2022年11月8日火曜日

ヤマセミの新しい写真集編纂していて出てきた野鳥画像 その4. Wild bird images that appeared while editing a new photo collection of kingfishers. Part4.

  ヤマセミの繁殖記録写真集。編纂していてヤマセミが繁殖用に前年使用した巣穴を再利用することが意外に多い事実が判明した。

 これは全国の地質、土壌の形成地域差が非常に大きいと思う。

 鹿児島~人吉球磨といった南九州エリアは、霧島、桜島、阿蘇といった火山の火砕流・噴煙火山灰が数十メートル降り積もったエリアで、シラス台地が非常に多い。このシラスという崖は歯ブラシの柄の部分で穿ると、ものの5分も経たずに10㎝程の穴が掘れる。ヤマセミの強力なくちばしで掘れば、どんどん掘っていけるだろう。

 しかし、柔らかい、モロイというのは両刃の刃で、風雨にさらされ年間50~100㎝は崩れて崖の法面が後退するのだ。要はせっかく掘った巣穴(奥行最大で150㎝程度)も翌年にはどれだけ再利用できるかは「立地の運」が左右するのだ。

 今回の写真集はヤマセミのかっこいい飛翔シーンだとか、日常の佇まいとかではなく、今まで誰も知らなかったヤマセミの繁殖に関する驚きの新事実を、実際の生態撮影画像でご紹介するもの。本邦初公開、世界でも初公開といった画像を多く収録する予定。

 まずその中から、ヤマセミが前年の巣穴を再利用しようと整備に入った場面の画像をご紹介。なんと、年明け前の10月ころから整備に入っている事実は野鳥研究者も知らなかったのではないだろうか?

前年使用の崖の巣穴へ・・。

入ってすぐに・・。

泥を蹴り出している。

まだ繁殖シーズンには程遠い2016年10月16日の事だ。

同じ巣穴の再利用整備、それから4か月後翌年2月の事。

同じく上の画像の翌日。要はヤマセミは通年で自分の巣穴の管理メンテをしている可能性が見えてきた。これは今まで誰も気づかなかったのではないだろうか?