野鳥の写真撮影をしている筆者は日本画などの花鳥画に出てくる野鳥の絵を観るのも好きだ。植物にポタニカル・アートが在るのと同じで、野鳥の世界にも図録(図鑑)用のイラスト画で小林重三氏の描いた「鳥類原色大図説」などはオリジナルを手に入れたほどだ。
今日は上野の不忍池に野鳥の定点観察へ行こうと思ったが、JRの上野駅を降りて西洋美術館の前の展覧会情報で渡辺省亭の花鳥画展を芸大美術館でやっているのを思い出し、予定変更で観て来た。
渡辺省亭画伯の描く野鳥は、図鑑(図説)用の学術的な野鳥のイラストと、掛け軸にしたりする芸術的な「絵」とは根本的な部分で異なっているが、それを超えてそれぞれの野鳥の特徴を上手に捉えている部分のみ鑑賞してきた。
しかし、生き物はその目で全てが変わってくる。その点で観れば「渡辺省亭」画伯の描く野鳥は自分が日常的に撮影している生の野鳥とは何処か顔つきや目が違う。
しかし、ヤマセミとカワセミが一つの画面に一緒に入った絵を発見した際はびっくりした。迎賓館の七宝絵の原画らしいが、多分我が国の絵画にもヤマセミとカワセミが同時に描かれている「絵画」はこれ一点だけだろう。これは観に行って良かった。
かの伊藤若冲さんだってカワセミは描いたものの、ヤマセミは描いていないのだから渡辺画伯は頑張ったのだろうと思う。眼で見てスケッチするだけではこれほど詳しい絵は描けないので幼鳥を貰い受けたか、巣から落ちた個体を手に入れたのだろう。田中一村さんの様に一旦撮影してからそれをベースに描くようなことはこの当時無理だったろうし・・・。
BF2の入り口から入った所でビデオ大画面での解説説明があった。その中でアカゲラ(赤啄木鳥)の絵の説明があったので、それを是非観たいと思ったが、地下二階にも三階にも展示されていない。二往復してしまった。
入口の動画で見せておきながら出品していないとはいったいどうした事か?詐欺ではないか?何の説明も無いのはおかしい。係員3名に訊いたが「申し訳ない」「スミマセン」と繰り返すのみ。企画プロデューサーに言いたい。「客の立場で展示の整合性をきちんとしなさい!」
これだけの画家だもの、野鳥に詳しい客は相当来ると思わねばいけない。案の定ヤマセミとカワセミの絵の前で10分もジーッと魅入っている男性が居た。気に入ったのだろう。
ひょっとすると後期に作品の一部を入れ替えるというので、そこで出て来るのかもしれないが、それならそれで後期展示品のリストを出すとか、国博などでは必ずそうするので前期後期どちらに行くか、事前に決められる。後期に眼玉を持って来てまた入場料を取ろうってか!人の足元見やがって・・・となる訳だ。