2019年6月30日日曜日

ヤマセミ幼鳥!本能に導かれて自立! シリーズ3. The young Crested kingfisher independence! Guided by instinct, Chapter 3.

 ヤマセミの「本能に導かれて自立シリーズ」の今日は3弾目!今日の個体は12~3回飛び込んだ。多分親の眼から離れて遠くまで遠征してきて、完全に単独の行動と思われる。

 この幼鳥は朝6時過ぎに筆者の前方50m程の岸寄りの岩に飛んで来た。なにか、ビクビクする様に時々パッパッ!と羽根を小刻みに広げる素振りを見せて飛び立とうとしている状態が20分ほど続いた。まだ巣立って1週間は経っていないと見えて、おどおどしている。しかし眼に入るモノは全て興味津々でジーッと見入っている。この辺りの幼鳥の生態は非常に観ていて面白い。

 幾度か、ヌルっと滑り込むように水中にダイブした後、少し飛んでダイブしたこの時初めて何かを咥えて来たのだ。咥えて来たのは細い竹か木の枝で、最後のカットは木枯し紋次郎の様だった・・・って、団塊世代でないと判らないかも?

 例によってこのブログの画像は生態観察の証拠画像なので今回は全編草かぶりだ。
 
まだまだ飛び込み方は遠慮がち。



水中から真上にこれだけ跳ねあがれれば健康体と言って良い。





さすが主翼を広げると巣立ち1週間程度とは思えない凛々しさだ。


これが咥えて来た小枝。木枯し紋次郎ばりのスタイル。彼にとっては4回目にして初めて何かを咥えて来た記念すべきダイブだった。

2019年6月29日土曜日

二羽で飛び回るヤマセミにはそれぞれ別々の理由がある。 There are Different reasons about pair flying of the Crested kingfishers.

 再びヤマセミの生態ご紹介に戻りたい。週末土日は通常「団塊世代の愚痴こぼしや憂さ晴らし」のようなブログで更新するのだが、今週末は明日の45年振りの大学同窓生・再会があり、その様子を週明けに更新する予定なので変則的な週末になる。

 ・・・という事で、今日のブログはヤマセミが二羽で追いかけ合うように飛び回っている生態のレポート。
 
 ヤマセミが二羽で追い回しをしているように見える場合、いくつかの異なる理由が考えられると思っている。

 その1、縄張りに入り込んだ「よそ者」を排除するための威嚇追い回し。この場合はオス同士が殆どだ。しかし繁殖期に限って子育てのエリアを守るためメスの親がよそ者のメスを追い回す事があり、時にはバトルになる。このケースの実写はまた後日。

 ※人間の場合も、自分のテリトリーに他県のバーダーが入り込むとあからさまに追い出そうとするジモティを知っているが、まさかヤマセミの真似をしている訳では無かろう?

 その2.親が子供(幼鳥)の飛翔訓練を行う場合、常に後ろに親が付き非常に高速で飛び回る事がある。ヤマセミがこのような高速で飛べるとはとても信じられないほどのスピードを出す。

 その3、まだ巣立って間もない幼鳥が興味津々で親の目の届かない所へ遠征した際に叱り飛ばすため、追いかけて折檻をする。とてつもなくスパルタ式だ。

 ※人間の親が厳しい躾をすると、やたら「虐待だ!」と騒ぎ立てる昨今の人間界のメディアやクレーマーにはよく観察させたい場面だ。その昔「小さな恋のメロディ」という英国映画で生徒が先生に呼び出され折檻されるシーンがあったが、あれは虐待だと何故騒がないのだ?

 その4、子育て中、つがいの親が並んで飛び回る事がある。決してスピードは速くないが接近して飛ぶ。ランデブー飛行とでも言おうか、何故か撮影して居て直ぐに判るから不思議。


縄張りを荒らす「よそ者」排除の飛行は激しく上下する。下の画像はよそ者が、追い出そうとするオス親を羽根を広げて迎え撃つ「決闘」の姿勢。この後壮絶なバトルが始まったが、また後日ご紹介。



この3カットは親鳥のつがいが給餌の合間に見せるランデブー飛行。





この5カットは後ろがオスの親、前がメスの幼鳥。飛翔訓練と思われる。前を行く幼鳥は緊張しているので冠羽が立ったままだし、くちばしも短い。わき腹の錆色を見るまでもなく大きさも親に比べると少し小さい。

ヤマセミの観察は10年続ける事により、やっと現場で観察していて飛び回る二羽の状況を判断できるのだが、それでも撮った画像をPCで拡大して初めて判る事実もある。なかなか難しいのだ。

2019年6月28日金曜日

ヤマセミの横でカワセミのダイブ採餌、これが人吉市の自然! The Kingfisher's feeding dive beside the Crested kingfisher,This is pure nature of Hitoyoshi city.

