今日の東京は結構寒かった。前日泊まった北関東の研究所は朝-5℃を記録。さっさと都心へ戻って目黒にある国立科学博物館附属自然教育園へ行ってみた。此処は2006年の3月頃に一度来たきり、もう15年余り外からしか見ていなかった。隣の庭園美術館には結構来ているのだが・・。来て見て前回とは相当違う印象だった。思いのほか野鳥の種類も多く密度が濃いような気がする。
入口で65歳以上無料というのも気に入ったし、展示教育室というのもあって教育には最適だと思った。しかし出入りしている野鳥ファンの撮影した野鳥の写真が貼ってあったが、何故か昨日生で見た中で一番数の多かったワカケホンセイインコの画像が一枚も無いのが気になった。
野鳥の生態を観察・撮影し始めてそろそろ15年が経つが、日本の野鳥ファンは外来種を差別して、さも居ない様な感じで取り扱おうとしない。ソウシチョウ、ガビチョウ、それに関東ではカナダガン、東京の一部に生息するワカケホンセイインコだ。
これらは生息しているにもかかわらず、野鳥図鑑にも無視して載せないか、あるいは迷惑そうに在来種の生態に影響を与える為「害鳥」として毛嫌いし、別くくりで注釈をつけて巻末に載せている。いわば市民権を与えない犯罪者同然の扱いなのだ。
ところがたまに来る種は「珍鳥」「迷鳥」扱いで特別扱いし、観察した人撮影した人を英雄扱いする。何なんだこれって?
野鳥の世界を覗き始めて最も嫌だったのが、これらの野鳥撮影愛好者たちの排他的思想だった。日本から世界に散ったメジロをそう説明するのだ?迷惑がっている海外の野鳥関係者が居るか?名前もJapanese white-eyeとして結構人気なのに。オーストラリアでもハワイでも観た。ホノルルに居る文鳥しかり。
日本の野鳥撮影ファンは自然の多様性を全く理解しようとしていないし、地球温暖化で生態系が変わることを「悪い事」だと決めつけているのではないだろうか?地球はどんどん変わり変化し続けているのだ。そんな事も基本的常識として判っていない者が野鳥がどうのこうの言うんじゃない!と思ってしまう。自然の変化など人間が逆立ちしたって止められる事では無いのだ。
クマゼミが北上して東京近辺で鳴きだすことがそんなに嫌で、おかしい事なのか?それと同じだろう?野鳥ファンが出遭えれば悦ぶヒレンジャクだって、元々は秦の始皇帝の愛玩鳥だろう?大型のワカケホンセイインコが都心の目黒自然教育園に来ようが明治神宮を飛び回ろうが、間違いなくそこで生息し始めたのだからいい加減「居る」という事を認めたらどうなのだ?
外国から日本に来て気化して、日本人として活躍している外人を認めるだろう?応戦するだろう?白鳳や鶴竜や照ノ富士だってワカケホンセイインコと同じだろう?人間は差別しないのに、何故野鳥は差別して仲間に入れてやれないのだ?野鳥の写真展だって外来種は評価対象外の場合が多いと聞いたが本当だろうか?
目黒自然教育園ではこのワカケホンセイインコを決して差別していなかった。園内のカラス山椒に群がる野鳥として写真入りで紹介していた。しかし館内の野鳥写真展示にはその画像は無かった。撮影者たちの偏見で撮らないか撮っても仲間外れにしているのだろう。
今日園内に来ていた家族連れの子供たちに何と説明する気だろうこれら野鳥愛好家たちは・・。