ヤマセミ研究のまとめが遅々として進まず、その他のエリアの野鳥の画像精査が碌に出来ない毎日で少々焦って来ている。
精査出来ない量の野鳥撮影などするものではないとは思うのだが、そこはそれ、欲が深いのかもっと良いチャンスがあるのではないだろうかという期待感で毎日を過ごしているせいか止まる所を知らない。
よく銀座などでバッグ類の有名ブランドのお店から買ったばかりの紙袋を下げて出てきたのに、今出たそのお店のウインドウの商品をまた食い入るような眼付で観ている女性に呆れていたが、人の事は言えないと思う。
その道東・根室界隈の環境だが冬が素晴らしい。いわゆる観光地的な景色を愛でるのであれば冬以外の方が素晴らしいと思うのだが、こと野鳥に関して言うならば真冬が良いと思う。
遮る木の葉も無い、背の高い草もなくただ白い雪原が広がるだけなので野鳥は丸裸状態?撮影者にとっては天国の様な環境だろう、吹雪さえなければの話だが・・・。
筆者が参加した根室バードランドフェスティバルは、実はほとんど開催できない程の冬の嵐に見舞われた。しかし倍以上の日程を組んで行ったので非常に多くの野鳥を撮影出来た。
道東には納沙布岬~温根沼(オンネトウ)~春国岱~風連湖~野付半島といった野鳥の多い場所が連なっている。勿論レンタカー、それもスタッドレスタイヤ完備(現地では当たり前)の四輪駆動車を借りるのが正解だ。6日間の雪道走行距離が800kmを超えるのもおかしくはない程だった。
北海道といえばシマフクロウやシマエナガなど野鳥撮影愛好家の方々にとって憧れの種も多いが、そういう限られた希少種を収録に行くのは絵葉書で見てエッフェル塔を確認に行くようなものだからあまり個人的には好きでない。
やはりその土地ならではの野鳥の生息環境を知って、それを背景に野鳥の佇まいを撮影したいと思う。割に今回はそれが出来たと思っている。アップも良いが、引いて背景も写る様に苦労したつもりだ。
まずは、氷で閉ざされている道東の様子からお届けしようと思う。一通りご紹介したものは、人吉のヤマセミ同様、限定部数自費出版の写真集にしようと考えている。
根室半島は盲腸の様に日本で一番東方向へ飛び出た細い半島。
津軽じょんがら節の背景よりさらに荒涼とした厳冬の風景が広がる。
しかし、よく観察すると沖の岩にオオワシを発見、撮影可能。
あるいは、走っていて電柱に留まるオオワシを間近で撮影も可能。
何も網走や知床まで行かなくても流氷の一部は根室でも観られる。
夕暮れ時なら追うものが違う撮影愛好家の恰好の被写体も現れる。
風連湖などは結氷した雪原にエゾジカの群れなどが毎日現れる。
そのエゾジカの向こうに見えるのがこの地独特の氷下漁の仕掛け場だ。
その収穫時にはご覧の通り近くの樹木にオオワシやオジロワシが集結して、売れない雑魚を漁師が投げる(捨てる)のを待っている。これが道東ならではの野鳥撮影の「場」なのだ。
持ち込むカメラの種類で乗船料が違う、流氷観光撮影乗合船から撮影する知床のやらせ餌巻き野鳥撮影とは違った、氷下漁の漁師との共存生態を通した本物の猛禽類の姿が此処では観察可能だ。
カラス⇒トビ⇒オジロワシ幼鳥⇒オジロワシ⇒オオワシ幼鳥⇒オオワシ、時々キタキツネ、といった獲物を捕る自然界の掟・順番が見て取れるのもこういった大自然ならではの事。
勿論厳冬期、氷点下15度以下の環境で3時間以上粘れる体力と装備を持っていないと無理ではあるが。更にはカメラのバッテリーも普段の半分以下で消費してしまう事も考えて行かないと、とても収録は難しいだろう。