2016年6月2日木曜日

ヤマセミが毎朝早くから窓のすぐ外で鳴いて起こしに来る素晴らしい山荘が人吉の山奥に在る。There is a nice mountain lodge at deep country site of Hitoyoshi, where Crested kingfisher comes every early morning and he wake me up with noisy voices.

 人吉市の郊外・山奥、隣の県との境の峠近くに在る山荘に4日間滞在させて頂いた。一番近い民家でも1km以上離れて居よう。周りには何もない、森林と球磨川支流の最深部、一日に数度アカショウビンの声が30m以内の渓流に近づいては遠ざかる物凄い所だ。今は勿論夜ホタルも飛び交っている。
 
石と木のコラボレーションを非常に大切にしたプロデュース。

 この山荘をヤマセミのつがいが遊び場としてテリトリーにしている。深山に生息するヤマセミ本来の正しい姿をこの山荘で観察する事を特別に許して頂いた。残念ながらセキュリティの堅固な私有地なので、誰でも行けるという場所ではないが、今日はこのヤマセミ2羽のつがいをレポートしてみようと思う。

 朝早く、ちょうど心地良い季節なので網戸にして2階の部屋で熟睡していた筆者は、突然頭の上で「キャッキャッキャッ!ギャルルルルルル」という甲高い野鳥の声で叩き起こされた。窓の外3mの手すりに留まったヤマセミの声だった。そーっとカーテンの影からコンパクトデジカメで撮影した。まだ朝5時だよ!
ブラインドを使わず、こんな近くでヤマセミを撮影するのは生まれて初めてだ。

 この山荘は団塊世代の建築プロデューサーの力作で、周りの自然には一切手を入れずそのまま原生のまま残し、建物の中の人間生活に視覚面・音響面で非常に自然を上手く取り入れている。その上山奥での人間の生活に最小限の設備しか備えていない。たどり着くには私有地の山道路を進み、いくつかの頑丈な扉を開け閉めして越えて行かなければ行きつかない。
棚田も保有しており、自給自足も可能のようだ。

 最低限の設備とはいえ、トイレは完全ウォシュレット自動水洗・自動開閉カバーの最新鋭設備。キッチンはIH、空調・冷暖房も完備。しかしテレビ・ラジオ・新聞など一般的なメディアツールは一切無い。その代わりネット環境・インフラは高速ブロードバンド・光回線を導入。最新鋭の環境を確保している。勿論スマホやパソコンなどを持ち込まねば下界とのコミュニケーションは遮断される。

  忙しいオーナーは、部屋の空気を入れ替える為に乾燥し晴れた日には一旦此処へ来て、ガラス戸を開放して仕事に入るという。しかし、戸締りの為、戻ってみると1階や2階の広い部屋の中にはヤマセミの羽根や糞が沢山落ちており、下手をするとペリットまで吐き出してあるという。それに何故か網戸がズタズタにされている所があり役に立たなくなった部分も何枚かあるという。調べてみたら、これらはすべてヤマセミの仕業だという事が判明。その悪戯の生態と現場を今回4日間で証拠動画と静止画にたっぷりと記録させてもらった。NHKの「ダーウィンが来た!」ではないが、たぶん本邦初の収録だろうと思う。
部屋を開け放っておくと、ヤマセミが入り込んで荒らしていくという。

 ヤマセミの生態を研究している筆者にすれば、こんな天国のようなところがこの世に在るとは夢にも思わなかった。2泊の予定だった所、無理をお願いして3泊、延べ4日滞在させて頂いた。最初の予定では食事は時々山を下りて人吉の街で摂る予定だったが、殆ど毎食カップラーメンやコンビ二のおにぎりや差し入れて頂いたパンなどで済ませてしまった。

 最初の日、現場に案内頂いて、設備の扱い方を教わり、オーナー夫妻が「一人で怖くないですか?」と言いつつ車で人吉の街に降りようと、出発して5分も経たない時だった。「キャッキャッキャッ、ギャルルルルルル」と鳴きながらヤマセミが現れた。現れたというよりどこかでご主人様達御一行が山荘を出て行くのを観ていて、いつもの通り自分たちの遊び場として姿を現したのだろう。
山荘に人影が在る時は遠い高圧線に留まって視て居る様だ。

ひと気が無くなると、谷川の上の樹木に留まって近づいてくる。

もう一羽は?とブラインドを下げてみたら庭の照明器具に留まっていた。

谷川の樹木は指定席のようだ。

この谷川は球磨川本流へそそぐ支流の最深上流部だ。