2020年9月5日土曜日

緊急投稿!球磨川沿いの肥薩線の復旧を考える。その8.  Consider restoration of the Hisatsu Line along the Kuma River. Vol 8.

  シリーズその7.の続き・・・。人吉はどのようなイメージで全国から見られているだろうか? 人吉市と言えば○○だよね?という人吉のイメージをランキングで上から並べた終わりの方がこの⑨と⑩。

⑨ 鰻の上村


しらいしさんの画像も出したいが紙面の関係でゴメンナサイ。今年3月。

 隣の「しらいし鰻屋」さんと軒を並べた人吉の鰻の名店。地元では共に人気を二分するが、人吉の外からは今のところ地元メディアの取り上げ方が多い点で「うえむら鰻屋」さんの方が口コミ効果・メディア掲載実績で勝っている。しかし味は甲乙つけ難い。高齢者にはしらいし鰻屋さんの方に軍配を上げる人も多い。

 現在両店舗ともに洪水の為臨時休業中の様だが、一日も早い復活を祈りたい。「うえむら鰻屋」タレが流失してしまったと聞いたが、タレだけ飲むわけではないし、白焼きもとても美味しいので是非頑張って復活してほしい。東京在住者で年間「うえむら、しらいし」両店で計10回以上も鰻を食べらる人間はほかに居まい?筆者これだけは自慢している。今年は3月8日に食べて以来コロナ禍で行けていないので、既に禁断症状が出ている。東京でこの両店に敵うお店は只一軒、銀座一丁目の「ひょうたん屋」だけだ。

 このほかにも人吉には鰻の良いお店が多い。昔は当然天然物が当たり前だったので、現在鮎の刺し網のベースに成っている「鰻塚=うなぎづか」やその他の漁法で鰻も豊富だったのだろう。福岡県の柳川や、今はもう無いが佐世保の海軍さん御用達の鰻屋など、更には小倉、黒崎の田舎庵など九州には鰻の名店が多い。このあたり丁寧なアプローチPRを行えば観光ネタになるはずだと思う。価格が高くても天然鰻を季節限定でメニューに加えれば食べたい人は遠くからでも来るはず。

 人吉市を鰻の名所街にするのであれば、それなりに鰻屋全店で知恵を絞って「うなぎ屋MAP」を作るなり、いわれやうんちくを並べて「人吉うなぎNET」を主宰するなり、知恵を絞って街ぐるみの鰻連合で広報PRに努めるべきだろう。決してできない事ではないし、市外から見ての上村さん一店集中は広い意味での鰻嗜好派の間で良い結果は生まれないと思う。

 列を作って長時間待ったり、満員で入れないケースが増えると「恨みつらみ」で逆にマイナスの口コミ拡散が発生したりする。過去においては長野県や東京都内でそういったケースが二か所で起きている。


⑩ 川上哲治氏
9連覇時の川上監督 BS朝日より

 筆者が小倉市(現・北九州市小倉北区)に住んで居た際、4歳下の我が弟のクラスメートに川上哲治さんの甥っ子がいた。福岡学芸大学附属小倉小学校だった。だからと言って憧れの川上哲治さんには直接会ったことが無い。その後しばらくしてまだ屋根のない後楽園球場で網の向こうにいる9連覇監督時代の彼を数度垣間見ただけだ。

 1958年日本シリーズ西鉄3連敗の後4連勝して巨人を破って優勝した際は、筆者も小倉の附属小学校生徒で教室の机を巨人派と西鉄派に二分し、ラジオの音声で一喜一憂した。筆者は少数派の巨人ファンだった。先生はというと全校職員が職員室に集まって授業そっちのけで、たった1台のテレビを囲んで観ていた。実は川上哲治選手はこの日本シリーズ第7戦が現役最後の試合だった。

 このことを体験したり、肉親から聞いた人は多少興味があるかもしれないが、だからと言って人吉までわざわざ来るようなきっかけにはなるまい。

・・・と、こういった人吉に関する連想アイテムランキング(仮想)なのだが、この中にいくつか今後の人吉を活性化させるネタが含まれている。そのネタの実現・具現化がとりもなおさず肥薩線の復旧に非常に意味を持ってくると思うのだ。

 あくまでまだ発想段階なので、正直な所良く言う「絵に描いた餅」の状態だ。しかし、それをどなたかが具現化する努力を始めようとするのであれば、筆者は喜んでお手伝いしようと思う。いわば活性化支援、ある意味勝手にソフト面の人吉球磨・肥薩線復興ボランティアだと思っている。

 以上、現状での仮想ランキングで人吉市の持つ主な観光ネタを表示してみたが、筆者が今後の観光活性化、地域活性化に関してこれらを再起動し、より良い方向へ持って行くための方策の一部をこのブログ上で提案してみたい。

