2023年11月26日日曜日

団塊世代は生成系AI普及で人類の脳の退化に危機感を感ずる。 The baby boomer generation feels a sense of crisis about the degeneration of human brains due to the spread of generative AI.

  この「生成系AIの影響」といったテーマに関しては3度目かもしれない。

 テキスト中心のChatGPTが話題になり始めたのはちょうど1年程前だったろうか?当初出始めの頃は、メディアが競ってその驚くべき回答の速さ、出来栄えに狂喜乱舞したのは記憶に新しい。

 NHKテレビのニュースは先陣を切って、ニュースのアナウンスをこれら生成系AIで音声を流し始めた。地方自治体も我先にChatGPTを採用すると宣言し、「我が自治体は周りより進んでいるんだぞ!」と周りの自治体にマウント行為を示しはじめた。

 テレビ局はその威力を街頭インタビュー(もちろん全てがヤラセ)で如何にもChatGPTが便利で凄いモノなのかを吹聴・拡散し続けた。

 大学生(もちろんヤラセ)に「去年のレポートは2日掛かってやっと提出できたのに、今年はChatGPTを使ったらサクサク出来て1時間で済みましたよ!」と言わせるなど、その便利さ加減、威力の凄さをアピールし続けた。報道も学生も昨年2日掛かって学び脳の細胞が増えたことを忘れている。生成系AIを使ったおかげでほぼ2日間で得られたはずの脳力を得られなかったことをまるで考えていない。

 しかし、少し経つと科学者や有識者の間からその正確さに疑問が出始め、色々な不具合が報じられるようになってきた。

 例えば公明党の山口那津男代表がChatGPTに「公明党の山口那津男とは?」と訊いたら、そんな人は知らない・・と答えたそうだ。

https://www.asahi.com/articles/ASR4M55WRR4MUTFK00G.html

 決して笑い話では済まされない。山口那津男氏も相当がっかりしたことだろう。それ以外にも似たような話はいくらでも出てきた。

 一方、大阪では大阪府の生成系AI使用と豪語した公式サイトで「大阪万博が中止ってホント?」と訊くと「残念ですが、中止です」と答えて大騒ぎになっているという。しかし、この騒ぎを「多少の間違いがあっても公式サイトを止めるつもりはない」と言った吉村知事のいい加減さにも呆れたところだ。

 そこで、ChatGPTは怪しい=生成系AIは不確実だ、これを信じたらえらいことが起きそうだ・・。となって、世界中で生成系AIへの不信感が高まった。

 同時に、マンハッタン計画で米国の科学者たちが「原爆」を造り出した時に似て、生成系AIが近い将来人類に非常に大きな悪影響を与えるのではないか?との疑念からChatGPTを世に送り出したオープンAI社の取締役会で事業拡大に進むアルトマンCEOが解任されるという、よくあるハリウッド映画のストーリーのような事件が起こったのだ。

 すぐに解任劇は社員たちの猛反対(退職意思表示社員70%以上)で元の鞘には収まったものの、生成系AIの持つ「危険」に対し幅広い影響と人類に対するリスクを予測できる多くの有能な科学者(経営陣)たちが「大きな懸念」を持っていることが世界中に広まった意味で大きな事件だった。

 つまり、「凄いモノが出来た!こんなに便利になる!」・・・と、単純・無邪気に飛びついたITやAI系の熟練者・専門家たちとは違い、「こういう便利なモノが出来たのは良いが、それを使う人間のスキル・人間性・基本的脳力によってとんでもない副作用・悪影響が出るのではないだろうか?」と訝しむ、心配する動きが世界中から巻き起こっているのが現状だ。

 昨日NHKBSPでやっていた「ついに未来がやってきた!ロボット大全集」でもロボットの未来に関して、素晴らしい有効性と同時に生ずる人類への悪影響・不安事項などが語られていた。

昨日BSPで再放送された。必見の番組だ。

 しかしこの手の不安話は、2001年の映画「A.I」、2004年の映画「I,Robot」で当の昔に問題提起されている。
 一方、今回生成系AIの問題はロボットよりはるかに身近で、すでに一般の人間が使用し始めている点で問題にならないほど大きな影響が出る事だろう。 

 まさに筆者が数回にわたりこのブログでその危機感を表してきたことに近い。

 民放では報じないが、さすがNHKは今年の5月の段階でAIプロンプト・エンジニアリングの重要性に関して報じていた。要は生成系AIはそれを使う人間の脳が低かったり未塾だったりすれば、ろくな効果や回答を出さないというモノ。

生成系AI活用者のスキル・一般的知識などのバラつきを危惧している。

非常に重要な事を言っている。

今一番懸念されることがコレだ。なんでも鵜呑みにしてしまう人類が危うい。

 IT、AIの熟練者・スキル保持者を自負する人間たちは、決して全員一般的な物事の発想能力、企画能力、幅広い知識、言語のボキャブラリーに長けている訳ではない。つまり決して知っているからって有能なプロンプト・エンジニアとは限らないのだ。

 これをAIに関して良く判っている、知っている・・と勘違いし、間違った生成系AIの存在を解説しがちであることを筆者は危惧する。

 車の普及で人類が歩かなくなり健康に影響が出始めた。ファーストフーズ、コンビニフーズなど大量既製食料品の摂取拡大で添加物その他の過剰摂取による健康への悪影響拡大など世の中が便利になったことと引き換えに人類がどんどん劣化し始めているのをご存じだろうか?

 一方、スマホの普及でPC使用者が激減中だという。キーボードを叩かなくなって指先活用が減り、さらに小さな画面の文字を見るだけ、情報を選択するだけ、GPSで目的地にたどり着けるため事前調査をしなくなるなど人間の脳がどんどん退化しているという科学的根拠データも出ているという。

 メディアのスポンサーがこれら自動車産業・スマホ端末製造企業・食料製造販売の大企業なのでメディア・マスコミはこの危険性を報じない。たばこの害や工業排水による環境汚染の問題ほど報じない。

 日常、新聞その他既存メディアに加え、日々ネット情報を選択しながら見て、己の知識を毎日更新し続ける必要の重要性を感じざるを得ない。