但し例外はあった。「百獣の王ライオン」とか「砂漠は生きている」等の自然界の記録映画は積極的に観た。逆に小学校時代小倉の映画館で西部劇の三本立てを家族で観に行って、三本ともジョン・ウェイン主演だったりしてもう映画の筋がごちゃごちゃに成るってのが大嫌いだったという事だ。
それが今回、食い入る様に魅入ってしまった映画があった。アメリカ映画で「LIFE、The Secret Life of Walter Mitty」という、かって在った有名なグラフィック雑誌「LIFE誌」の写真・管理担当者の話だ。
見覚えのあるLIFEの表紙が会社内に貼ってあるという演出。
個人的には1964年の東京オリンピックで水泳のドン・ショランダーが金メダルを独り占めした表紙がLIFE誌の最初の購入だった。
’60年代の総集編特集と’70年代総集編は買って未だ持っている。
自分が育ってきた間、写真撮影に関しての教科書はLIFE誌とNational Giographic誌だった。シャッターチャンスをLIFE誌で、アングルをNational Giographic誌で学んだ気がする。人からは教わった事が無い。
ストーリーは、いわゆるネタバレになるので此処では紹介しない。しかし、どのようなジャンルであっても自分で写真撮影する人間にとって「うんうん、判るコレ!」という成り行きや背景シーンが次から次へ出てきて息をするのも忘れそうになること間違いない。
観ていて、もし他の映画を観る時と全然違わなかったり、あまり感じ入る事が無い方は、普段写真撮影を心から楽しんでいる人ではないだろう。
ニューヨークのLIFE社(存在していた当時)からアラスカ~グリーンランド~アイスランド~ヒマラヤ・アフガニスタンなどへ行く主人公を追って自分自身も同行している気分になってしまう点で、楽しい事この上なかった。
特に、グリーンランドへ着陸するシーンや、アフガニスタンへ高地の乗り合いバスで行くシーンなどは尊敬する写真家の佐藤秀明さんの撮影行を想像してしまった。一緒に行った事も無いのに。
圧巻は、ショーン・ペン演ずる著名な写真家がデジカメの時代に銀塩フィルム・カメラのNikonF3で雪豹を狙いながら、ファインダーにその雪豹が現れたにも拘らずシャッターを押さないシーン!これにはグッと来てしまった。
かって自分でヤマセミの生態を観察していて、思わず間近のその姿に見惚れてレンズを通してではなく、生の眼で観たくてシャッターを押さなかった事があったのを想い出した。(以下のシーン・ご参考)
「Walter Mitty: When are you going to take it?
Sean O'Connell: Sometimes I don't. If I like a moment, for me, personally, I don't like to have the distraction of the camera. I just want to stay in it.
Walter Mitty: Stay in it?
Sean O'Connell: Yeah. Right there. Right here.
ウォルター:それならいつ写真を撮るの?
ショーン:撮らない時もあるよ。その瞬間が俺にとって重要なら、カメラに邪魔されたくないんだ。ただじっとしてるだけだよ。
ウォルター:じっとしてる?
ショーン:ああ、その場にね。」
要は、良い写真を撮るためには我を忘れて妥協せず、それでいて人との信頼感を保てと言う意味で非常に勉強になる映画だった。もっと早く見たかったが・・・。
http://www.foxmovies.jp/life/