2021年11月28日日曜日

団塊世代は神津善行さんのビッグバンドジャズ コンサートで良き昔を偲んだ。 The baby-boomer generation remembered the old days at Yoshiyuki Kozu's big band jazz concert.

  グレン・ミラー管弦楽団も、ベニー・グッドマン管弦楽団もそれぞれトロンボーン奏者とクラリネット奏者が指揮する世界的に名高いアメリカのビッグバンド・オーケストラだ。

 第2次世界大戦の最中が活躍のピーク(グレンミラーは1944年に飛行機事故で死亡)なので、筆者が生まれる前に最盛期だったビッグバンドだ。

 しかし、そのサウンドはレコードを通じて幼少期の自分に刻み込まれている。同時に1950年代60年代のNHKの番組「夢で逢いましょう」や民放の「シャボン玉ホリデー」で盛んに取り上げられたので、団塊世代のご同輩は皆さんよくご存じだろう。

 これらの名曲をいま日本国内で結成できる最高のミュージシャンを集めて作られたバンド「鈴木直樹とスイングエース・オーケストラ」でやってみよう・・・という神津先生お得意の実験コンサートのようなものが昨日の府中芸術劇場でのコンサートだった。

 1枚4,000円のチケットは決して高くない。多分今回も営業的に見ればコンサート自体真っ赤な赤字か、良くてトントンだろう。神津先生の音楽事業は決して金儲けが目的ではなく、本当に良い音楽をレベルの高い演奏家によって、判る人にだけ丁寧に面白く広める・・音楽家としての活動なので、地道な活動が多い。普通の音楽コンサートとは理念からして違う。

 故・三笠宮寛仁親王殿下が障害者へ特に生の良い音楽を聴く機会を続ける・・・と「愛のコンサート」を続けておられたのを、しっかりサポートし続けて来られたのも、まったく目的が同じだったからだと思う。少なくとも筆者が神津先生に初めてお逢いした1994年以降はずーっとそうだ。

 今日のステージでの話の中でも、かの江利チエミは「シャバダバダー」などのスキャット歌唱法だけを学ぶために米国へ渡ったという話、ジャスを歌わせたら現役歌手では八代亜紀が最高なのだが・・という話など、音楽好きが為になる「ネタ」を披露しておられた。

 1990年代の終わりころから、ラップはじめインストルメンタルで聴くと何が何だか判らないような曲が若者に流行り始め、かって音楽全盛期(1950~70年代)に育った団塊世代は、年取ったせいもあるだろうが、ヒット曲音楽界にまるで見向きもしなくなった。

 半面、今や具体的でリアルな物証が伴わないネット配信や、かけた際の音量が判らないCDより、空気感と30㎝四方のジャケットと共に実在性を感じさせてくれるレコード盤の良さが再認識され、急速にリバイバルし始めている。決してオールデイズ・ジャンルだけに押し込められない数多くのスタンダード名曲が再ヒットし始めているような感じがする。

 日本の音楽界も、どの局にダイヤルを回しても出演者がくだらない世間話ばっかりして、いつまでも曲をかけないFM放送とはおさらばして、ロンドンやニューヨーク、ホノルルのように常時曲が流れるジャンル別音楽専門チャンネルのFM放送局に成るべきではないのか?期待しても無理だろうか?

 そういう意味で色々考えさせられた、今日の神津先生のコンサートだった。 






早速帰ってすぐレコード棚のコレクションから引っ張り出して聴いた。


神津先生の凄い所は、来年90歳になられるというのに、ステージの端に立ったまま最初から最後まで演奏を観て聴いているという事。プロ野球の監督だってベンチに座っているか柵にもたれかかっているっていうのに、凄い事だと思う。

 ドラムのソロなどは素晴らしく迫力があり、あのベンチャーズのメル・テイラーが全盛期「キャラバン」で見せたソロを想い出してしまった。ジャンルこそ違えどソロの部分は似たようなものだろう?オリジナルはもちろんこっちだが・・。

 世田谷の高給住宅地にあるしゃれたレストランでお逢いして以来だったが、お元気そうで大変嬉しかった。次の企画も是非伺いたいと思う。