 ヤマセミの幼鳥を観察し続け4日が経った頃、筆者とヤマセミ幼鳥との中間地点で盛んにダイブするカワセミが出現した。昨年の観察では同じ岩の上にカワセミとヤマセミが同居している画像を幾度も撮影したが、今年はカワセミの繁殖が少し遅いのか、盛んに採餌しては何処かへ餌を咥えて飛んで行く。

 今回の撮影も採餌した後筆者の方向へ飛んで来たが、水辺にカワセミの巣立った幼鳥が待っている可能性も否めない。初夏の草の伸び方は雨後の筍ばりのスピードなので、昨日撮影出来た岩がもう翌日は草で隠れてしまう。春から初夏にかけての自然界の変化は恐ろしい程の速さだ。

 モノクロのヤマセミの動きばかりではストレスも増すだろう、たまにはカラフルなカワセミのダイブをご紹介。

どうしても最初の飛び出しには反応できなかった。悔しいが己の反射神経の衰えをこんな所に感じてしまう撮影だった。

離水時に真上にこれだけ飛びあがるカワセミも初めて視た!

普通は斜め前方なり、角度を付けた上がるものだが・・。





こうしてこちらへまっしぐらで、手前の草に消えた・・・。


2019年6月27日木曜日

ヤマセミ幼鳥!本能に導かれて自立! シリーズ2. The young Crested kingfisher independence! Guided by instinct, Chapter 2.

 今年初めての台風になるかもしれない熱低が九州南部に接近中だ。最大風速17m/s超えで台風となるが、今回のはならないかもしれない。
 しかし進むスピードが異常に速いので、場所によっては結構強い風になるのではないかと危惧している。

 2010年から人吉へ行くようになって、幸運にも台風に遭遇した事は無かった。航空機の欠航や遅延も無く助かっている。

 で、昨日の続き「本能に導かれて~」の第2弾だ。どうしても似たような画像に成ってしまうがご紹介。
こちらの岩でも拾って来た小枝で練習中。

幾度か消極的に咥え直しの練習。

大きく放ってしまい・・・。

水中に落としてしまう。

すぐさま飛び込んで拾い直す。

そうして少し離れた岩に移って、練習をする。

「ね!見てくれた?」と言わんばかりの幼鳥。給餌用の餌を咥えた親が現れるとすっ飛んでその方向へ戻って行く。


2019年6月26日水曜日

ヤマセミ幼鳥!本能に導かれて自立! シリーズ1. The young Crested kingfisher independence! Guided by instinct, Chapter 1.

 ヤマセミの生態の中でも、特に繁殖シーズン一連の行動は他の野鳥たちのそれに比べ観察しやすいので、詳細まで理解できる点で非常に面白い。
 最近の生物学界のニュースとして話題を集めた「本当のセミの寿命は種類によっては10日から1か月ほどある」という事実を高校生が突き止めたなど、今まで常識とされてきた「定説」が随分事実とは異なってることが多い事が判って来た。

 自然観察の醍醐味の一部だろうか?ヤマセミの観察を10年続けて判った事の中にもそうした「新事実」が幾つか有る。
 
 例えば長くて7~8年がその寿命だと「推定」され有名な図鑑にもそう記されて来たヤマセミの寿命。実は吉祥寺の自然文化園で、巣から落ちたヒナを保護して飼育されているヤマセミが13歳になってまだ元気いっぱい!という事実。伝書バトなど鳩の寿命に比べ、より体の大きなヤマセミ(実際はハトの1.5倍以上の体積)がそれより寿命が短い訳無いと筆者もこのブログで推定していたのが証明されて非常に嬉しかった。

 縄張り争いの激しい闘いはオスだけが行い、メスは背後で見守る・・という観察データが、9年経過して初めて今シーズン、メス同士の争いを詳細な画像収録出来たことで打ち消された事。