➀ 人吉温泉に関しての考え方

 全国の温泉地の再開発、再活性化に係わったことはあったが、いずれもどうやって情報発信したら良いかばかりで、残念ながらその温泉郷全体がどのように変われば良いかなどまで考えようとする所はなかった。
 どのケースでも、泊まりに、あるいは観光に来る客たちが何を求めて何にお金を払ってわざわざ来てくれるのかまで考えている所は無かった。ましてや、他の競合温泉地の研究をして、自分たちの温泉地の個性化、ユニーク化を図ろうというところまでリスクを負っての場所もなかった。だからほとんど昔のままで未だにうだつが上がらないでいる。

 まずは、どこからくるお客を呼び込むのか、マーケティングターゲットを絞る事から始めるべきだろう。県内客中心なのか、九州圏内~山口・広島止まりの客層を狙うのか、近畿大阪までか、名古屋までか。はたまた首都圏東京の客層まで手を広げるのか?
 これには色々理由がある。

 そういった各エリアの客層が旅先に何を求めているのか地域性・地域格差が非常に大きいのと、更には年齢層、小グループなのか、カップルなのか・・・。すべてを網羅した最大公約数的演出・もてなしだと結局どの層にも不十分で、良い情報拡散に繋がらない。
 例えば、首都圏・東京の人間が最近どんな生活を送っているか、受け入れ側の温泉関係者は知っているだろうか?今や首都圏東京は「アニメ王国ニッポン」の誉め言葉に浮かれて今や街中アニメだらけ。もはやⅠ0年前とは全然違う佇まいなのだ。山手線や地下鉄の電車に乗れば紙の広告はどんどん減少し、半分以上の広告スペースが液晶画面でアニメ中心の動画広告が流れている。
山手線や中央線、地下鉄に至るまで座席の上の紙広告は無くなり液晶動画広告だ。


最近やたら多いのがアニメっぽい広告。団塊世代にはどれもこれも皆同じに見える。




 渋谷や新宿など盛り場の大型画面も若いタレントやアニメキャラクターの告知ばかりで、今や首都圏の日常は1980年代にハリソン・フォード主演で大ヒット・話題になった近未来の映画「ブレード・ランナー」の出だしのシーンの様なのだ。

 こういう環境で生活している資金が潤沢な高齢者・富裕層は、昔ながらの日本の風景情緒、静かな夜、しかし寝室は腰痛その他で自宅ではベッド生活に慣れている。更には少量で品の良い東京では味わえない料理を求めており、豪華に見せようとお皿の数ばかり多い温泉地の宿の「間違ったおもてなし」には辟易しているのが実情だ。

 つい先日もTVでその手の観光地の宿の料理のボリュームが多すぎるという批判の番組があったばかり。高齢者老夫婦は少量で品の良い食べきれる夕食を欲しているのに、未だに観光地の旅館は隣の宿と皿数を競っていたりする。

 ましてや陸の孤島を宣言できるほど山奥の人吉で、マグロの刺身が出て来たりすれば、客は決して良い印象は持たないだろう。首都圏や京阪神など大都会の客は人吉ではとても手に入らない生の大間マグロをいつでもたくさん食べられるのだ。来るお客の日常と何を求めているかをもっと研究・調査する事から始める必要があろう。このあたり宿泊業関係者はどれほどのリサーチなり客の嗜好に関して勉強をしているのだろう?

 もう一つ、決して安くはない旅行費用をかけて都会の騒音から逃れ静かな夜を期待してきているのに、夜よその部屋からカラオケのうるさい音が聞こえて来ては最悪の評価と、クレームの情報拡散に繋がってしまう。
 大都会からの客を受けるのであればカラオケなどは完全防音の部屋を設定するか、無くす方向で考えないと都会からの客を逃すことに成ろう。もっともカラオケ目的の地元近隣の団体客も逃したくない場合は、それなりの宿泊施設としての種類・ジャンルとスタイルをハッキリさせるべきだし設備投資も必要だろう。

全ての客を取り込もうとするのは今に時代にそぐわないし、虻蜂取らずに成ることは大いに予想される。それぞれの目的の違う客に「おもてなし」の方向性を勘違いするととんでもない事になる。

 筆者はヤマセミの生態観察・撮影で人吉市内の宿には過去10年間に色々泊った、合計宿泊数は300泊を越える。人吉旅館、鍋屋本館、あゆの里、サン人吉、翠嵐楼、たから湯、華の荘、国民宿舎くまがわ荘、などなど。地元の方で、あるいは一般の客で実際にこれだけの宿に自費でしっかりと泊まり歩いた人はいるだろうか?宿の良し悪しは設備、温泉、料理にしろサービスにしろ、実際に自費で泊らなければ判らないはずだ。

 此処ではそれぞれ個々の良し悪しについて触れないが、国内最高レベルの宿から、施設サービス共全てにおいて昭和40年代のままの所もあって、今後このままでは自然淘汰が起きても仕方が無かろうと思った。
                              この項 続く。