今朝のこのブログは筆者書いていて非常に辛いし残念だ。なぜなら筆者自身が数年間熊本県民だったからだ。
もう大方のメディアが報じて、殆どの国民が知っている通り、稚貝の状態から出荷する製品に成るまでの間、一番長い間畜養(=育てられた)された場所が生産地名となるはずのアサリの産地表記が、たった数日間熊本県内の有明干潟に撒かれ置かれただけで「熊本産」と表記されていたという大問題が「アサリ産地偽装問題」の概要だ。元々の生産地は中国や韓国だというから明らかな消費者を騙す「詐欺行為」だ。
そもそも熊本産のアサリなど今や全国の5%程度もないのが実態なのに、出荷額はその100倍以上だというから大騒ぎになるのは当たり前だろう?
しかも、国の機関に指摘され、メディアに暴かれて大恥をかくまで熊本県の農林水産部門がそれを知らなかったのか、はたまた知っていて知らん顔していたのか?どちらであっても「間抜け」のレッテルはしっかりと貼られてしまい、全国民の脳に刻まれてしまったのだ。
全国ニュースに成ってしまった。
今朝の読売新聞全国版に一面全段抜きで広告が載った。蒲島知事の写真入りで・・。
「産地偽装は、許さない。」って、今まで許していたのは一体誰なのだ?「全国的な取り組みを国に要請」って問題のすり替えではないのか?
あえて言わせてもらいたい、今回の場合熊本県は決して被害者ではなく、加害者なのだ!熊本産だと思うからこそたくさん買って食べていた筆者など「怒り」を一体どこへ持って行けばいいのだ? 全国民がそう思っているのだ。筆者は此の一件で熊本県民も白い眼で見られかねない重大な問題だと憂えている。
「産地偽装は許さない!」と言いたいのは本当は偽装アサリを熊本産だからと信じて買ってきた熊本県民・全国の国民の方なのだ!「産地偽装をお詫びいたします!」が本来熊本県が出すべきコメントではないのか?
筆者はこのブログで幾度もご紹介した通り、一時期熊本県八代市で育ち熊本県民だった時期がある。卒業した小学校は熊本県八代市立太田郷小学校だもの。
同時に東京の広告代理店勤務時代、2001年頃からは仕事で東京から幾度も通い、全国菓子博覧会、全国育樹祭、世界女性スポーツ会議、八代市活性化プロジェクト、九州新幹線開通記念プロモーション・・などで多くの方々と再会したり、新しいご縁も出来た。
勿論、小学校、中学校時代のクラスメートとの交流は未だに深く続いている。中には親友も居る。
更に2010年からは人吉市に通い、ヤマセミの生態研究を行って既に12年経っている。その内容はこのブログWAMASEMI WEBに詳しい。300日以上人吉市に滞在し、あらゆるジャンルにおいて熊本県ファンであることを自認している。
しかし、決して良くありがちな盲目的に「何でんかんでん熊本はヨカ!」というつもりは毛頭ない。何に関しても依怙贔屓は一切せず是々非々で県外在住者として辛口で熊本を叱咤激励する事にしている。例えば以前熊本空港のサービスの酷さを述べたのも、熊本県の為を思えばの事。ヤマセミや球磨川の鮎の素晴らしさを述べるのも熊本県を思えばの事。
西日本新聞は良く調査・聞き込みをして公平な記事を書いている気がする。本来は地元紙がこういった突っ込んだ記事を出すべきだろうに・・。
今回のアサリ産地偽装問題は、残念ながら熊本県としては弁解の余地は無いだろう?
元々海を生活の生業としている日本の漁業関係者は「入浜権」や「漁業権」を理由に何かにつけ厳しくその権利を主張し生きてきている。
これは、全国で最もそれが厳しいと言われている神奈川県の浜でウインドサーフィンの大会を10年以上企画運営・実施を続けてきた当事者だから非常に良く判っている。
フロムエー・カップ、チンザノ・カップという一般参加のウインドサーフィン・アマチュア大会を鎌倉の海で10年の長きに渡り続けられてきたのも、地元漁師との事前の打ち合わせ(仁義を切る)、約束事(地元の海のルール)をきちんと守って来たからこそできたものだ。
これを守らなかった某ブラック企業の広告代理店が運営したウインドサーフィン大会が、開会式に漁業関係者に囲まれ中止せざるを得なかったという話を聞いたことがある程だ。
例えば、大会を開くに漁協所属の遊漁船を審判艇として雇う、費用は現金即日払い。大会コースは漁網設置場所以外で行う、サブイベントとして地引網を買い取る、挨拶には日本酒「剣菱」をお土産に持って行く・・など。
その代わり天候異変で沖出しの風が吹いて参加者が流されれば、江の島から三崎までの全漁協に連絡が行き救助できる体制を取ってもらえる。など、日本古来の地元での持ちつ持たれつの良い関係で海での事故もなく出来たのだ。
個人レベルでウインドサーフィンをやっていて南のドン吹きで道具が壊れたりしてワカメ養殖の網にでも引っかかろうものならすぐさま漁船が飛んできて、怒鳴られ、ドヤされてしまう。その代わり。海を知らない初心者が流されれば必ず人間だけは救助する。暗黙の「地元の海の掟」が在るのだ。
何を言いたいのかというと、これだけ厳しい海の世界・漁業の世界で、県外業者が夜やってきて浜にアサリを撒いて数日で回収し「熊本産」のラベルを張って売っている事を地元漁業関係者も市場関係者も、県の漁業部門担当役人も、更には地元メディアも知らなかった訳が無かろうと言う事だ。
今回の「アサリ産地偽装問題」は明らかに行政やメディアを含んだ組織ぐるみの暗黙による「違法行為」であるという事。
地元紙の報道によると、今までこれで食っていたのに、産地偽装だと言って出来なくなったら俺たちはどうやって食っていけばいいというのだ?などと開き直っている漁業関係者のコメントもあった。呆れてしまった。
これではまるで立ち入り禁止の堤防などで釣りを続けて来た者がそれがテレビ取材でバレて放送で責められて、「人の楽しみを奪いやがって、今後どうしろというのだ?」と開き直り食って掛かっているに等しい。モラルのレベルが非常に低いと言わざるを得ないだろう。
直ぐに風評被害と言って被害者づらをする。
今回の場合、同じ有明海を漁場とする福岡県・佐賀県・長崎県のアサリが買い控えされれば「風評被害」と言っても良いが、同じ熊本県の海産物が敬遠され売れなくなってしまうのは「風評被害」とは言えまい?一体原因を造ったの誰なのだ?
これらを知らなかった訳がない地元メディアが今までこういう実態を報道しなかった事自体にも問題があるのではないだろうか?地元紙はどうしても地元びいきの記事を書いてしまう。身内にまずい事はまず隠して報道しない。その一方で被害者の立場の事はいつまでも「あの事は忘れまいぞ・・・」と、報道し続ける。
今やネットの熊日コムなどで、熊本県の情報は全国で同時に見られているのだ。地元びいきの報道はすぐに見破られてしまう時代であることを肝に銘じた方が良いと思うが如何だろう?
いずれにせよ、今まで判って居て、黙認・野放しにしてきた漁業関係者・県の農林水産部門の役人たちのケジメと責任追及を地元メディアがしなければ、全国から「熊本県とはそういう所なのか?」と思われてしまう可能性がある。今一番つらいのは熊本県民だろう?今後の推移を注視したい。