2020年10月24日土曜日

東北 米沢市の最上川で洪水への備えを視てきた。 This week I researched at preparations for the Mogami River flood in Yonezawa, Tohoku.

  今週、東北の米沢市で写真家の佐藤秀明さんが中心になって開催されている写真展(10月20日のこのブログで既報)のセッティングに顔を出した。10月20日のブログで既報の通りだ。

 10月20日のブログ= http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/10/exhibition-of-origin-of-photography.html

この際、市内のど真ん中を流れている最上川の周辺を野鳥観察兼ねて洪水対策をどのように行っているか視て回った。3時間ほどだが2万歩は歩いてみた。

 この米沢市は山形県南部に位置し、最上川で言えば上流部にあたる。球磨川で言えば多良木~あさぎり町辺りに相当しようか。あるいは支流の川辺川であれば相良村より上流部にあたるのだろう。

 福島から山岳地を抜けて米沢盆地へ入る直前、峡谷部を流れる最上川(支流)上流部も撮影出来た。球磨川と基本的には立地条件が良く似ている。

球磨川で言えば市房ダム湖より上流部にあたるのではないだろうか。

砂防ダム、堰は多い様だ。

 米沢市中心部を流れる最上川。日本三大急流の一つとはいえ、此処ではまだ球磨川のような速い流れは見当たらない。

カモ類が居て、アオサギが樹上に居るのは球磨川と全く同じ。

 以前このブログでも投稿したが、実はこの7月4日の球磨川豪雨水害の数週間後、7月28~9日頃、この最上川が同じく豪雨で氾濫した。

 支流の白川の氾濫などは本流の最上川の水位が上がり合流できずに逆流した結果の氾濫で、バックウォーター現象が此処でも起きているという事らしい。今までの洪水と現在の洪水はメカニズムが全然違うようなのだ。

http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/07/a-flood-similar-to-kuma-river-occurred.html

 もはや現在の雨の降り方(線状降水帯の集中)では、ダムの有り無しで洪水氾濫を防げない時代に入った、と全国的に認識しなくてはいけないのだろう。

 洪水は球磨川だけの問題ではない。球磨川より支流が多く、はるかに数多くのダムが上流部に造られている最上川でさえ、このような新しいタイプの洪水・氾濫が起きているのだから、今や「ダムの有る無しが「治水」に意味をなさない事実」をすべての人々が知るべきだろう。

球磨川と同じくバックウォーターで氾濫した最上川支流の白水川。

 しかし、今年の最上川の洪水氾濫では、死者・行方不明者などの命に係わる犠牲者は出ず床上・下浸水程度で被害は治まっている様だ。その理由を現地で調べようと思ったのだ。・・・で、実際行ってみて驚いた。

 7月29日のこのブログでも書いた通り、昭和42年の羽越水害で米沢市でも犠牲者を含め、多くの家屋が被害を受けた。その後各居住者たちは自宅のかさ上げや移住を積極的に行ったのだという。その努力が今回の洪水に反映できたのだと地元メデイアやネットが報じている。

http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/uetsu50/photo/yonezawa.html

 今回はこの昭和42年羽越水害の後かさ上げをした家屋の写真を幾棟か撮ってきた。不確かなデータや情報に振り回され、国や自治体に「治水」を請願・要請する前に、この「まず住民自身で行える対策」を実践している最上川流域住民に学ぶ事は多いはずだが・・。この地域差を深く考えさせられた米沢市を流れる最上川だった。
 住居をかさ上げし、氾濫してもクーラーの室外機が水没しない様上の方に設置。洪水はあるものと覚悟した自然を受け入れる生き方が印象的だった。

 右の草地が最上川の土手。それに合わせてかさ上げ、生活関連機器(灯油タンク?)もかさ上げしている。

この土手沿いの家も同様、クーラー室外機や灯油タンク?も2mかさ上げ済。

集合住宅は2.5m以上のかさ上げを行ってある。

こちらは3m以上のかさ上げを実施してあった。

 こうした他の洪水災害地の防衛手段などを見て回り、学び、良い点を取り入れる行動を行政・自治体やメディアもどんどん行うべきではないだろうか?

 連日、民意を聴いて廻るような集会報道ばかり目立つ球磨川流域の地元メディアだが、民意を聴いても「被害者としての要望・期待」あるいは「川底掘削・穴あきダム建設」などの「専門的数値データに基づかない素人考えの提案」ばかりで、事実データを元にした根本的・建設的な具体的提案などは出て来まい。

 ダムの有り無しなど、ハード面ばかりが洪水防災の様に思えてくるメディア報道だが、事前の各住民の備え、避難方法、避難訓練などのソフト面は一体どうなっているのだろう?その辺りの報道は何故なされないのだろう?ハード面50%、ソフト面50%がほんとうの防災では無いのだろうか?

 地元メディアに全国の洪水被害地域の工夫や対策、その成果などを調査して報道する技量は無いのだろうか?是非今後に期待したいと思う。そういう報道こそ地域住民の洪水対策に対する具体的な「希望」に繋がるのではないだろうか?「否定や非難」ばかり繰り返し、言い合っても何も進まないように思うのだが・・・。