2020年7月21日火曜日

シリーズ、在りし日の球磨川流域の想い出、自然の宝庫 その2。 The Memoriam of Kuma River basin, a treasure trove of nature on a day of the past Part2.

 国交省主導の「Go To Travel」キャンペーンのドタバタ、笑ってしまった。多くの高学歴・官僚や政治家さんが集まって、こんな高校の文化祭の準備よりひどいレベルで国家的キャンペーンを進めて来たのかと思うと情けなさすぎる。クラウゼヴィッツの「戦争論」を読んだことが無いのだろう。

 この1830年頃ドイツの陸軍大学校長だったクラウゼヴィッツがまとめた「戦争論」は決して戦争を賛辞する様な、あるいは右翼の好戦的な内容の本ではない。戦争多発の当時、もし闘うとなった場合、相手にどう考えどのように準備して臨むかを「戦略・戦術・作戦・戦闘」という各段階において成すべき事を理路整然を述べたものだ。いわばマーケティング、イベントプランニングにおいては非常に重要な「教科書」なのだ。最近の横文字多用のマーケティングを唱える者たちもほとんど知らないだろう。

 日本においては軍医で作家の森鴎外、かの東郷平八郎の参謀・秋山真之など頭脳明晰な参謀的存在の著名人が皆読んで学んでいる。筆者も社会に出て最初のVAN(=ヴァン ヂャケット株式会社)の宣伝部販売促進課に配属された時、最初に上司から「これを読んでおけ」と言われたのだ。解り易く解説した本を読んで「モノの成り立ち、準備の順序」を学んだ。

 戦略とは自軍の強みと弱み、敵の強みと泣き所を調べ、比較分析した後どうやって相手を打ち負かすかを大局的に考える事。例えば相手の大軍に対し補給路を断ち食料・燃料・弾薬を枯渇させるなど大きな「戦略=大局的な行動目的」を考え出す事。

 戦術とは「補給路を断つ」戦略を達成するためには「航空機による爆撃で主要通路の橋を数か所落とす」「工兵隊により橋に爆薬を仕掛け爆破する」など、地域的な行動目的と使用武器・火器を決めどう戦うかをいくつか考え出す事。

 作戦とは「囮チームで敵の主要部隊を目的の橋から遠ざけ、橋の防備を薄くする」「闇夜を狙って夜襲をかける」など具体的な兵力+火力を落とし込んで戦闘作戦をいくつか考える事。

 要はプランAからプランEまで5種類くらいを用意し、戦況・気象の変化に応じ自軍の戦死者を最小限にとどめつつ武力を保てるよう臨機応変に対応する・・・などがが事細かに解説されている。

 話が長くなったが、国交省なり政府の企画参加要人たちは、状況や環境が変化することも予測せず、「決めた事は強引に中央突破・上位下達で進めるのだ!」という石頭ばかりであることを露呈してしまったのが今回のドタバタなのだ。だから高校生の文化祭準備より酷いレベルだと言った。筆者は本当は今の高校生の方がはるかに頭が良いと思っている。藤井聡太棋聖だけではないのだ。

 いずれも為政者が市井(しせい)の人々の日常の行動、旅行に行く際の準備と行動を全く理解しないままキャンペーンを立案したからだろう。あるいはプラン全体の企画・運営・実施を丸投げされた大手広告代理店がアホで無能なのかもしれないが、それすら見極められないという事だろう。

 
 今日は過去に人吉訪問の際に撮影した球磨川の情景の中から、もうしばらく、あるいは永遠に観られないかもしれないものをいくつかご紹介。

人吉駅を出ると、まず万江川(まえがわ)を渡る。この川も今回氾濫した。

次に渡るのが小川の橋。左奥に犠牲者の出た千寿園が見えている。

2013年撮影のGoogle mapでも治水工事や千寿園が写っている。

最初に特急が停まる「渡駅」


「渡駅」を出ると球磨川第二橋梁を渡る。この橋も今回流失してしまった。

2012年の撮影にはまだ運行中だった「球磨川下り」のロングコース、急流コースらしき舟が写っている。数年前から運行していない。

特急の車窓からはラフティング会社のツアー集団がよく見られた。

2012年頃は那良口~一勝地附近がラフティングのメッカになりつつあった。

車窓からもラフティングの楽しむ姿が垣間見えた。

その峡谷部が今回球磨川の参事を起こしたのが心痛い。