古い写真と云うのは個人的な”想い出”になるのはもちろんだが、当時のその場の文化指標にもなる事が多く、背景の方が後になって貴重になる場合も有る。もちろん人間にとっての各時代ごとの思い出は写真が一番だろうが、私にとってはその当時の音楽の方がその時代の「空気」や「シーン」を思い出せる場合が多い。それがオールディズのレコードコレクションになっているのかもしれない。
今日の画像は1972年に初めて海外に行った時のイギリスの画像。まだ英国行きのエアーラインはBOACだったし、出発も羽田空港でアンカレッジ経由のポーラールート(北回り)路線だった。赤軍派籠城の浅間山荘攻防戦を空港のTV中継で視ながらの出国手続きだった。ビートルズは既に解散して存在せず、英国ではおかっぱ頭のギルバート・オサリバンというアイリッシュの歌手がピアノの弾き語りでBBCヒットパレードを上昇していた。日本では沢村忠というキックボクシングの王者が頂点に居た頃、筆者24歳。
この頃のカメラはもちろんフィルム銀塩一眼レフカメラ=Canon・FTb。これにFDズームレンズ+50mmレンズを持って、あたりかまわずシャッターを押していた。大学の教育学部美術専攻科で写真を独学(担当教授がいなかった)で勉強していた為、個人用の暗室を大学の美術室の隅に保有しており、いくらでも現像焼き付けが可能だった。
ヤマセミの撮影に非常に役立つ写真の基本はこの頃から学んでいたようだ。野鳥ばかり撮影しているより、他の被写体、たとえばSL人吉号や、昆虫や、飛行機といった動くモノをその速度に合わせてフレーミング、フォーカッシング出来るようになるのも一つの修練かもしれない。
Rainy London in 1972 April.
モノクロならではの英国ロンドンの雨のたたずまい。凄く暗くて驚いた記憶が有る。
Foggy morning in London same as above.
霧のロンドンの早朝一方通行を行くタクシー。右手の後ろ向きの車は配達中だろう。
The Regent street in London and BOAC office.
カーブを描いて有名なロンドンのリージェント・ストリートのBOACオフィス。
School girls waiting the changing of the Queen's Guard at the Backingham palace.
バッキンガム宮殿前で衛兵交代を待つ女子小学生たち。
Two old men waiking on a beach walk of Bournemouth.
1972年のドーバー海峡に面した英国保養地ボーンマスで撮影した老人2人。
Two Japanese walking same place as above after 27 years.
上の画像の記憶が有ったので、1999年出張で行った時に足を延ばして同じ場所で同じような演出で撮影してみた。こういう事が出来るのが昔の画像を頭に入れて置く事の面白さだろう。街灯は変わり手すりも出来ているが、左に見える夏季の貸小屋(着替えなどを行うサマーレンタルハウス)はそのままだ。遠くに見えるドーバー海峡に突き出たレストランなどもそのままだ。犬の散歩禁止の立札が立っている。