以前からヤマセミのオスの褐色部分の色の濃さや面積が個体によってずいぶん違う事を不思議に思っていたのだが、今回川辺川で撮影した2年前から観察を続けている個体の胸を視て、成鳥になるにつれて大きく立派になるのだ!と確信した。
この疑問は今年出版した「川辺川・球磨川流域の山翡翠」のコメントにも書いた通り研究課題、観察課題の一つにあげていた通りだった。中には63ページのホバリングの画像のようにオスでありながら殆ど褐色の部分が視認できないような個体も居たりして、疑問は増すばかりだった。要は外人(たとえばゲルマン、アングロサクソン)でも金髪や黒髪や茶褐色が居るようにヤマセミでも個体差が有るのかと思っていた。
しかし、今回2年前から観察を続けてきた川辺川のあるポイントのつがいの雄はその冠羽の大きさや、こちらを認識している点で同一個体を思われるため、その胸の部分を比較して今日はご紹介する。同じ様なポーズで撮影できているので比較は容易だろう。しかし本来は山奥でしか出遭い難いヤマセミを、このように比較観察できるという事自体、私も非常に幸運だが人吉エリアでなければ絶対に出来ない事だろう。まさに人吉・球磨エリアは奇跡の場所だと思う。
今回の生態観察の対象は、いつ行っても仲良くこうして毎日同じ場所でつがいで羽根休め・昼寝をしている、つがいの雄の方だ。右側の胸の褐色が目立つ個体。ともすると1時間半以上こうしてジーットしている。この時も私が昼食を取って戻って来てもまだ同じ状態で居た。
これがこの個体の2年前の3月頃の胸の部分。写真集にも掲載したあの個体だ。
今回11月22日の同じ個体の胸の部分。何で同じ個体だと言えるかというと、人吉エリア喉の個体よりもその冠羽の毛足が長い事。特に最前列の長さは「お前床屋へ行ったら?」と言いたくなるほどの長さで非常に立派である事。同時にこちらを覚えていて寄って来ることなどから判断している。この2枚のような画像は相手を警戒していて怖がってすぐに逃げる様な個体では撮影できない。
2年前の春先の同じ個体の横ポーズ。
今回11月22日の横ポーズ。褐色の部分の発達が見てとれる。少し上から撮影しているので画像はより頭でっかちになっている。
一度、判ってしまえば、遠くからでも「あーアイツだ」で判別が可能。
もっとも縄張りが非常にはっきりとしているからこそ。眼の前でホバリングのサービスをしてくれた。
ホバリングからダイブを数回繰り返してくれた。しかし採餌行動ではなかった。
これは、一番上の木陰から、土手道路に停めた車の中から狙っているこちらに向かってフワフワとまっすぐ飛んできてホバリングに入る時の画像。レンズを通してだったが思わず車の中で身を引いたのを覚えている。