2020年7月29日水曜日

あの最上川でも球磨川同様の氾濫が起きた! A flood similar to the Kuma River occurred in that famous the Mogami River !

 梅雨末期の豪雨帯が東方地方に北上し、先日の球磨川同様日本三大急流である最上川でもに多様な洪水が起きた。

それも、海に近い河口部ではなく球磨川同様、中流域の尾花沢市隣の大石田町・大蔵村付近という場所で溢れた点で非常によく似ている。
 
西の日本海へ中流の盆地部から峡谷部を通って流れ込む最上川。

同じく西の八代海へ中流の人吉盆地から峡谷部を通って流れ込む球磨川。

 この氾濫した大石田町などはちょうど球磨川における人吉市のような中流域の盆地に当たる。そうしてその後峡谷部を流れる最上川はある意味非常に球磨川に似ていると言って良いのではないだろうか?
残念ながら芭蕉は球磨川では詠んでくれなかったが峡谷部の流れの速さは同様だ。

 なおかつ日本三大急流のうちの二本で、大規模な河川氾濫が同じ月に起きたのはなかなか無い事。地球環境の変化が急流部を持つ大型河川に起きた点で記憶に残る事だろう。

 いずれも豪雨が線状降雨帯の集中に近い状態で起きており、上流部にダムがあったなら・・・などという昔気質の河川治水方法では防げない新しい水害の様相を表しているように思う。
 球磨川と最上川はともに日本三大急流で一見似たように思われるが、例えばその支流の数を見ると、最上川428本、ダムの数40以上(現在2基建設中)に対し、球磨川の支流130本、ダムの数4(市房ダム・瀬戸石ダム・油谷ダム・内谷ダム)で規模が違うことが判ろう。流域の人口を考えてもその差は歴然。

 これで観る限り、立地条件や環境が異なるので一概には言えないが、ダムの一つや二つ作っても今の洪水は防げないものという良い実例なのではないだろうか?流域に400本以上の支流を持つ最上川に40以上の発電・治水ダムがありながら今回の洪水だもの、球磨川の治水にダムがあったれば‥などと簡単に論ずる者達(メディア・政治家など)の気が知れない。何も実情・実態・自然を知らないのだろう。

 此処で、このブログを投稿するのに、球磨川と最上川の基本データを調べまくった所、あまりに球磨川のデータが少ない事に驚かされた。過去の水害の記録やラフティングの案内、釣り(アユなど)の案内は在るのだが、河川そのものの物理的あるいは自然環境数値データ、支流の数、ダムの数、掛かっている橋の数、流域の人口、これらを一堂に記したサイトがなかなか見当たらない。
 Wikipedeia(=ウィキペディア)にすら、長さなど基本データはあるモノの水源の標高や支流・橋の数ダムの数など重要なデータが無いのだ。

 日本の代表的な河川の一つとしてこれほどデータ開示の少ない河川は無いのではないだろうか?日本三大急流などという有名な河川の割には情けなさすぎる事だ。しかも他の都道府県にまたがって流れている訳でもないのに・・・。
 あれだけ川辺川(球磨川支流)ダムの論争が長い事続いてきた一級河川なのにその基本データが無い事の恥ずかしさと言ったら呆れかえる心地だ。一体何故だろう?

 多分、球磨川の恩恵を受けているのに、各自治体は「多分どこかがやっているだろう、重複するのであれば意味ないから、うちでは出さないで良いだろう・・。」という感じで出さないのだろうか?その辺りきちんと出してくれている最上川との「差」が感じられて情けない。
http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/enc/index.html 

国土交通省 東北地方整備局 山形河川国道事務所のサイト「最上川電子大事典」より

 このサイトに在った、日本三大急流がいかに傾斜がきつく川の流れが強いかを示す良いグラフがあったのでご紹介。縦軸が川の原点から海までの高低差、左右軸が川の総延長=長さを示す。日本の河川がいかに急流か良く判る。

 今朝の情報を視ていたら、最上川流域では1967年(=昭和42年)羽越豪雨で大きな被害を出してきたので流域の多くの家屋がかさ上げして住居を2階~3階へ移したところが多いという。今のところ今回の洪水での被害者(死者)は出ていない。
 もちろん球磨川の洪水とは基本的に規模も条件も違うのだが、100年の歴史を思う時に幾度も水害に在っている両河川の流域住民の予防・工夫が気に成る所だ。

 今後も有り得るだろう球磨川の洪水、少なくとも右岸側の人吉中心部は生活空間を皆かさ上げするなどの改善努力が必要なのではないだろうか?

 球磨川の堤防を高くしても、バックウオーター現象で支流部が氾濫するパターンが増えると思われるので、別の視点の防衛努力が急務ではないだろうか?