郵便受けからはみ出した大きな封筒が2通も来たのだ。
昨年、一昨年と自費出版した野鳥の写真集が2年連続でグラフィック部門の入選を頂き、それだけで舞い上がっていたのに、大変な事になってしまった。今回は文芸=エッセイ部門と個人誌部門の書き物の2部門だと言う。未だ試しのオンデマンド印刷なので30冊未満なのに驚いた。
小中学生時代、通信簿の「国語」で「5」を一度も獲った事が無く、ましてやプロの物書きでもない筆者が、ネット上のこのヤマセミ・ブログで週末だけ掲載していた内容を縦書きの本にしただけなので、賞を戴けるなどとは夢にも思っていなかった。連絡を頂いて暫くは「実はあれは間違いでした」という追っかけの通知が来やしないかとビクビクした。
今年で18回目を迎えた日本自費出版文化大賞は、今年も600点以上の応募があり、一次審査で10点中4点が残り、更に二次審査で約10点中1点が選出されたそうだ。ジャンルは1.地域文化部門、2.個人誌部門、3.小説部門、4.文芸=エッセー部門、5.詩歌部門、6.研究・評論部門、7.グラフィック部門 の7部門で、エッセー部門や小説部門は例年応募点数が一番多い激戦ジャンルだそうだ。それだけにこの受賞は自分にとってもちょっと信じられない事だった。
我々素人や一般人には縁の無い世界だろう。ましてや、印刷会社や出版会社が全然関わっていない、完全手作りで自費出版した本著「団塊世代のヤマセミ狂い外伝」に賞を与えようと言う日本自費出版文化賞主宰者・審査員の方々の決定は、太っ腹だし非常に公平で嬉しい。もう感謝以外の何ものでもない。
本を出すという事は、具体的にリアルで物や形になった情報発信、一つの自己主張だと思うのだ。それは事実を述べたドキュメンタリーだったり、作り話の小説だったり、日記だったりする。
とにかく作者・筆者が自分の頭の中胸の内を文字にして、他の人にある種の思いを伝え、感動を生み出す。それが文字だけだったり、写真を入れたエッセイだったり、或いはむしろ写真のほうが主人公の写真集になって文字・言葉が補佐する印刷物になる。
たとえば「何とか賞」を頂けなくても情報発信、後世にリアルのモノを残す・・・そういう意味からすれば「出版物・印刷物」の類はいつの世も非常に意味のある人間の生きた証=遺産なのだろうと思う。
1冊づつビニールで覆った「ビニ本」にしたのが良かったのだろうか?
ネット社会が、或いはIT技術がこれだけ発達・普及しても、結局人間は冷たいハードディスクやDVDに入ったヴァーチャルのデータを液晶画面で読むのではなく、印刷物に成った「本」を自分のペースで読みたいのだ。これは本を贈った同じ団塊世代の皆からも異口同音に届いた感想だった。
パソコンがこれだけ普及・発達して「印刷物等そのうち無くなる、ペーパーレスの時代が直ぐ来る!」と言われて久しいが、逆に世界中で実際紙の消費量は倍増した。
筆者のパソコンの師匠で、毎回自費出版本の制作・デジタル入稿に関わってくれているプラス・エールの染谷氏がいる。その彼から逢う度に聴かされる耳タコ言葉に「シンジョーさん!デジタルの究極はアナログなんですよ!」というのが在る。言い得て妙だ!こういう友が傍に居てくれて自分は幸せだと思う。人間決して一人では生きていけない、やはり持つべきは良き友だろう。