいぶん昔から不思議でしょうがなかった事に関して述べてみたい。

 昭和の時代から政治、経済、文化・芸術、健康、と来て何故か「スポーツ・芸能」が一括りになっている。一緒くたにされている。
 世界でトップクラスの署名なオリンピックアスリートが、人を笑わせることでお金をもらっているお笑い芸人たちと一緒に、テレビのバラエティ番組で弄られ笑われている構図が、筆者にはどうしても納得いかない。
スポーツアスリートに対してお笑い系のボケで迫る品の無いバラエティ番組。

職業に貴賤は無いと思うのは筆者も同じだが、馬鹿を言って、その場のノリで人を笑わせてお金を稼ぐお笑い芸人と、血の出るような練習と、無責任なメディアの執拗なまでの期待と言うプレッシャーの中で闘うアスリートが何故同じ空間に居なきゃならないのか良く判らない。
 決してこれは芸人を下に見たり卑下しているのではない事をお断りしておきたい。芸人は芸人の世界で物凄い倍率の中を目立とう目立とうと努力して這い上がってきているのを知っている。

 お笑い芸人が頭の回転が速く、人の考えていることを先読みする気転の速さに置いて群を抜いていることも知っている。逆にアスリートには戦う相手の心理を読むという戦いの場以外、日常会話に関してはそういう部分はあまり必要ないので、この落差を合わせることの面白さも判らないではないが、見ていて双方に違和感を感じてしまう。

 要はその努力なり、方向なり、得たものの結果がアスリートとお笑い芸人とでは全然違うという事だ。お笑い芸人とトップアスリートの間には、どう考えても「共通点」共通項を見出し難いのが普通だと思うのだ。テレビのバラエティ番組はそれを無理やり合成しようとするので、強い違和感を感じると言いたい。

 たとえばアスリートの控室やトレーニングの場に芸人たちが「ちわーす!」とか言って入っていけばおかしいだろう?大昔の植木等ではないが「えっ?あれーっ?お呼びでない?お呼びでない?こりゃー失礼しましたっ!」というのと一緒だ。

 ほとんどは低俗なテレビのプロデューサーやディレクター達の安易な「話題性のある者同士を同席させれば視聴率を稼げるだろう、スポンサーが付くだろう・・。」という目論見で生まれているのだろうと思うが、こんな国は世界中で日本だけだろう?

 アスリートもアスリートだ。世界第一線のトップがそのような低俗なバラエティショーに出るか?イチローがお笑いタレントやただ可愛いだけのアイドルと一緒にゲームなどするか?松井秀樹がしたか?錦織や大坂なおみが出るか?ハンマー投げの金メダリスト室伏選手が出るか?サッカーのパイオニア中田選手がでるか?野茂英雄が出たか?

 本当のトップアスリートは品位を保ちプライドを持っている。成績が悪かったり、落ち目になった時のマスコミメディアの酷さを知っているし、周りもアドバイスする。

もう少し日本を背負って世界で闘うアスリートたちは、プライドと品位をもって欲しい。昨年のラグビー日本チームだって「ラグビーのファンを増やしたい、ワールドカップの熱気を次へ繋げたい」と言いながらひな壇に乗せられ低俗なタレントたちに弄られていた。
しかしあのようなバラエティ番組になど出てそれは達成されると思うのか?本気で。

もう少し、スポーツの世界は真剣で高尚であって欲しいと思うのは筆者だけだろうか?団塊世代の爺だからこう思うのだろうか?

 メディアが日本のアスリートたちを潰している話は、過去このブログでも散々述べてきた通りだ。亡くなった髭の殿下と1995年のインタースキー野沢温泉大会の時の話の中でも「何故、日本と言う国はスポーツ・芸能で一括りにしようとするのでしょうね?」という筆者の呟きに「全くその通りだ、お前何とかしろ!」と檄を飛ばされた事が有った。

 スポーツ選手と言えば、昔は口下手で、朴訥(ぼくとつ)としてどちらかと言うと笠智衆のような感じの受け答えが多かった。お相撲さんなどしゃがれた声で「えー、そうっすね。ごっつあんです。」くらいしか言わないものと思っていた。「アー、ウー、」とかかっての大平首相のような感じしか記憶がない。

 「ピンチヒッター!黒江、黒江ネ!」と審判にバントの仕草で代打を告げた長嶋茂雄終生名誉監督のようなユニークなアスリートはあまりいなかったように思う。

 それが最近のアスリートはオウムのようにほぼ全員が同じようなセリフを言う。「勝てたのはチームの皆のお陰です」「負けたけれど気持ちを切り替えて次頑張ります。「この1勝が次に繋げられれば良いと思います。」「皆さんの応援で力を貰いました。」

 応援していた観客も「ニッポンが勝って力を貰いました」「負けちゃったけれどひたむきな姿に元気をもらいました。」

 どの放送を見てもこれの繰り返しだ。これ以外のコメントを取れない現場のインタビューアーやレポーターのレベルの低さ、知恵の無さ、突っ込んで訊けない無能さばかりが気になって仕方がない。

 NHK日曜日の昼の「素人のど自慢」って、まだやっているそうだが、かっての名司会者宮田輝アナウンサーの出場者からのコメントの取り方など、今のアナウンサー何か学んでいるのだろうか?F1やプロレスで名を挙げたベテラン古舘伊知郎程に成れとは言わないが、アナウンサーが専門職ではなくなってしまった今、何かテレビと言うメディアの終焉が見えてきたような気もするが如何だろう?
FOXsportsなど海外メディアの方が純粋にスポーツを報道しているように思う。

 ひょっとすると、個人的には2020東京オリンピックは、海外メディアの報じるチャンネルで競技を見るかもしれない。広告も入らないし・・・。