2024年3月25日月曜日

ヤマセミの巣穴掘りシリーズ その1. The Crested kingfisher burrow digging series. #1.

  ヤマセミの生態シリーズ 第2弾 ヤマセミの巣穴掘り その1。

 「ヤマセミは通年つがいで暮らす」‥の次は繁殖期の巣穴掘りに関する項目。

 2010年~2020年までの11年間で観察したヤマセミの繁殖行動において、まったく新しい所に巣穴を掘っている場面は計4回記録している。古巣を再利用しているケースも4回。計8回の営巣観察記録が残っている。

 全く新しい所と言っても古巣の在る壁の10mほど離れた所だったり、2~3mしか離れていない場所だったりするケースも多い。全く新しい環境に掘るより、一度繁殖が成功した環境での「安全性・利便性」を経験値として記憶しているのだろう。

 人吉市の場合は高さ15~20mのシラスの壁(火山灰が降り積もって出来た崖)が非常に多いので、70%以上の巣穴はシラスの壁だが、そうではない砂岩の壁や赤土の壁に巣穴を掘っているケースも決して少なくない。

 今日ご紹介の巣穴掘りは球磨川本流に面した北向きの崖で、赤土の非常に崩落しやすい場所。事実2年後にはこの巣穴の壁附近全体が大崩落を起こし、跡形もなくなってしまった。

 カット数で13カットの説明に成る為、2回に分けてレポートしたい。なお、この巣穴掘りの最中非常に珍しい一瞬が撮れている。ヤマセミつがいの生態を知るには貴重な瞬間かもしれない。

右上の掘削中の巣穴へ、メスを先頭につがいで向かう・・。

このように巣穴掘りはつがいで一緒に努力するのがお約束になっている。これは他のつがい3ファミリーの巣穴掘りの現場でも、まったく同様の静止画と動画が記録されている。少なくとも人吉ではオス・メス片方だけが巣穴掘りを行っている場面は観たことが無い。

で、メスが最初の掘削アタック。

メスが掘ったあと、他のつがい同様オスが続くと思いきや

メスが戻るにつれて、一緒に右方向へ戻るオス

この直後面白い事が起こったのだ。 今日は此処まで!

 ちなみに、かってヤマセミの繁殖を観察中に地元の野鳥団体の幹部メンバーから、現場の観察状況をよく理解もせず「営巣中の野鳥撮影は控えるように」とメーリングリストで公開処刑の様な事を言われたことが有った。で、念のため観察撮影状況を記しておきたい。
 球磨川の大洪水で今は何も生えていない砂利・砂地の河原だが、この画像を撮影した2012年頃の撮影地点は腰までの草ぼうぼうの河原だった。更に、そこに小さな迷彩テントを張り、その中からの撮影画像がご紹介した画像。距離は100m以上あった。

 ちなみに、この球磨川本流は1日に幾度も球磨川下りの観光舟が数艘列をなして通過する場所。

 この一連のカットを精査すると、色々な事が見えてくる。現場での生目視と収録画像での精査というものが如何に大事か良く判る一連の観察だった。