2018年8月4日土曜日

朝の列車一本が減って生息環境が変わったヤマセミ! Changing the timetable of railway have huge influence to Crested kingfisher ecology.

 微妙だが、人間の生活の変化が野鳥(=ヤマセミ)の生態に大きな影響を与える事実をレポートしようと思う。

 多分こう言った細かい変化に関するレポートは専門の鳥類学者さんたちは眼もくれないと思うが、ヤマセミと人間の共生・共創に関して研究している筆者にとっては具体的数値とまでは行かないが、「事実・真実」の一例として非常に重要な事として記録しておきたいと思っている。

 熊本県南部を流れる九州第二の一級河川球磨川。この中流域を形成する人吉盆地の中央部人吉市内で生息展開している普通では出遭い難い希少野鳥のヤマセミが、鉄道の列車一本が無くなっただけでその生息エリアが変化したのだ。

 具体的に言うと、肥薩線の山線といわれる人吉―吉松間の列車本数が減った為、今まで朝7時台に第三鉄橋を轟音とともに鉄橋に留まっていた野鳥たちを蹴散らしながら渡っていた列車2本(1往復)が無くなり、今年の4月1日から朝一番が午前9時半頃に成ったのだ。

 これがどのような変化を野鳥たちに与えたかというと、それまであまり鉄橋に寄り付かなかったヤマセミが、繁殖期の幼鳥教育のベースにこの鉄橋を利用し始めたのだ。

 詳しい経緯と変化は、この先自費出版予定の「人吉市におけるヤマセミの生態記録・(2010年~2020年人吉市におけるヤマセミと人間の共創)」に掲載予定。

 状況としては、毎年ヤマセミ繁殖期の後半幼鳥訓練が行われる人吉城址脇の球磨川が、毎朝7時~8時半頃、近隣高校カヌー部の朝練で占有されるため、ヤマセミはその間川上500m移動した浅い瀬のエリアに退避していた。
 これが今年4月から朝の上下始発列車が2時間ほど遅くなり朝7時~8時台に鉄橋を渡らなくなったため、安心して肥薩線鉄橋をベースに幼鳥教育が展開され始めたという訳だ。

 但しこれは、あくまで年間10日間(毎年不定期)ほどの現象なので取るに足らない事象なのだが、野鳥の生態の変化を観察している筆者から見ると非常に面白い現象だと思うのだ。
2019年度までは朝7時台の上下始発が轟音を上げて鉄橋を渡り、その都度鉄橋に留まっていた野鳥たちが逃げまどっていた。

肝の据わったヤマセミも最後には列車直前に逃げていた。

それが、朝一番列車が無くなり9時半に始発が来るようになったため、

鉄橋の上ですっかり寛いだり、

幼鳥の監視を鉄橋の上から行ったり、

1対1の教育を鉄橋の上で行ったりするようになった。

日の出から朝9時まで鉄道の鉄橋が最高の場所に成った訳だ。



繰り返すが、あくまでヤマセミの繁殖期後半、子育て幼鳥教育春先の10日間、しかも朝2時間ほどだけで、今はもう観られない。

 散々鉄橋を堪能したヤマセミが居なくなった朝9時30分頃、今日の始発の列車が既にヤマセミ以外の野鳥も殆どいなくなった鉄橋を渡る。