 更には、幼鳥が枯れ木の枝を自らくちばしで咥えて折り、獲物叩きの練習素材にする事実。(人吉市の辻先生撮影の画像アリ)、慣れた人間に向かって成鳥が水中から拾って来た小枝をくるくる回して見せる、しかも連続して違う枝を拾ってきて見せる・・・などなど。

 他の野鳥もたぶんそうなのだろうが、ヤマセミの幼鳥は巣立ち後2週間も経たないうちに、誰に教わる訳でもなく水中に飛び込み、木の葉や小枝を拾って来ては咥え直し、硬い岩などに叩き付け、採餌後魚を完全に殺し骨を砕く練習を始める。

 傍に親が付いている訳でもなく先に生まれた兄弟が見守る訳でもないのに、ある日20分程じーっと水面を見つめた後、チョコチョコ歩いて縁まで進みいきなり飛び込んで何かを咥えて来る。

 こういったDNAに刷り込まれているのだろう、本能に導かれて自ら行い始める生態を観察すると、もう感動以外の何物でもない。

 今日はそういった幼鳥の本能に導かれて自立を始める瞬間をご紹介。
最初はよちよち歩いてバランスを崩したりしているが・・・、

突然!水に飛び込んだかと思うと・・・、

黒い木の枝を咥えて戻って来る!



そうして、暫く加えた後、

放り上げて、

咥え直す。これを1時間ほど繰り返すのだ。

時には後ろを向いて咥え直し、

失敗して水中に落とすと、また飛び込んで持って来る。

 これを観ているだけで、「何と観察しやすい野鳥なのだろう」と思わざるを得ない。人吉市の子供たちは日本で唯一こうした貴重な野鳥を目の前で観察出来るのに・・・もったいない話ではないか?

 もっとも、朝6時に球磨川堤防に集合させると、親や教育委員会、口うるさいクレーマーたち(メディアを含めて)が騒ぐので先生・教育者たちも出来っこないと思っているのだろう。
 
 しかし、自然界は人間が決めた授業の時間割など都合の良い時間にだけ動いている訳ではなく、人間の決めた時間割の方がはるかに自然に反しているのを理解させる意味でも朝6時の自然観察は在っても良い話だと思うが如何だろう?
 自由参加でも良い、日本で人吉市でしか観られない「自然」上手く活用してこそ「人吉市の鳥」に在った意味があるのではないだろうか?

2019年6月25日火曜日

日の出直後の鋭い光の中でヤマセミは白飛びを起こしながら飛び回る。 In the sharp light just after sunrise, the crested kingfisher fly around with white haration.

 野鳥の写真撮影には薄曇りか曇りの日が一番嬉しい。旅行の記念写真などはピーカンとまで行かなくとも、晴れている方が良いのだろうが、あまりに晴れが強くて影が濃く出る日は野鳥撮影は上手く行かない。

 写真撮影の技術をもっと勉強しておくべきだったと幾度も現場で後悔したものだ。そういう日には、まだ雨の日の方が良いと思ったりもする。晴れていて太陽光が鋭い場合の野鳥の画像はコントラストが強すぎて本来の野鳥の持つ微妙な色具合や質感が出ない。半面が真黒な画像など、幾ら近くても「駄目」の一言。

 だから、鳥類図鑑はイラストなのだ。写真だと一番その野鳥の特徴をとらえた角度から撮影出来ていない、あるいは肝心なところが影に成ってしまったりする事が殆ど。イラストなど描いた絵より写真の方が正確だと思っている方は「図鑑」に限って言えば少し違うのだと学んだ方が良いと思う。だから高価な鳥類図鑑も植物図鑑も対象を表現するのはイラストなのだ。

 それだけ曇りの日の方が良いと言っているのに、今朝の画像は鋭い日の出直後の光の中で撮影したヤマセミ達。図鑑の絵と違って早朝の光の中で白飛び(=ハレ―ション)を起こしながら飛びまくる姿をいくつかご紹介。
170m離れた対岸の木々の間から突然日の当たる場所へ出てくるヤマセミはまことに捉え難くてしょうがない。



撮影中は左のもう一羽など全く見えない。




自動だのオートだのでは晴れの日の早朝のヤマセミは撮れない。何度も失敗して経験値を積んでもまだこの程度なのだ。自分の技術が足りないのは百も承知なのだが・・・。