さて、絶滅危惧鳥の新聞記事の話で一日間が抜けたが、再びヤマセミ生態論文レポートシリーズの採餌ダイビングの項へ戻ることにする。この採餌のダイビングと食事後の水浴びのダイビングの違いはその高さも大きく違うが、撮影した画像を視てみると一目瞭然なのだ。
結論から言うと、採餌の場合は必ずくちばしを開いて入水している。相当空中高くからくちばしを開いている画像も多くある。これは同種のカワセミの場合もまったく同じ。
2日前のこのブログで説明したとおりダイブして水中に入った後水中で餌を捜す訳ではなく、空中で飛び込む前に既に獲物を見据えて方向や深さを見極め空中姿勢を調整するためその落下していく途中の姿は非常に複雑に変化している。これを詳しく視るには動画より静止画の連続撮影の方が解り易いのは既報の通り。
今日の画像は1枚のみ。その代わりもの凄いダイブをご紹介したい。高低差は25mを超えるかもしれない。肉眼で見るだけであれば必ず見落とすだろう高い樹の梢に留まったヤマセミ。最初は単に飛び出した空中姿勢を撮るつもりでいたのだが、横ではなく真下にダイブしたので度肝を抜かれてしまった。
人吉城址の石垣の上に立つ角櫓(すみやぐら)、その裏にそびえ立つ樹木の梢からのダイブなので相当高低差も在る。こんな高い所からの採餌行為を記録したのも初めてならば、その高低差もギネスモノだろう?実はこの後同じ場所からもう一度東方向へダイブしており、そちらはシルエットだが起承転結を撮影出来た。非常にラッキーだと思う。後ろを歩くを早朝登校中の小学生たちが「オハヨーゴザイマース!」と声を掛けてくれている中、声だけで「オハヨー!」と返すのが申し訳無いと思いながらの撮影だった。生態レポート本が完成したら、是非彼らの小学校に寄贈しようと思う。あの時の叔父さん(お爺さん?)がこんな事をしていたのかと理解してくれるだろうか?少しでも野鳥や自然に興味を持ってくれる子供たちが増えると嬉しいが・・・。
画面に入りきらない場合は、画像をクリックして大きくして、上下スクロールでご覧頂きたい。あまりの高低差なので一画面にまとめて合成するのが非常に大変だった。したがって1カットずつ抜いた拡大を右に抜き出してみた。ヤマセミ生態論文レポート本にどうやって収録・掲載しようか困っている。折りたたみ・引き出し方式を取らざるを得ないと感じている。
途中でダイビングのスピードを相当調整しているのが見て取れる。なお、飛び込んだ場所の水深は深く見積もっても7~80cmであろうと想像する。入水場面は葦原に隠れてしまうので撮れていないが、間違いなく口に小振りな獲物を咥えて川中の岩に留まった時は更に腰を抜かしそうになってしまった。
ちなみに撮影したのは2014年の1月だからかれこれ2年前に成るが、これ以降この場所でこれだけのハイ・ダイブをするヤマセミは50日以上観察した限りにおいては見かけて居ない。もっと効率的な餌場を見つけたのだと推察している。
ヤマセミで有名な北海道千歳川の採餌ダイブとは随分違うヤマセミの生態、全国の色々な場所でそれぞれの環境に見事に対応した生き様は生物の進化にも関係してくるのだろうか?これだから野鳥の生態を観察するのは面白くてやめられない。